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スタート値は1,884です。アクセス解析を初日からいれてありまして、総数がこの数だったからです。
……切番は現在かんがえてないんですけどね、なんかカウンターがついてるのもいいかな、と思いまして。
まあ、ご報告というやつです。
■ご報告ついでに。
ARRのSSSに感想ありがとうございます。
拍手のお返事はいつもどおり、そのうち、管理人サイトの掲示板にて。
……なんというか、10分程度で書いたものに、暖かい反応有難う御座います。
友人から本が返ってきたら、本格的な参入を考えてみたいと思います。
■もひとつご報告ついでに。
火曜のラブシック、金曜の泡ぽことして親しまれておりますこのブログ(真に親しまれているかどうかは別)
計算してみましたら、今の速度で泡ぽこ更新しますと、半年くらい先までかかっても終了しないということに気付きました(笑)
本日、友人には61話を送信しました(余談)
ちなみに、まだ終わってません。
と、言うことで、週に2回くらい泡ぽこをアップしてもよいのではないか、と。
泡ぽこ終わっちゃったら、このブログどうなるかわかんないですけどね。
(ちなみにラブシックはよほどのことが無い限り、残り10回も無いと思います)
まあ、来週辺りからちょっと更新曜日が変わるかもしれません、ということで。
変わんないかもしれないですけどね。いいじゃん、半年でも。とかいきなり言い出すかも知れないですしね。
■まあ、そんな感じです。
以上業務連絡でした。
城の麓には、領地があり領民が居る。
その小さな村で、エルフは珍しく彼と差し向かいで酒を飲んでいた。
明日には城にたどり着く。そのおかげで同行者のグラスランナーは浮かれきっていて、すでに心あらずといった感じになっている。同様に、彼の同行者である少女も、久々の「わが家」に浮かれており、その二人組みで最後の仕上げと言わんばかりの勢いで村の小さな雑貨屋に買い物に出かけていった。
取り残されて、エルフと彼は一緒に居るだけの話である。
「それにしても、大荷物ですね」
彼は呆れたような笑顔をエルフに向ける。
「わたしの荷物ではない。はとこの子のだ。大半はクレア宛の土産だ」
「へえ」
彼はにまにまとした笑顔をエルフに向ける。
「あなたは何か?」
「何が」
「お土産やプレゼントを」
「何も」
その返答に彼は「おや」という顔をする。
「一度くらいは」
「全然。はとこの子がコレだけ渡しているのだから、必要ないだろう」
「……駄目ですよ、それじゃ。女性はプレゼントに弱いんですから」
エルフは冷めた目を彼に向ける。視線だけで「で?」と先を促したつもりだったが、彼からは返答が無かった。というのも、彼は窓の外を歩いていく若い女性に暫らく見とれていたからだ。
「……」
呆れた眼差しで暫らく彼を観察する。大体の行動パターンは分かっているが、相変わらず、結局のところどちらが彼の本質なのかは、分かっていないような気がした。
つまりは、落ち着いた聖職者なのか、駄目な破戒僧なのか、だ。大半の行動は後者なのだが、根本的な考え方は前者に近い場合が多い。
「で、何でしたっけ? そうそう、プレゼントですよ。女性のハートをゲットするには、必要不可欠です」
「別にそういうもんはいらない」
「まあ、あなたの場合、放っておいても、ねえ?」
含むような言い方に、エルフは彼を見る。何を言いたいのか、彼はにやにやと笑っているだけだ。どちらの意味でとられたのだろう。自分としては心なんていらない、という意図で返答したのだが。
人間は複雑怪奇だ、と思う。別にエルフが複雑ではないわけではないのだが。単に里に居るときには見えていなかっただけだろうか、とエルフは少し考える。
「結局どうするんです? フィリスあたりは虎視眈々と狙ってますよ。わたくしは、この件については放っておくのが一番だと一応忠告したんですけどね、それはそれとして、気にはなります」
