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またか。
えー、と。
とりあえず、未来の話です。ifです。オランがよもや滅亡するとは思いもよらなかったころに書いた話です。
しゃべっているのはスイフリーとグイズノー。
ナチュラルにスイフリーに娘が居る設定です。相手は説明しない(する必要も無い)
しかも中途半端。
そういうのでもオールオッケー、笑って許すよ、という方だけ、続きからどうぞ。
「そんなに堂々と来ないでくださいよ、あなたエルフでしょう」
「わたしが来ると問題でも?」
「神を信じないエルフが堂々と出入りする神殿って格好がつかないって言ってるんですよ」
ため息をついてみせる神官に、エルフは鼻で笑って見せる。
「どうこう言える立場か?」
「言えますよ、わたくしここの責任者ですから。で、何の御用ですか?」
「別に。近くまで来たから様子を見に来た。生きてたか」
「生きてますよ。もうちょっと生きていたいですね。神様神様、わたくしもうしばらくこちらでノーマルライフをエンジョイしたいです」
天を仰いでそんなことを言う神官に、エルフは呆れた目を向ける。神を信じないのは自分もコイツもそう変わらないのではないだろうか。
「あ、でもここへ来るとき怪我したから、治してほしいってのもある」
エルフが左の足首を指す。ひねったりでもしたのか、少し腫れている。
「いくらだします?」
「お前に払う金はないな」
笑顔で言う神官に、エルフは憮然とした表情を向ける。「まあ、つけておきますよ」などと言いながら、神官はエルフの傷を癒す。昔々から積み重ねてきた打算含みの友情やら恩義やら貸しやら借りやら考えると、神官はエルフの言うことを聞くしかない。勿論、エルフのほうも神官の言うことを聞くだろう。
「今日はこちらへは何をしに?」
互いに窓の外を見る。オランの町並みも、初めて会ったときから考えると随分様変わりした。それだけの年月が流れたのだ。
「別に。まあ、あっちとこっちを行ったり来たりしてるついでだな。はとこの子がこっちのギルドと顔つなぎしておく必要があるし、まあ、伝やらコネは作って損はなし」
「コーリンさんも随分お得意様だと言っておられましたよ」
「アレは父親に似ていい商売してるぞ」
神官の言葉にエルフは口を吊り上げる。
「そういえば、噂では娘さんは随分おきれいになったそうじゃないですか」
神官の言葉に、エルフは口を曲げた。あまり話したい内容でもないらしい。が、神官のほうは気付くこともなく興味本位の視線を向けた。
「きれいかどうかは主観だろ。わたしには評価できない。ただ、アレには似てきた」
「ああ、じゃあ少し冷たい感じの美人ですね。……会いに行ってますか?」
「前行ったときは生きてた」
「まあ、わたくしでも生きているくらいですからね」
あまり会いに行っていないな、と思いながら神官はエルフを見る。たいして表情は変わっていない。
「どうして会いに行かないのです? 気まずい思いをしたりしますか? 父と娘って、結構話が合わないと聞きますし」
「単純に用事がない」
「ああ、そうですか」
呆れた目を向ける神官に、エルフは視線をそらす。
「まあ、あなたの勝手ですけどね。もしかして、似ているから会いたくないんですか?」
にやり、と笑って尋ねる神官に、エルフはあからさまに嫌そうな顔をした。核心を突いた、と神官は思う。
「へえ、そうだったんですか。意外とロマンティストですね。会うと寂しいわけですか」
「別に寂しいわけじゃない。口やかましいから辟易するだけだ」
「じゃあ、そういうことにしておきましょうか?」
にやにや笑う神官に、エルフは口を歪めて見せる。
「どっちかというと腹立たしい」
「似ているのが?」
頷くエルフに、神官は首を傾げて見せた。
「本人ではないから?」
エルフは答えない。コレはもう何かを聞くのは無理だろう。
「しかし……会うのが嫌になるくらい似てますか。それはそれは。ちょっとお会いしてみたいものですね」
「お前もう歳で足腰立たんから城まで行けないだろ」
「ええ、そこが残念なところです」
■もう少し先まで書こうかなと思っている間にオランは滅亡するし、if話を書いてどうするつもりだと思ったり、こんなの喜ぶの自分だけだなとわれに返ったりしてここまでしか書かなかったのですが。
……我に返るの遅かったな、私。