泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
薄暗い脇道を進む。馬車が通れるだけあって、道幅は狭くは無いが、やはり最近は利用されていないのか、あまり歩きやすい道ではなかった。何かあるかもしれないということで、いつも以上警戒を怠らず歩く。時折ゴブリンなどは見かけるが、たいした事件も無く道は続いている。
「何か、ちょっと拍子抜けだな」
「邪悪もゴブリンだけです」
ヒースとイリーナの会話も暢気な色合いを強めてきた。そのくらい何も無かった。
「はとこ、どうしたにゅ?」
空を見上げたスイフリーに、パラサがいち早く気がついて声をかける。
「ウンディーネちゃんの力が強まった。雨が来るかもしれん」
呟きに、精霊使いたちはいっせいに頷く。空気に注意を向けてみれば、確かに空気は微妙に水分を含み湿り気を増してきていた。
「この狭い道で雨って嫌だなあ」
レジィナが呟く。
「そういうの言うと、大体本当に雨って降り出すよね」
ノリスがはははと能天気に笑う。
その声に、一気に全員がノリスをぎろりと見たが、本人が一番わかっていないのか、きょとんとした表情をした。ガルガドが大きくため息をつく。
木々の間から見える空は、少しずつ暗くなり始めていた。
何も無いところまで雨が降らなければいい、という全員の思いとは裏腹に、程なく雨が降り始めた。最初からかなりの勢いで降り始め、雨足は強くなる一方である。
「雨宿りとかできる場所探そうよ」
「都合よくあるわけないよ! テントを張ったほうが早いんじゃない?」
ノリスの言葉にエキューが突っ込みつつ提案をする。
「テントは有効だが、今は場所が悪い」
ヒースがすぐさま返答する。彼の指摘どおり、地面はでこぼことして平坦ではない。テントは張りにくいだろう。
「とりあえず、もう少し進んでみましょう。この道は貴族の別荘へ続いているんでしょう? 軒先くらいは貸してくれるかもしれません」
イリーナが握りこぶしで言う。
「貸してくれるかなあ?」
パラサが笑う。
「そのときは、猛女様の威光とか、騎士様の威光とか、そういうのを使っていきましょう」
「ロマールでは効き目無いぞ、騎士様の威光は。自分で言うのもなんだが」
アーチボルトが苦い顔をする。
「ともかく、もう少し進もう。どのみちココではテントが張れんのだ。貴族の別荘がどの程度遠いものかわからんが、別荘が見つかればそちらを、見つからなければテントを使用するということで」
すぐに思い直したのか、アーチボルトは表情をきりりと戻して宣言した。一行は反対する理由も無く、一本道を再び歩き始めた。
■うはははは、ご都合主義!
これからドンドンご都合主義になっていくのだから、このくらいで驚いていてはいけません(苦笑)
「何か、ちょっと拍子抜けだな」
「邪悪もゴブリンだけです」
ヒースとイリーナの会話も暢気な色合いを強めてきた。そのくらい何も無かった。
「はとこ、どうしたにゅ?」
空を見上げたスイフリーに、パラサがいち早く気がついて声をかける。
「ウンディーネちゃんの力が強まった。雨が来るかもしれん」
呟きに、精霊使いたちはいっせいに頷く。空気に注意を向けてみれば、確かに空気は微妙に水分を含み湿り気を増してきていた。
「この狭い道で雨って嫌だなあ」
レジィナが呟く。
「そういうの言うと、大体本当に雨って降り出すよね」
ノリスがはははと能天気に笑う。
その声に、一気に全員がノリスをぎろりと見たが、本人が一番わかっていないのか、きょとんとした表情をした。ガルガドが大きくため息をつく。
木々の間から見える空は、少しずつ暗くなり始めていた。
何も無いところまで雨が降らなければいい、という全員の思いとは裏腹に、程なく雨が降り始めた。最初からかなりの勢いで降り始め、雨足は強くなる一方である。
「雨宿りとかできる場所探そうよ」
「都合よくあるわけないよ! テントを張ったほうが早いんじゃない?」
ノリスの言葉にエキューが突っ込みつつ提案をする。
「テントは有効だが、今は場所が悪い」
ヒースがすぐさま返答する。彼の指摘どおり、地面はでこぼことして平坦ではない。テントは張りにくいだろう。
「とりあえず、もう少し進んでみましょう。この道は貴族の別荘へ続いているんでしょう? 軒先くらいは貸してくれるかもしれません」
イリーナが握りこぶしで言う。
「貸してくれるかなあ?」
パラサが笑う。
「そのときは、猛女様の威光とか、騎士様の威光とか、そういうのを使っていきましょう」
「ロマールでは効き目無いぞ、騎士様の威光は。自分で言うのもなんだが」
アーチボルトが苦い顔をする。
「ともかく、もう少し進もう。どのみちココではテントが張れんのだ。貴族の別荘がどの程度遠いものかわからんが、別荘が見つかればそちらを、見つからなければテントを使用するということで」
すぐに思い直したのか、アーチボルトは表情をきりりと戻して宣言した。一行は反対する理由も無く、一本道を再び歩き始めた。
■うはははは、ご都合主義!