「放っておくのが一番だと思っているなら、放っておいてくれ」
エルフは疲れたような声で返答する。
どうしてこの件について、色々言われなければいけないのか。
放っておいてほしい。
放っておけば、きっと、感情は消えていくだろう。
返答の無い質問が宙に浮いてしまうように、反応のないものはいつか忘れ去られる。
瞬間的なものなのだ、人の時間など。
だからこそ。
「わたくしは、単純に、好奇心として、あなたが今後どうするのかが知りたいわけです」
「そんな好奇心捨ててしまえ、破戒僧が」
「あなたにとってはね、一瞬かもしれませんけど」
そこで彼は一度言葉を切って、テーブルに用意されていたつまみを口に放り込む。動きだけ見ると、やはり聖職者には見えない。この国はファリス信者ばかりでラーダ神官は肩身が狭いだろうが、それにしたってもうちょっと聖職者然としていなければ、ただただラーダの評価を落とすだけではないだろうか、とエルフは考え、ああ、自分も似たようなものか、などと思い至る。
取り繕ったってボロがでるだけなら、取り繕わないほうが正しいのだろう。多分。
「時間って、やっぱり長いですよ」
彼はそこで久々に真面目な顔をするとエルフを見つめる。
「もし、クレアさんが真剣になっていたら、あなたも真剣にお答えすべきですよ。もちろん、今までのように分かっていなくて不安定なら、今までの対応でいいかもしれないですけどね」
「真剣に考えていたのだが」
「おや、そうだったんですか」
真剣な顔は数秒と持たず、すぐに好奇心丸出しの笑顔を見せる。結局彼の本質がどちらなのか、今日もエルフには確定ができそうに無い。
「あれは思い込んだら見境なく一直線に進むことしかできないだろう?」
エルフは少し前のことを思い出す。魔術師に指摘された感情を、自分で確かめることなくエルフにぶつけてきた、その単純さと言うか考えなしというか、ともかく立ち止まると言うことができない彼女。
「……ファのつく神のもと、その善悪判断ラインに従って皆で行動していた時はそれでよかったのだろう。今の名代職だって、その正直で勤勉という美徳の元信頼して頼んでいるわけだし、決してその性格が全て悪いとは言わない。純粋であるということについては間違い無いだろうな。だからこそ」
彼はそこで一度言葉を切る。
自分がなにかとてつもなくまずいことを言うのではないかという気がする。
もし、そうだとしたら、多分自分は酔っているのだ。
そういうことにしたい。
「止めてやる者が必要なのだ。わたしが友愛団にさらわれたとき、あれはわたしも切り捨てるつもりだったのだろう? それを皆はとめてくれた。それと同じだ」
「あの時は本当にあなた切り捨てられそうな勢いでしたからね。流石に恐ろしかったですよ。でも、その時点から考えれば、柔らかくなったのもまた事実でしょう? まあ、今でもお堅いですけどね」
そこが可愛いところです、と彼は続ける。その言葉になんとなくエルフはむっとしたものを感じたが、それは言わないことにした。
「あれがわたしとのことを見定めて見境無しに突き進むようになったら、わたしのほうが冷静になってとめてやるべきだろう」
「優位に立ちたいわけですか?」
「は?」
「一緒に我を忘れてしまうという選択肢だってあるでしょう? 彼女だけがあなたに熱中していて、あなたはそれを見ていたいわけでしょう? と言うことは優位に立ちたいってことじゃないですか? フェアじゃないでしょう」
「……」
「アーチーとフィリスも、似たようなものですけどね、フィリスはあれで我を忘れたことは無いですし、アーチーは自分の心の中も含めて、全て否定することでフィリスとの仲を認識しています。そしてフィリスもそれを理解しています。あの二人はもう、互いにどういう気持ちかよく分かった上で、どちらが先に折れるかというゲームをしているに過ぎませんよ。あなたとはちょっと違うわけです」
