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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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「まだ冒険し始めたばっかりのとき、ライトニングのコモンルーンって、あったっしょ?」
「ああ、そんなのもあったな」
ここはオランのとあるお店。パラサとスイフリーはその一角で互いに食事をしているところだった。
現在、旅の仲間はこの二人だけ。が、もうそろそろ、全員そろうことになるだろう。オランには現在劇団が来ていて、「バブリー・アドベンチャラーズの帰還」という劇をやっている。どう考えても自分たちを刺激する為の罠。アーチーは絶対来るだろうし、フィリスもそうなったら着いてくるだろう。レジィナ辺りは罠の可能性は考えないだろうけど、自分の所属するパーティーが取り上げられている劇であれば、小劇団出身でもあるし、きっと見に来る。グィズノーは一応レジィナと行動中らしいから、多分引っ張られてくるんではないだろうか。来ないかもしれないが、探せば見つかるだろう。オランには居るらしいと聞いている。
「で? そのライトニングのコモンルーンがどうした」
スイフリーはいつもどおりパスタの皿を一人抱え込んで食べている。二人しか居ない上に、パラサの前にはやたら食べ物が並んでいるにもかかわらず、だ。クセというものは恐ろしい。大人数で食事をしていたときから、彼は食べたいものをさっさと抱え込み、他のものには目もくれないという食事方法をずっと採用している。無用な争奪戦に巻き込まれたくないだけなのだが。
「あれって、もう手にはいんないかなあ?」
「禁制品だぞ、手に入るものか」
「いくらか積んでもだめ?」
「ダメなんじゃないか? 面子ってものがある」
「おもろかったのに」
「まあ、お前がライトニング使えたら、ラクはラクだが」
「クナントンに聞いてみるにゅ」
「聞くだけ無駄だろうよ」
そこでスイフリーは大きくため息をつく。窓の外は曇り空で、しかし妙に明るい。空気は水の匂いを含んでいる。
「雨が来る」
「はとこが言うんだから、間違いないにゅ」
頬に多くの肉を放り込んで、パラサは外を見た。程なくして雨粒がぱらぱらと空から落ちてくる。ソレはすぐに大粒の雨になり、世界を白く染め上げるほどの大雨になった。さらに空を引き裂き、空気を震わせるような大きな雷の音。
「うぉお、すっごいにゅ」
「窓閉めろ」
窓に張り付いて外を見るパラサに、スイフリーの冷たい声が飛ぶ。が、パラサは気にせずしばらく外を見続けた。
「やっぱライトニングのコモンルーン欲しいにゅ。フィリス姉ちゃん作れないかなあ」
「聞くだけ無駄な気がするが」
「どっかの遺跡に落ちてるとか」
「二人では拾いに行けんぞ」
「クナントンを脅せば何とかなんないかにゅ?」
「無いことになってるもんをくれるわけ無かろう。諦めろ」
パラサは窓から離れると、再び自分の席に着く。
「つまんないにゅ」
「で? もしそのライトニングのコモンルーンを手に入れて、どうするつもりだ」
「撃つ」
「今は極力戦わないようにして旅をしてるのに、何に撃つつもりだ」
彼等は今二人行動だ。そしてそのどちらもが回復能力を持たない。二人とも神を信じないし、スイフリーは精霊使いだが男性だ。ゆえに、戦わずにすむならそうしているし、戦いになりそうでも二人が全速力で逃げれば、大抵逃げ切れる。
「はとことかにいたずらで」
「死んでしまうわ」
すかさず言うスイフリーに、パラサはにやりと笑ってみせる。
「とりあえず、雨がやんだら賢者の学院に行ってみるにゅ」
「頼むからやめてくれ」


■2月29日更新、なんて4年に1回しかいえないから更新しておきます(笑)

ライトニング、撃ってみてええ。
楽しそうですよね。人生の役には立ちませんけどね。
SWで遊んでても、あんまりソーサラーをしないので、ライトニングは虚構の世界でも撃ったこと、あんまりないのです。
……おかしいなあ、ソーサラーLv5くらいまで遊んだことも昔はあった気がするのだけどなあ。ライトニング、使ったっけ?

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それは最初とてもかすかなもので、まるで気付かないでいた。

「わざわざ言ってもらわなくても、あんたの言うことはわかってる」

その言葉はじわりじわりと、私の中を広がっていく。
静かな湖に、小さな小石を投げ入れたときに広がっていく波紋のように。
波のように。
ただ静かに。

「この目が悪人の目に見えますか?」
「自らの正義のためには、人の作った法をあえて破らねばならぬこともあるのだ」


その波紋はいくつもいくつも私の中に広がっていく。
共鳴して大きくなる。
静かだった湖面に、波はどんどん広がって、重なり合っていく。

確かにそれは、最初とてもかすかなものだった。
けれど、かすかでも、確実に存在した。
その小さな波に押されて私は行動した。
きっかけは小さなことだったかもしれない。
どうして助けようと思ったんだっただろう。

「わたしの帰りを気長に待っていて貰おう」

そう。
かすかな、
でも確実な波がそこにあった。

それは人にはかすかでも、
私には衝撃だったのかもしれない。


声が耳の中で反響する。
それはいつか行った海の、潮騒のように続いていく。
いつしか、それが当たり前になる。
悪い気持ちではない。

冷たく静かだった湖面は、今は波立ちざわめき、
でも穏やか。


人はこの心の波立ちに、恋という名前をつけるそうだ。




クレアさんです。
前々から書いてみたいなあと思っていた話を書いてみたのですが、
違う!
こんな甘い話にするつもりは毛頭なかった!
というかこの話、別にクレアさんじゃない人で書いてもよかったのでは?(我に返るの、遅すぎ!)



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