これからドンドンご都合主義になっていくのだから、このくらいで驚いていてはいけません(苦笑)
PR
「あ、精霊魔法でトンネル掘ればいいんじゃない? コレなら戦力ばらばらなんてことないし、危なくないんじゃない?」
ノリスの言葉に、スイフリーは苦い顔をする。
「ソレも考えた。がけ崩れがたいした規模でなければ使える策だ。が、がけ崩れがたいした規模でなければ、さっきの冒険者たちは乗り越えるなりなんなりしただろう。そうしなかったということは、かなりの規模と考えていい。トンネルは確かに有効な策ではあるが、この人数が無事に通り抜けられるだけの大きさと時間拡大を考えると、赤字だ。コレは試したことがあるから間違いない」
「あの時は200メートルくらい進むのに60万かかったにゅ」
「私の落下制御もはいってるわよ、その値段」
「コレから何があるか分からない以上、魔晶石の無駄使いは避けたい。……それにトンネルだと通っている最中、後ろから襲われたら逃げ場はないぞ。故に却下だ」
スイフリーの返答に、マウナとイリーナがお互いの引きつった顔を見合わせる。
「……60万って、単位はガメルだよね?」
「っていうか、できないわけじゃないんだ……」
「そんなでっかい穴掘って、何したの?」
分かっているのかいないのか、ノリスが不思議そうな顔をしてスイフリーを見た。
「……秘密だ」
「えー、教えてよー」
「言えない。言ったらわたしたちの首が飛ぶ。これは比喩じゃないぞ」
ノリスはまだぶーぶー文句を言っているが、スイフリーたちは軽く聞き流して最終的な話し合いを進める。
「結局、脇道を行くか」
「どっちに行ってもリスクはある。脇道のほうが多少偶発的なリスクが低いだろうなあ、というくらいの差だ」
「じゃ、脇道行くか」
色々考えた割には、最終的な決断はあっさりとしたもので、アーチボルト・スイフリー・ヒースの三人の間で決定され、実行に移ることになった。
教えられた脇道は、街道を少し戻ったところにあった。簡単に見つけられる脇道だったから、一度通ったときにも見た気がする。ただ、通る必要が無かったからあまり記憶に無いだけだろう。道は馬車が通るのだろう、轍のあとがある。が、使われなくなって久しいのか、草が生い茂りあまり歩きやすい雰囲気ではない。ただ、木がキレイに切られているためにコレが道なのだろう、と判断できる程度の話だ。辺りはうっそうとした森で、少々薄暗い。
「いかにも何かありそう」
フィリスが苦笑する。
「相手はあのお方だぞ? 何かあって当然だろう」
「私たちが旅してるの、知らないかもしれないよ?」
嬉しそうなアーチボルトにたいし、レジィナはため息をつく。
「まあ、気にしていても仕方が無い。ちゃっちゃと行くぞ」
■昨日はDQコンサートにいっておりまして、お休みしました。
■前回の分を書いたときに、友人に「トンネルはー?」と突っ込みを入れられたので、とりあえずいいわけめいたことを書いてみた。
「トンネル」を忘れていたなんて、秘密だ。
バブリーズリターンでオランのお城にトンネルで忍び込んだとき、確か60万といっていたので、その辺りを使ってみたよ。ちなみに200メートルという表記はネットで発見。
一応発言者は清松さんだから、公式ってことで言い張る。
ここからもご都合主義で進んでいくよ。
ノリスの言葉に、スイフリーは苦い顔をする。
「ソレも考えた。がけ崩れがたいした規模でなければ使える策だ。が、がけ崩れがたいした規模でなければ、さっきの冒険者たちは乗り越えるなりなんなりしただろう。そうしなかったということは、かなりの規模と考えていい。トンネルは確かに有効な策ではあるが、この人数が無事に通り抜けられるだけの大きさと時間拡大を考えると、赤字だ。コレは試したことがあるから間違いない」
「あの時は200メートルくらい進むのに60万かかったにゅ」
「私の落下制御もはいってるわよ、その値段」
「コレから何があるか分からない以上、魔晶石の無駄使いは避けたい。……それにトンネルだと通っている最中、後ろから襲われたら逃げ場はないぞ。故に却下だ」
スイフリーの返答に、マウナとイリーナがお互いの引きつった顔を見合わせる。
「……60万って、単位はガメルだよね?」
「っていうか、できないわけじゃないんだ……」
「そんなでっかい穴掘って、何したの?」
分かっているのかいないのか、ノリスが不思議そうな顔をしてスイフリーを見た。
「……秘密だ」
「えー、教えてよー」
「言えない。言ったらわたしたちの首が飛ぶ。これは比喩じゃないぞ」
ノリスはまだぶーぶー文句を言っているが、スイフリーたちは軽く聞き流して最終的な話し合いを進める。
「結局、脇道を行くか」
「どっちに行ってもリスクはある。脇道のほうが多少偶発的なリスクが低いだろうなあ、というくらいの差だ」