「奴らは同じ種族だから、障壁なんかないだろう? それこそ気持ちだけの問題だ。わたしは、我を忘れるわけにはいかない。エルフと人が一緒になっても、いいことなど無いんだ。流れる時間が違うし、子だって差別の対象だ。一時的な気の迷いで、背負うには重過ぎる」
彼はエルフの言葉に反論しようと口を開く。
が、それより先にエルフの言葉が続いた。
「そんなもん、負わせるわけにはいかない」
「え?」
「なんでもない」
思わず聞き返した彼の声に、エルフは我に返ったように話を切り上げる。
「ああ、でも、子どもが問題なのは分かりますね。ハーフエルフは人の世界でもエルフの世界でも生きにくいのは確かです。でも、全員が全員、不幸なわけでもないですよ。結局はどれだけ周囲に恵まれるかだ、という意味合いでは、人の子も、エルフの子も、ドワーフの子も、グラスランナーの子も、ハーフエルフの子も、変わらないんじゃないですかね。スタートで少々不利なのは認めますけど」
彼はそういうとエルフを笑顔で見た。
「相当の覚悟は要りますけどね」
「他人事だと思って」
「実際他人事ですから。ただ、あなたが真面目に考えているのが分かったのはちょっとした収穫ですね。もっと感情的に否定しているのだと思っていました。彼女のこと、苦手ですからね、あなた。嫌ってないくせに」
「やかましい」
エルフが苦い顔をしたところに、同行者たちが帰ってくる。
「あれ、スイフリーどしたの? グイズノーと喧嘩でもしたの?」
少女がきょとんとした顔で、彼らを見比べる。
「ええ、ちょっとした口論を。なんとわたくしの勝利で終わりました」
「それ、はとこが手ぇ抜いたんとちゃう?」
彼の返答に、グラスランナーが笑う。同行者たちが帰って来たことで、彼の追及は止まるだろう。エルフは内心胸をなでおろす。
嫌ってないくせに。
その言葉に、エルフはそっとため息をつく。
自分の心など、とうに分かっている。
だからこそ、次の一歩を踏み出してはいけない、と思う。
最初から不幸になると分かっている道など、歩く必要はない。
いずれ消えてなくなるのだ。
こんな不確かな熱は。
■11月も、とりあえず火曜日はラブシックの日、金曜日は泡ぽこの日で行こうかと。
……うん、変える意味合いを見出せなかった。
ラブシックの書きためもあったし。……いや、もうこれでなくなったんですけどね。
ところで、今回のラブシックの仮題は「スイとグイ」でした。
ぐりとぐらっぽいよね。気のせいかね。
そしてこの話はどうなるのか、自分でも全く不透明です。
思いついたラストシーンまでたどりつくのでしょうか。
既に意味が見出せなくなってひさしいこの話、まーもーこのままフェードアウトでも一向に構わんかーなどとおもっています。そのくらいどうでもいいくらいの気持ちでいないと、きっとかけなくなります。そういう性格。
ところで昨日ARRのSSSをUPしてみました。(←どうでもいいけどこの文章暗号みたいだ)
突込みが無いということは、可もなく不可もなく、とりあえず拒否られはし無かったというふうに前向きに検討しておきます。
村を取り囲むオレンジの炎を見たとき、不思議と恐怖は無かった。
ただ、フラットな心でそれを見つめる。
きっと上手く村人を脱出させてくれているはず。
きっと逃げ延びてくれるはず。
この体はつぎはぎの、寄せ集めて作られたまがい物。
この魂は、吹き込まれただけの、作り物。
けど、
この気持ちはわたしのもの。
わたし固有のもの。
感情というモノを、教えてくれた人がここにはいる。
日々平穏に暮らしていただけの、善良な人たちがここには居る。
利用するために近づいた、けれどなにか特別な人がここには居る。
守らなければ。
護らなければ。
この気持ちは、作られていない、わたしだけのもの。
恐怖は無い。
ただ、誇りだけがある。
■初挑戦アリアンロッドルージュ。
……ごめんなさい、精進します。
でもリプレイを友達に貸してしまいました。
「なーんか、気味がわるいにゅ」
言いながらも軽い足取りでパラサは先頭を歩く。すぐ後ろにいるのはイリーナで、鎧の重い音が今は心強い。
「邪悪の巣窟って感じです!」
「何も居てくれないほうがありがたいんだがなあ」
邪悪を討ちたいのであろう声に、スイフリーはため息混じりに呟く。一切の悪を許さないという感情に、随分慣れたつもりではあるが、わざわざ波風立てる勢いで悪に立ち向かわなくてもいいじゃないか、とも思う。戦わずして勝てたらそれに越したことはない。まあ、もっとも、それはそれで謀略といって眉をひそめるのだろうが。
通路は暫く行ったところで左に曲がった。すぐ先にまたもや左への曲がり角が見える。角から角への間にはドアがある。
「にゅ? どうする?」
パラサが仲間を振り返る。
「どこに何があるかわからないから、開けていけ。これだけ妙な建物だ、屋敷の真ん中に出口がないとは言い切れん」
アーチーの言葉にパラサは頷くと、ドアにささっと近づいて様子を見る。
「罠なしー、鍵なしー、開けるにゅ」
ドアはあっけなくあいた。中は奥に細長い部屋で、ざっと見たところ何もなかった。
「何にもなさそうにゅ」
「では無視だ。奥まで行って何もなければ、戻ってきて探ってみよう」
アーチボルトの返答に、パラサは頷く。
「探さないんですか?」
意外に思ってマウナはアーチボルトを見上げる。
「他にもっと手がかりのある部屋があるかもしれない。そこで時間を使ったほうが良いだろう。時間は有効に使ったほうがいい」
角を曲がって、先に進む。相変わらず通路は細く、陰鬱な赤黒さが続いている。しばらく進むと、再び曲がり角が見えてきた。今度は右折になっている。
「一本道だっていうのが気に入らないな。罠に向かって歩いているみたいだ。こっちへ来いって感じだな」
ヒースはため息と共に肩をすくめる。
「でも、他に道がないのも事実でしょ? 奥まで行って何にもなかったら、もう仕方ないから上へ戻って壁の一つも壊せばいいのよ」
「どんどん大雑把になっていくな」
フィリスの答えに、ヒースは苦笑する。作戦を立てるときは慎重にああでもないこうでもないと話し合うくせに、いざ実行に移すとかなり力押しなのが、アノスの冒険者たちの特徴だ、と彼は思う。
(力押しが似合うとは思えないんだがなあ。魔晶石の差か?)
普段イリーナの怪力と鉄の塊のようなグレートソードを見ているせいか、彼らのリーダーであるアーチボルトが持っている剣はいまいちぴんと来ない。細いし、軽そうだ。多分自分でも簡単に扱えるだろう。
まあ、戦う姿を見たことがないから、何ともいえないのだが。バスの話では、ローンダミスと同じぐらいの実力らしいが、何せココまで出てきた敵らしい敵といえばゴブリンや野犬程度。大体がスイフリーの出会いがしらの魔法で話は終わってしまう。
「なあ、アーチーって、強いんだよな?」
尋ねると、フィリスが冷たい目でヒースを見た。
「当たり前でしょう」
「……ですよネ? すみませんでしたお姉サマ」
通路はその後、暫く真っ直ぐに伸びていた。右手側に2枚扉があって、角に近いほうの部屋には何もなかった。奥のほうの部屋は、随分広くて、向かい側の壁に出口といっても良いような扉があるのが見える。
奥側の部屋がこれまでと大きく違うのは、右手側の壁にあたる部分が全て鏡でできているということだった。
「どんな道楽かしら……小さな手鏡だって物凄く高価なのに、壁一面鏡張りなんて……」
マウナは恨めしそうな顔で鏡を見る。
「姿見じゃちょっと物足りなかったのよね。こういうの、城に据えない?」
「城のどこにだ」
「エントランスとか」
正反対の感想を述べるフィリス。苦い顔で返答するアーチボルト。
「鏡には何も異変はないか?」
「実害ある罠とかはなさそうにゅ。継ぎ目もないし」
あくまで現実的なスイフリーとパラサ。
「いつ見ても俺様は惚れ惚れするくらいの男前だな」
「兄さん、そういう場合じゃないですよ」