「じゃ、脇道行くか」
色々考えた割には、最終的な決断はあっさりとしたもので、アーチボルト・スイフリー・ヒースの三人の間で決定され、実行に移ることになった。
教えられた脇道は、街道を少し戻ったところにあった。簡単に見つけられる脇道だったから、一度通ったときにも見た気がする。ただ、通る必要が無かったからあまり記憶に無いだけだろう。道は馬車が通るのだろう、轍のあとがある。が、使われなくなって久しいのか、草が生い茂りあまり歩きやすい雰囲気ではない。ただ、木がキレイに切られているためにコレが道なのだろう、と判断できる程度の話だ。辺りはうっそうとした森で、少々薄暗い。
「いかにも何かありそう」
フィリスが苦笑する。
「相手はあのお方だぞ? 何かあって当然だろう」
「私たちが旅してるの、知らないかもしれないよ?」
嬉しそうなアーチボルトにたいし、レジィナはため息をつく。
「まあ、気にしていても仕方が無い。ちゃっちゃと行くぞ」
■昨日はDQコンサートにいっておりまして、お休みしました。
■前回の分を書いたときに、友人に「トンネルはー?」と突っ込みを入れられたので、とりあえずいいわけめいたことを書いてみた。
「トンネル」を忘れていたなんて、秘密だ。
バブリーズリターンでオランのお城にトンネルで忍び込んだとき、確か60万といっていたので、その辺りを使ってみたよ。ちなみに200メートルという表記はネットで発見。
一応発言者は清松さんだから、公式ってことで言い張る。
ここからもご都合主義で進んでいくよ。
■4
ファンドリアを大きな問題もなく通り過ぎ、一行はロマールを進んでいる。
相変わらず、時折野犬や熊、ゴブリンなどに襲われることはあるが、それは旅をしていれば当たり前のことであり、たいした話ではない。ロマールに入ってすぐ、数日雨に降られたことで多少日数はかさんでいるが、長い旅の間では珍しいことでもない。旅は順調といえる。
東に伸びる街道を数日歩いたところで、東からやってくる冒険者らしい一団と出会った。
思えば、ココから面倒な事件は始まっていたのかもしれない。しかしそんなことはそのときの彼らは知るよしもない。
「今からオラン方面へ向かうのかい?」
彼らの中の一人が、アーチボルトたちに声をかけた。
彼らは駆け出しの冒険者というわけではなさそうだった。着ているものは少々くたびれているし、それなりに堂々としている。ただ、全員今は疲れているように見えた。
「そうだ」
アーチボルトは短く答える。
「じゃあ、ココからちょっとだけ引き返してわき道を行ったほうがいいぞ。俺たちもオラン方面に向かって旅をしてたんだが、途中で崖が崩れていてな。引き返してきたんだ」
「最近、雨が長続きしましたもんね」
アーチボルトの隣でイリーナが頷く。男は続けた。
「俺たちは一回ロマールの都に戻ってからもう一回わき道へ向かうことにしたんだ。がけ崩れまで結構距離があってな、戻ってくるまでに無駄に食糧を消費してしまった」
「ソレは大変だったな」
アーチボルトは鷹揚に返事をする。それから振り返って後ろに居たスイフリーに声をかける。
「道を聞いておくか?」
「聞いても問題ないだろう」
男の話だと、この街道に沿うように、森の中を行くわき道がこの辺りにはあるらしい。わき道は貴族の別荘に行くために作られたもので、色々な方面から来る客のためにオラン側に抜けられるようにもなっている。あまり使われない道だから多少歩きにくいかも知れないが、街道で崩れた崖の土砂を通り越すよりは楽だろうということだった。
その場でロマールに向かう一行に別れを告げ、彼らは顔を見合わせる。
「さて、どうしたものかな」
長い旅の間に彼らの中には連帯感が生まれている。最初こそ2つのパーティーが同時に旅をするような感じだったが今ではほとんど同一パーティーといっていい。いつの間にかリーダーはアーチボルトが勤めるようになっていた。
「プラン1。このまま街道を進む、崖崩れはフィリスとヒースのフライトで跳び越す。魔晶石はまだ余裕があるからな。彼らの疲労具合からいって、かなり崖崩れは遠そうだ。確認してから戻ってくるのは馬鹿らしい。プラン2。わき道を行く」
スイフリーは答えてから、ふう、とため息をついた。
「彼らの話を信用するということだな」
「センスライを使うべきだったか?」
アーチボルトとヒースがそれぞれ口にした言葉に、スイフリーは口を吊り上げて見せた。
「そうだな、信用することになるかな。それと、センスライは使っても仕方なかったかもしれない。というわけで、わたしはプラン3、あえてわき道を行くというのを推す」
「プラン2と何が違うの?」
ノリスが首をかたんと傾ける。隣でイリーナも似たようなジェスチャーをしていた。