鏡に映った自分を色々な角度からみるヒースと、それを呆れた顔で見るイリーナ。
「イリーナもたまには鏡を見て色々考えたほうがいいぞ」
「色々?」
「強く見えるマッチョなポーズとかだな」
ごす、と鈍い音と共にヒースが後頭部を押さえてうずくまる。
「さあ! 邪悪目指して突き進みましょう!」
「だから居ないほうが良いと言うのに」
拳を振り上げ力説するイリーナの後ろで、スイフリーがぼそりと呟いた。
■気を抜くとフィリスとマウナが喋りません。
……バスほどじゃないけど。
こんこん、という軽いノックの音に返事をして、ドアを開ける。そこに立っていたのは、城に住まう少女だった。長い髪をポニーテールにした、目の大きい、可愛らしい子どもだ。この少女は、城主の中の一人が昔世話になっていた旅芸人の一座の娘で、現在はその縁でこの城の管理者の一人として城主たちを待っている。人懐っこく、また素直ないい娘だ。
彼女は少し首を傾げてみせると、少女に声をかける。
「どうしましたか、リズ。御用ですか?」
「クレア様、お手紙です。さっき村の人がお野菜を届けに来てくれて……くださって、そのついでに」
少女はまだ慣れない丁寧な言葉を、詰まり詰まりゆっくりと話す。初めて会ったときの、本当に子どもらしい奔放な喋り方から思えば、少し大人になってきた、ということかもしれない、と彼女はぼんやりと考える。
もしかしなくても、時間はゆっくり、確実に進んでいるのだ、と。
何通かの封書を受け取り、その場で差出人を確認する。大半は、少女宛のものだった。
「リズ、これは貴女への分です。レジィナさんからですよ」
「わぁ、レジィナお姉ちゃんから!?」
嬉しそうな笑顔を浮かべ、少女は封書を見つめる。手紙の主は城主のうちの一人で、少女にあててよく手紙を送ってきていた。旅先の絵葉書が大半だが、時折小さな土産物なども同封されている。少女が手紙を楽しみにするのも無理は無い。その嬉しそうな笑顔に、彼女まで嬉しい気持ちになる。
残った封書は2通。片方は表向きに城主である騎士からのもので、かなりの量の紙が入っている。多分今後の領内での方針などが書かれているのだろう。この手の封書もよく届くので、そろそろ新しいものが届くだろうと考えていた。だから、別段驚きはしない。これが届いたということは、そのうち細かい打ち合わせに一度騎士が戻ってくるだろう。説明ができるように色々と用意をしておく必要がある。手紙は、後でしっかり読み込む必要がある。
そして騎士が帰ってくると言うことは、魔術師も帰ってくる。魔術師から言われたことが最近頭の中をぐるぐると回っていて、最近彼女は自分があまり落ち着いていないことに気付いていた。この際、それについてももう一度質問してみるのもいいかもしれない、と考える。
もう片方は、やはり城主であるグラスランナーからの手紙だった。こちらも数枚、様々なことが書かれた手紙が入っている。実に楽しそうに書かれた文面に、彼女は少し苦笑する。結びにいたっては『愛をこめて』などとしたためられていて、いつものこととはいえ、軽く困惑する。
こう、簡単に伝えてしまえるグラスランナーを、少しうらやましい、とも思う。
と、手紙の中の一文に目が留まる。
何のことは無い、そのうち連れとともに帰るというだけの文章。
その部分だけ何度か読み返す。
「クレア様」
「何ですか?」
向かいで手紙を読んでいたはずの少女が、こちらを見てニコニコ笑っていることに気付く。
「楽しそうですね。レジィナさんからのお手紙に、楽しいことが書かれていましたか?」
「うん、レジィナお姉ちゃん、暫らくしたら帰ってくるって」
「それはよかったですね。いつごろか分かったら教えてください。お迎えするための準備をしましょう」
「うん!」
はちきれんばかりの笑顔で返事をする少女に、彼女は少し微笑んでみせる。
微笑む、などという動作をするようになったのは最近のことだ。前はそんな余裕は無かった。この余裕を、多分自分は喜ぶべきなのだろう、と彼女は思う。