「ここはロマールだ。今までの静けさから考えて、来るならそろそろじゃないかと思ってな」
「何が」
「あのお方の策だよ」
スイフリーは続ける。
「彼らが真に親切で崖崩れを警告してくれたのなら、何の問題もない。わき道も安全である可能性は高いだろう。だからわき道を行っても問題ない」
「親切でなかったら?」
グイズノーの質問に、スイフリーは口の端を吊り上げた。
「罠があるだろうな」
「分かっていて行くのは馬鹿なんじゃない? プラン1で言った、フライトで飛び越えるで十分だよ」
エキューが眉を寄せる。よほどのことがない限り、自分から危険な場所に行く必要はないだろう。
「彼らが親切でなかった場合。わき道のほうには何らかの細工があるだろうな。が、相手はあのお方。わたしたちがわき道を通った場合でも、街道を行った場合でもそれなりの策を用意してくるだろう。この場合、お勧めがわき道ということになるな」
「なら、お勧めにわざわざ行かなくてもいいじゃないですか」
グイズノーがエキューに賛同した。スイフリーは気にせず続けた。
「崖崩れでどういう策が用意されてるかなんて思いつけないが、本当に崖が崩れた上で策が用意されていたら一つ決定的な弱点がわたしたちにできる」
「何ですか?」
「戦力が3分割される。空を飛んでいる組と、着地地点の組、出発点の組だな。特に初手なんかで何かされてみろ、着地地点には最大2人しか居ないんだぞ、そのときに何かあったらどうするんだ」
「崖が崩れてないっていうパターンは考えられないか?」
「可能性はもちろんある。が、実際に崩れていた場合さっき言った難点がある。予測は最悪側で考えたほうがいい」
「その点、お勧めルートは戦力の大きな分断はないだろう。それに」
「それに?」
「最初から警戒して歩けるという利点がある」
ソレは利点だろうか、と思う人間のほうが多かったが、誰も口にはしなかった。
■昨日から、友人に送っているメールバージョンの「泡ぽこ」を再開しました。
友人たちに擬似戦闘をしてもらったんですけど、スイフリーの戦乙女の槍と敏捷度は凶悪だそうです。
モラトリアムのおっさんも凶悪だそうです。
その場に居ればよかったのですが、残念ながらいられませんでした。ふー。
ファンドリアを大きな問題もなく通り過ぎ、一行はロマールを進んでいる。
相変わらず、時折野犬や熊、ゴブリンなどに襲われることはあるが、それは旅をしていれば当たり前のことであり、たいした話ではない。ロマールに入ってすぐ、数日雨に降られたことで多少日数はかさんでいるが、長い旅の間では珍しいことでもない。旅は順調といえる。
東に伸びる街道を数日歩いたところで、東からやってくる冒険者らしい一団と出会った。
思えば、ココから面倒な事件は始まっていたのかもしれない。しかしそんなことはそのときの彼らは知るよしもない。
「今からオラン方面へ向かうのかい?」
彼らの中の一人が、アーチボルトたちに声をかけた。
彼らは駆け出しの冒険者というわけではなさそうだった。着ているものは少々くたびれているし、それなりに堂々としている。ただ、全員今は疲れているように見えた。
「そうだ」
アーチボルトは短く答える。
「じゃあ、ココからちょっとだけ引き返してわき道を行ったほうがいいぞ。俺たちもオラン方面に向かって旅をしてたんだが、途中で崖が崩れていてな。引き返してきたんだ」
「最近、雨が長続きしましたもんね」
アーチボルトの隣でイリーナが頷く。男は続けた。
「俺たちは一回ロマールの都に戻ってからもう一回わき道へ向かうことにしたんだ。がけ崩れまで結構距離があってな、戻ってくるまでに無駄に食糧を消費してしまった」
「ソレは大変だったな」
アーチボルトは鷹揚に返事をする。それから振り返って後ろに居たスイフリーに声をかける。
「道を聞いておくか?」
「聞いても問題ないだろう」
男の話だと、この街道に沿うように、森の中を行くわき道がこの辺りにはあるらしい。わき道は貴族の別荘に行くために作られたもので、色々な方面から来る客のためにオラン側に抜けられるようにもなっている。あまり使われない道だから多少歩きにくいかも知れないが、街道で崩れた崖の土砂を通り越すよりは楽だろうということだった。
その場でロマールに向かう一行に別れを告げ、彼らは顔を見合わせる。
「さて、どうしたものかな」
長い旅の間に彼らの中には連帯感が生まれている。最初こそ2つのパーティーが同時に旅をするような感じだったが今ではほとんど同一パーティーといっていい。いつの間にかリーダーはアーチボルトが勤めるようになっていた。
「プラン1。このまま街道を進む、崖崩れはフィリスとヒースのフライトで跳び越す。魔晶石はまだ余裕があるからな。彼らの疲労具合からいって、かなり崖崩れは遠そうだ。確認してから戻ってくるのは馬鹿らしい。プラン2。わき道を行く」
スイフリーは答えてから、ふう、とため息をついた。
「彼らの話を信用するということだな」
「センスライを使うべきだったか?」
アーチボルトとヒースがそれぞれ口にした言葉に、スイフリーは口を吊り上げて見せた。
「そうだな、信用することになるかな。それと、センスライは使っても仕方なかったかもしれない。というわけで、わたしはプラン3、あえてわき道を行くというのを推す」
「プラン2と何が違うの?」
ノリスが首をかたんと傾ける。隣でイリーナも似たようなジェスチャーをしていた。
「ここはロマールだ。今までの静けさから考えて、来るならそろそろじゃないかと思ってな」
「何が」
「あのお方の策だよ」
スイフリーは続ける。
「彼らが真に親切で崖崩れを警告してくれたのなら、何の問題もない。わき道も安全である可能性は高いだろう。だからわき道を行っても問題ない」
「親切でなかったら?」
グイズノーの質問に、スイフリーは口の端を吊り上げた。
「罠があるだろうな」
「分かっていて行くのは馬鹿なんじゃない? プラン1で言った、フライトで飛び越えるで十分だよ」
エキューが眉を寄せる。よほどのことがない限り、自分から危険な場所に行く必要はないだろう。
「彼らが親切でなかった場合。わき道のほうには何らかの細工があるだろうな。が、相手はあのお方。わたしたちがわき道を通った場合でも、街道を行った場合でもそれなりの策を用意してくるだろう。この場合、お勧めがわき道ということになるな」
「なら、お勧めにわざわざ行かなくてもいいじゃないですか」
グイズノーがエキューに賛同した。スイフリーは気にせず続けた。
「崖崩れでどういう策が用意されてるかなんて思いつけないが、本当に崖が崩れた上で策が用意されていたら一つ決定的な弱点がわたしたちにできる」
「何ですか?」
「戦力が3分割される。空を飛んでいる組と、着地地点の組、出発点の組だな。特に初手なんかで何かされてみろ、着地地点には最大2人しか居ないんだぞ、そのときに何かあったらどうするんだ」
「崖が崩れてないっていうパターンは考えられないか?」
「可能性はもちろんある。が、実際に崩れていた場合さっき言った難点がある。予測は最悪側で考えたほうがいい」
「その点、お勧めルートは戦力の大きな分断はないだろう。それに」
「それに?」
「最初から警戒して歩けるという利点がある」
ソレは利点だろうか、と思う人間のほうが多かったが、誰も口にはしなかった。
■昨日から、友人に送っているメールバージョンの「泡ぽこ」を再開しました。
友人たちに擬似戦闘をしてもらったんですけど、スイフリーの戦乙女の槍と敏捷度は凶悪だそうです。
モラトリアムのおっさんも凶悪だそうです。
その場に居ればよかったのですが、残念ながらいられませんでした。ふー。
「ドラゴンだよ」
あっけらかんとした声でレジィナが言う。
「は?」
思わずヒースとエキューの声がはもった。
「い、今ドラゴンとか言いやがりなさいましたか、お姉さま」
「うん、レッサードラゴン」
「だからアレはとどめだけだから、数に入れていいか微妙だろう」
スイフリーが眉を寄せる。が、彼も否定はしない。
「すばらしい! ドラゴンスレーヤーがここに!」
バスが声を大きくする。その声はどこまでも嬉しそうで、楽しそうな響きがあった。
「一体、何があったらドラゴンを倒そうなんて話になるわけだ?」
「目の前に落ちてきたんだよ」
「あの時はもう駄目かと思いましたよねぇ」
「ドラゴンのほうから、倒されるために現れるとは! 英雄をかぎつけたわけですな!」
バスの中では既に歌ができつつあるらしい、にじみ出る嬉しさがわかる。数分後には歌いだすかもしれない。
「そうかー、オレら英雄だったのかー」
「知らなかったなあ」
パラサとスイフリーが苦笑している。
「でも、凄い武勲です! どうして誇らないんですか?」
イリーナは少々悔しそうだ。自分が戦えなかったからかもしれない。
「エルダーにほとんどやられてたからなあ、あのレッサー」
「普通倒そうなんて考えないよな」
「いやあ、生きているってすばらしい」
全員、あまり話したくはないらしい。エキューはそう思ったが黙っておく。
「まあ、ともかく、オランとアノスの間にはそうそう人間は襲わないドラゴンがいるわけで、時折狩りの巻き添えを食うかもしれないから気をつけろという話だ」
「そんな風にまとめていいのかなあ」
「アーチボルトさんやレジィナさんが斬ったんですか?」
「まあ、当てたけど」
「純粋にダメージはそれほど与えてないんじゃないかな。手ごたえはあったが。どちらかというとフィリスやスイフリーだろう」