所謂「閑職」に追いやられて初めて、自分は、多分笑顔を取り戻したのだ。
「クレア様も嬉しいことが書いてあったんですね?」
ニコニコと少女は笑って彼女を見上げる。
「え?」
思わず聞き返すと、少女は笑みを浮かべたまま続けた。
「だって、そのお手紙を読んでから、クレア様はとっても嬉しそうです」
「え?」
彼女は思わず少女に聞き返す。
少女はにっこりと笑って見せた。
「クレア様は、いつもパラサさんからのお手紙が来ると嬉しそうです」
「そうですか?」
尋ねると、少女は大きく頷いて見せた。
「パラサさんからのお手紙が来ると、クレア様は最初のほう、困った顔をして読んで、そのうちすごく嬉しそうな顔をします」
無意識のことについての指摘に、彼女は面食らって、ただまじまじと少女を見つめる。
「そうなんですか?」
「うん」
思わず聞き返すと、少女は久しぶりに子どもらしい返事をして、大きく頷いた。
「前から不思議で、でも、その話をしたら母さんは当然だって言いました」
「???」
思わず頭の中に疑問符がたくさん浮かぶ。自分がグラスランナーからの手紙で嬉しそうにしていることすら今日初めて知ったのに、少女の母親に言わせれば、それは当然だと言う。
「え、なぜなんでしょうか?」
思考が止まってしまった頭では何も考えることができず、彼女は思わず目の前の少女に尋ねる。
「わたしもよく分からないんですけど、お手紙が来たら必ず帰ってくるからだ、って、母さんは言いました」
少女も困惑したような顔で首を傾げてみせる。
「よく分からないですね」
「ね。わかんないです」
分からないことを分からないままにしておくのはよくないかも知れない、と彼女は思ったのだが、しかしどれだけ考えても自分では答えが出ないのだろう、とも思う。
「パラサさんもすぐ帰ってくるんですか?」
「ええ、スイフリーさんと一緒に」
「……」
少女が微妙な顔をした。少女は今でこそエルフの無愛想さに慣れたらしいが、それでもどうやら初対面がよくなかったようで、エルフのことを苦手としている。そしてエルフのほうも子どもは苦手らしく、それぞれ城に住むようになってから長いのだが、未だ互いの間には大きな溝がある。それに思い至り、彼女は悪いことを言ったかも知れない、と少し反省した。
それにしても、あのエルフは、あちこちで敵を作っているのではないだろうか。
自分との出会いもかなり悪かったし、この少女とも随分悪いようだ。
簡単に敵を作りすぎなのではないだろうか。
大丈夫なんだろうか。
そう考えて。
え?
あれ?
ふと自分の中の何かに触れたような気がして彼女は思わず息を止める。
「クレア様? 大丈夫ですか?」
少女が不思議そうな顔で彼女を見上げる。
「え? ええ、大丈夫です」
何とか笑みを作る。
大丈夫、笑えているはず。
「じゃあ、わたしは手紙をしまいに行ってきます」
少女はそういうと立ちあがる。
「レジィナさんが早くお帰りだといいですね」
「うん。クレア様も、パラサさんとスイフリーさんが早く来るといいですね」
少女が部屋を辞して、暫く彼女はソファから立ち上がれずにぼんやりとする。
たどり着いた、自分の中の、何か。
魔術師の、きれいな唇が笑みの形を作っていたことを思い出す。
ああ、コレは。
答えにたどり着いたのかもしれない。
■火曜日はラブシックの日、とりあえず最終火曜日です。
来月のことは良く分かりません。そして思いついたラストにこの話はたどりつくのでせうか?
というわけで、ちょっと時間が進んだ感のあるクレアさんサイドです。
しかし本当に答えにたどり着いたのかなあ?
どうなのかなあ?
まったくのノープランで、その時々に面白いと感じたことを書き付けているだけなので、どういう展開をするのか、本当に自分でも分かりません。
うっすらラインは見えてるんですけど、踏み外しや踏み抜きばかりしている気がします。