「いくら出費したんでしたっけ?」
「さあ? あの時は1回1個くらいだったかなあ? 2回だっけ? その後補充したからよくわかんない」
何の1個なのだろうか。
何を補充したんだろうか。
なんとなく答えが分かりそうな気がして、ヒースは聞かずにおく。
「ああいうときは出費を考えてたら生き残れないぞ。基本は素早く全力だ」
「なんか言葉にして聞いてると悪人みたい」
レジィナが嫌そうな顔をする。
「何を言うか。戦わずして勝てれば最良、ノーリスクハイリターンが最終的な夢。戦うことになる前に策をばらまき相手を翻弄、倒れてくれたら僥倖、いざ戦うときは全力で叩き潰して生き残る。どこが悪人だ。生きるための鉄則だろう」
「それはスイフリーだけの鉄則だよ」
「きっとスイフリーさんはヒース兄さんと話が合います。そしてほのかに邪悪の匂いです」
イリーナの目が剣呑な光を帯びてスイフリーを見る。
「心配しなくてもはとこは邪悪にゅ」
「そうそう、彼は邪悪ですよ。……これ以上外付けモラル判断装置を増やしてどうするつもりですか、スイフリー」
「お前ら」
パラサとグイズノーを睨みつけるが、もともとそういうのを気にする相手ではない。スイフリーは舌打ちすると続ける。
「第一、あの言い方はほのかな邪悪の匂いはヒースもしてるということだろう。それに見てる限りイリーナはヒースのモラル判断装置だ。これ以上わたしには増えない」
「悪いこと言っているという自覚はあるんですね」
「意外にゅ」
「……」
反論に疲れたのかスイフリーは何も言わず、もう一度ぎろりと二人をにらみつけると押し黙る。そして疑惑の目がクレアから向けられていることに気づいて舌打ちした。
「俺様のモラルをイリーナが判断しているわけがないだろう。俺様がイリーナの全くない頭脳の代わりをすることがあったとしてもだ!」
「ヒース兄さんぬか喜びの野への片道切符なら私でもプレゼントできますよ」
「嫌だなあイリーナさん、軽い冗談じゃないですカー」
「やっぱり似たようなのを私何処かで見たことある気がします」
「気のせいにしときなさいな、レジィナ。……ファリス神官って大変ねぇ」
フィリスとレジィナがわざとらしいため息をつくのを聞きつつ、一行は進んでいく。
今のところ、旅路は非常に気楽だった。
■レジィナはあんなにあっさり色々ばらさないかもしれないけど、まあ、それはそれとして生暖かい目で見守ったってや。どっちかというと自慢するのはアーチーだったかもなー。
というわけで、次回からTRPGで言うところのイベント突入です。
……って長い前置きだなおい!!!
■この話を友人に送ったとき、スイフリーのセリフを褒められました(笑)
あっけらかんとした声でレジィナが言う。
「は?」
思わずヒースとエキューの声がはもった。
「い、今ドラゴンとか言いやがりなさいましたか、お姉さま」
「うん、レッサードラゴン」
「だからアレはとどめだけだから、数に入れていいか微妙だろう」
スイフリーが眉を寄せる。が、彼も否定はしない。
「すばらしい! ドラゴンスレーヤーがここに!」
バスが声を大きくする。その声はどこまでも嬉しそうで、楽しそうな響きがあった。
「一体、何があったらドラゴンを倒そうなんて話になるわけだ?」
「目の前に落ちてきたんだよ」
「あの時はもう駄目かと思いましたよねぇ」
「ドラゴンのほうから、倒されるために現れるとは! 英雄をかぎつけたわけですな!」
バスの中では既に歌ができつつあるらしい、にじみ出る嬉しさがわかる。数分後には歌いだすかもしれない。
「そうかー、オレら英雄だったのかー」
「知らなかったなあ」
パラサとスイフリーが苦笑している。
「でも、凄い武勲です! どうして誇らないんですか?」
イリーナは少々悔しそうだ。自分が戦えなかったからかもしれない。
「エルダーにほとんどやられてたからなあ、あのレッサー」
「普通倒そうなんて考えないよな」
「いやあ、生きているってすばらしい」
全員、あまり話したくはないらしい。エキューはそう思ったが黙っておく。
「まあ、ともかく、オランとアノスの間にはそうそう人間は襲わないドラゴンがいるわけで、時折狩りの巻き添えを食うかもしれないから気をつけろという話だ」
「そんな風にまとめていいのかなあ」
「アーチボルトさんやレジィナさんが斬ったんですか?」
「まあ、当てたけど」
「純粋にダメージはそれほど与えてないんじゃないかな。手ごたえはあったが。どちらかというとフィリスやスイフリーだろう」
「いくら出費したんでしたっけ?」
「さあ? あの時は1回1個くらいだったかなあ? 2回だっけ? その後補充したからよくわかんない」
何の1個なのだろうか。
何を補充したんだろうか。
なんとなく答えが分かりそうな気がして、ヒースは聞かずにおく。
「ああいうときは出費を考えてたら生き残れないぞ。基本は素早く全力だ」
「なんか言葉にして聞いてると悪人みたい」
レジィナが嫌そうな顔をする。
「何を言うか。戦わずして勝てれば最良、ノーリスクハイリターンが最終的な夢。戦うことになる前に策をばらまき相手を翻弄、倒れてくれたら僥倖、いざ戦うときは全力で叩き潰して生き残る。どこが悪人だ。生きるための鉄則だろう」
「それはスイフリーだけの鉄則だよ」
「きっとスイフリーさんはヒース兄さんと話が合います。そしてほのかに邪悪の匂いです」
イリーナの目が剣呑な光を帯びてスイフリーを見る。
「心配しなくてもはとこは邪悪にゅ」
「そうそう、彼は邪悪ですよ。……これ以上外付けモラル判断装置を増やしてどうするつもりですか、スイフリー」
「お前ら」
パラサとグイズノーを睨みつけるが、もともとそういうのを気にする相手ではない。スイフリーは舌打ちすると続ける。
「第一、あの言い方はほのかな邪悪の匂いはヒースもしてるということだろう。それに見てる限りイリーナはヒースのモラル判断装置だ。これ以上わたしには増えない」
「悪いこと言っているという自覚はあるんですね」
「意外にゅ」
「……」
反論に疲れたのかスイフリーは何も言わず、もう一度ぎろりと二人をにらみつけると押し黙る。そして疑惑の目がクレアから向けられていることに気づいて舌打ちした。
「俺様のモラルをイリーナが判断しているわけがないだろう。俺様がイリーナの全くない頭脳の代わりをすることがあったとしてもだ!」
「ヒース兄さんぬか喜びの野への片道切符なら私でもプレゼントできますよ」
「嫌だなあイリーナさん、軽い冗談じゃないですカー」
「やっぱり似たようなのを私何処かで見たことある気がします」
「気のせいにしときなさいな、レジィナ。……ファリス神官って大変ねぇ」
フィリスとレジィナがわざとらしいため息をつくのを聞きつつ、一行は進んでいく。
今のところ、旅路は非常に気楽だった。
■レジィナはあんなにあっさり色々ばらさないかもしれないけど、まあ、それはそれとして生暖かい目で見守ったってや。どっちかというと自慢するのはアーチーだったかもなー。
というわけで、次回からTRPGで言うところのイベント突入です。
……って長い前置きだなおい!!!
■この話を友人に送ったとき、スイフリーのセリフを褒められました(笑)
オーファンの南から街道へ出て、一行は順調に進む。
時折ゴブリンや野犬などと遭遇することもあったが、そういうものは敵にならない。大体、足の速い者がさっさと片をつけるため、戦闘があった、という感覚さえない。
「それにしても、まともなレンジャーが居るとこんなに快適なものなのですねぇ」
グイズノーは相変わらず真意の分からない笑顔で言う。
「まだ不意打ちされてませんよ。相手が弱いとは言え」
「レンジャーなしで冒険してたのか」
呆れ顔でガルガドは隣をあるくグイズノーを見上げる。
「ええ、わたくしたちは、どちらかというと街中の冒険者なのですよ。陰謀を暴いたり、攻め込んでくるものを迎え撃ったり」
「それでどうやって名を馳せたのだ」
戦神の神官としては気になる。アノスといえば東の大国。しかもファリスが国教で、オーファンとは違い冒険者には色々厳しい国だ。街中だけで色々解決していても、冒険者が名を馳せることはできない。
「まあ、色々あったのですよ」
グイズノーの笑顔からは、真意は相変わらず汲み取れない。
「では、邪悪とは戦っていないんですか?」
イリーナは首をかしげる。彼女としては自分の武勲はワイバーンだのデュラハンだのバンパイアと戦って得たものであり、冒険とはそういうものである。グイズノーの話の聞き方によっては、戦わずして武勲を挙げたように思える。
「邪悪ですか……そうですねえ、ダークエルフは沢山戦いましたねぇ」
「ダークエルフ」
イリーナはうなずく。ダークエルフは問答無用に悪だ。
「他にはどうですか?」
イリーナの問いに、実は一番目を輝かせているのはバスだったりするが、今のところ誰もそれには気づかない。
「他ですか。派手なところでは……アンデットナイトとか」
「……」
「おや、どうしました、イリーナ。そんな押し黙って」
「なんでもありません」
「あと、何を倒しましたっけ? 派手なのがいいそうですが」
「オレ、魔神倒した!」
「そんなこともありましたねぇ」
「派手なのをピックアップして過去から並べると、精霊使いの敵である魔術師・某国の特殊部隊……はそう派手でもなかったか。ワイト・アンデットナイト・アザービースト・マリクドライ・ジャイアントオクトパス・駄目な魔術師、あともう数忘れたがダークエルフ。奴らは定期的に戦ってるからなあ。あとはザワンゼンとかか?」
スイフリーが指を折りながら淡々と魔物の名前を挙げていく。
「珍しいですね、スイフリーが武勲を自分から言うなんて」
「なんとなく、今言わないとずーっとそこのファリス神官が『何を倒したんですか?』とまとわり着いてきそうな気がしたからだ。そしてお前に任せるといらんことまで言いそうだからだ」
「そんなこと……ちょっとしかしません」
苦い顔のスイフリーに、イリーナが少し顔を赤らめる。グイズノーはたいして気にした様子もなくはははと笑う。
「何だか知らない名前が一杯です」
「とりあえず、強い悪魔だと思っとけ」
イリーナが眉間の辺りを抑えるのを見て、ヒースはため息混じりに答えておく。自分たちも派手な戦いをしていたつもりだったが、あちらさんも上位悪魔と何回も戦っている。有名な冒険者というのは、やはりウソではないらしい。
「いっちばん派手なのはレッサーじゃないの?」
「あれはとどめだけだから、数に入れていいのか微妙だろう」
レジィナの言葉に、スイフリーがため息をつく。
「レッサー、の後が気になりますな」
バスが目の輝きを倍にして言う。
「色々あるよな」
■中途半端だけど、ここまで。
この会話が終わったらそろそろイベント突入してみる。
時折ゴブリンや野犬などと遭遇することもあったが、そういうものは敵にならない。大体、足の速い者がさっさと片をつけるため、戦闘があった、という感覚さえない。
「それにしても、まともなレンジャーが居るとこんなに快適なものなのですねぇ」
グイズノーは相変わらず真意の分からない笑顔で言う。
「まだ不意打ちされてませんよ。相手が弱いとは言え」
「レンジャーなしで冒険してたのか」
呆れ顔でガルガドは隣をあるくグイズノーを見上げる。
「ええ、わたくしたちは、どちらかというと街中の冒険者なのですよ。陰謀を暴いたり、攻め込んでくるものを迎え撃ったり」
「それでどうやって名を馳せたのだ」
戦神の神官としては気になる。アノスといえば東の大国。しかもファリスが国教で、オーファンとは違い冒険者には色々厳しい国だ。街中だけで色々解決していても、冒険者が名を馳せることはできない。
「まあ、色々あったのですよ」
グイズノーの笑顔からは、真意は相変わらず汲み取れない。
「では、邪悪とは戦っていないんですか?」
イリーナは首をかしげる。彼女としては自分の武勲はワイバーンだのデュラハンだのバンパイアと戦って得たものであり、冒険とはそういうものである。グイズノーの話の聞き方によっては、戦わずして武勲を挙げたように思える。
「邪悪ですか……そうですねえ、ダークエルフは沢山戦いましたねぇ」
「ダークエルフ」
イリーナはうなずく。ダークエルフは問答無用に悪だ。
「他にはどうですか?」
イリーナの問いに、実は一番目を輝かせているのはバスだったりするが、今のところ誰もそれには気づかない。
「他ですか。派手なところでは……アンデットナイトとか」
「……」
「おや、どうしました、イリーナ。そんな押し黙って」
「なんでもありません」
「あと、何を倒しましたっけ? 派手なのがいいそうですが」
「オレ、魔神倒した!」
「そんなこともありましたねぇ」
「派手なのをピックアップして過去から並べると、精霊使いの敵である魔術師・某国の特殊部隊……はそう派手でもなかったか。ワイト・アンデットナイト・アザービースト・マリクドライ・ジャイアントオクトパス・駄目な魔術師、あともう数忘れたがダークエルフ。奴らは定期的に戦ってるからなあ。あとはザワンゼンとかか?」
スイフリーが指を折りながら淡々と魔物の名前を挙げていく。
「珍しいですね、スイフリーが武勲を自分から言うなんて」
「なんとなく、今言わないとずーっとそこのファリス神官が『何を倒したんですか?』とまとわり着いてきそうな気がしたからだ。そしてお前に任せるといらんことまで言いそうだからだ」
「そんなこと……ちょっとしかしません」
苦い顔のスイフリーに、イリーナが少し顔を赤らめる。グイズノーはたいして気にした様子もなくはははと笑う。
「何だか知らない名前が一杯です」
「とりあえず、強い悪魔だと思っとけ」
イリーナが眉間の辺りを抑えるのを見て、ヒースはため息混じりに答えておく。自分たちも派手な戦いをしていたつもりだったが、あちらさんも上位悪魔と何回も戦っている。有名な冒険者というのは、やはりウソではないらしい。
「いっちばん派手なのはレッサーじゃないの?」
「あれはとどめだけだから、数に入れていいのか微妙だろう」
レジィナの言葉に、スイフリーがため息をつく。
「レッサー、の後が気になりますな」
バスが目の輝きを倍にして言う。
「色々あるよな」
■中途半端だけど、ここまで。
この会話が終わったらそろそろイベント突入してみる。