泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■4
ファンドリアを大きな問題もなく通り過ぎ、一行はロマールを進んでいる。
相変わらず、時折野犬や熊、ゴブリンなどに襲われることはあるが、それは旅をしていれば当たり前のことであり、たいした話ではない。ロマールに入ってすぐ、数日雨に降られたことで多少日数はかさんでいるが、長い旅の間では珍しいことでもない。旅は順調といえる。
東に伸びる街道を数日歩いたところで、東からやってくる冒険者らしい一団と出会った。
思えば、ココから面倒な事件は始まっていたのかもしれない。しかしそんなことはそのときの彼らは知るよしもない。
「今からオラン方面へ向かうのかい?」
彼らの中の一人が、アーチボルトたちに声をかけた。
彼らは駆け出しの冒険者というわけではなさそうだった。着ているものは少々くたびれているし、それなりに堂々としている。ただ、全員今は疲れているように見えた。
「そうだ」
アーチボルトは短く答える。
「じゃあ、ココからちょっとだけ引き返してわき道を行ったほうがいいぞ。俺たちもオラン方面に向かって旅をしてたんだが、途中で崖が崩れていてな。引き返してきたんだ」
「最近、雨が長続きしましたもんね」
アーチボルトの隣でイリーナが頷く。男は続けた。
「俺たちは一回ロマールの都に戻ってからもう一回わき道へ向かうことにしたんだ。がけ崩れまで結構距離があってな、戻ってくるまでに無駄に食糧を消費してしまった」
「ソレは大変だったな」
アーチボルトは鷹揚に返事をする。それから振り返って後ろに居たスイフリーに声をかける。
「道を聞いておくか?」
「聞いても問題ないだろう」
男の話だと、この街道に沿うように、森の中を行くわき道がこの辺りにはあるらしい。わき道は貴族の別荘に行くために作られたもので、色々な方面から来る客のためにオラン側に抜けられるようにもなっている。あまり使われない道だから多少歩きにくいかも知れないが、街道で崩れた崖の土砂を通り越すよりは楽だろうということだった。
その場でロマールに向かう一行に別れを告げ、彼らは顔を見合わせる。
「さて、どうしたものかな」
長い旅の間に彼らの中には連帯感が生まれている。最初こそ2つのパーティーが同時に旅をするような感じだったが今ではほとんど同一パーティーといっていい。いつの間にかリーダーはアーチボルトが勤めるようになっていた。
「プラン1。このまま街道を進む、崖崩れはフィリスとヒースのフライトで跳び越す。魔晶石はまだ余裕があるからな。彼らの疲労具合からいって、かなり崖崩れは遠そうだ。確認してから戻ってくるのは馬鹿らしい。プラン2。わき道を行く」
スイフリーは答えてから、ふう、とため息をついた。
「彼らの話を信用するということだな」
「センスライを使うべきだったか?」
アーチボルトとヒースがそれぞれ口にした言葉に、スイフリーは口を吊り上げて見せた。
「そうだな、信用することになるかな。それと、センスライは使っても仕方なかったかもしれない。というわけで、わたしはプラン3、あえてわき道を行くというのを推す」
「プラン2と何が違うの?」
ノリスが首をかたんと傾ける。隣でイリーナも似たようなジェスチャーをしていた。
「ここはロマールだ。今までの静けさから考えて、来るならそろそろじゃないかと思ってな」
「何が」
「あのお方の策だよ」
スイフリーは続ける。
「彼らが真に親切で崖崩れを警告してくれたのなら、何の問題もない。わき道も安全である可能性は高いだろう。だからわき道を行っても問題ない」
「親切でなかったら?」
グイズノーの質問に、スイフリーは口の端を吊り上げた。
「罠があるだろうな」
「分かっていて行くのは馬鹿なんじゃない? プラン1で言った、フライトで飛び越えるで十分だよ」
エキューが眉を寄せる。よほどのことがない限り、自分から危険な場所に行く必要はないだろう。
「彼らが親切でなかった場合。わき道のほうには何らかの細工があるだろうな。が、相手はあのお方。わたしたちがわき道を通った場合でも、街道を行った場合でもそれなりの策を用意してくるだろう。この場合、お勧めがわき道ということになるな」
「なら、お勧めにわざわざ行かなくてもいいじゃないですか」
グイズノーがエキューに賛同した。スイフリーは気にせず続けた。
「崖崩れでどういう策が用意されてるかなんて思いつけないが、本当に崖が崩れた上で策が用意されていたら一つ決定的な弱点がわたしたちにできる」
「何ですか?」
「戦力が3分割される。空を飛んでいる組と、着地地点の組、出発点の組だな。特に初手なんかで何かされてみろ、着地地点には最大2人しか居ないんだぞ、そのときに何かあったらどうするんだ」
「崖が崩れてないっていうパターンは考えられないか?」
「可能性はもちろんある。が、実際に崩れていた場合さっき言った難点がある。予測は最悪側で考えたほうがいい」
「その点、お勧めルートは戦力の大きな分断はないだろう。それに」
「それに?」
「最初から警戒して歩けるという利点がある」
ソレは利点だろうか、と思う人間のほうが多かったが、誰も口にはしなかった。
■昨日から、友人に送っているメールバージョンの「泡ぽこ」を再開しました。
友人たちに擬似戦闘をしてもらったんですけど、スイフリーの戦乙女の槍と敏捷度は凶悪だそうです。
モラトリアムのおっさんも凶悪だそうです。
その場に居ればよかったのですが、残念ながらいられませんでした。ふー。
ファンドリアを大きな問題もなく通り過ぎ、一行はロマールを進んでいる。
相変わらず、時折野犬や熊、ゴブリンなどに襲われることはあるが、それは旅をしていれば当たり前のことであり、たいした話ではない。ロマールに入ってすぐ、数日雨に降られたことで多少日数はかさんでいるが、長い旅の間では珍しいことでもない。旅は順調といえる。
東に伸びる街道を数日歩いたところで、東からやってくる冒険者らしい一団と出会った。
思えば、ココから面倒な事件は始まっていたのかもしれない。しかしそんなことはそのときの彼らは知るよしもない。
「今からオラン方面へ向かうのかい?」
彼らの中の一人が、アーチボルトたちに声をかけた。
彼らは駆け出しの冒険者というわけではなさそうだった。着ているものは少々くたびれているし、それなりに堂々としている。ただ、全員今は疲れているように見えた。
「そうだ」
アーチボルトは短く答える。
「じゃあ、ココからちょっとだけ引き返してわき道を行ったほうがいいぞ。俺たちもオラン方面に向かって旅をしてたんだが、途中で崖が崩れていてな。引き返してきたんだ」
「最近、雨が長続きしましたもんね」
アーチボルトの隣でイリーナが頷く。男は続けた。
「俺たちは一回ロマールの都に戻ってからもう一回わき道へ向かうことにしたんだ。がけ崩れまで結構距離があってな、戻ってくるまでに無駄に食糧を消費してしまった」
「ソレは大変だったな」
アーチボルトは鷹揚に返事をする。それから振り返って後ろに居たスイフリーに声をかける。
「道を聞いておくか?」
「聞いても問題ないだろう」
男の話だと、この街道に沿うように、森の中を行くわき道がこの辺りにはあるらしい。わき道は貴族の別荘に行くために作られたもので、色々な方面から来る客のためにオラン側に抜けられるようにもなっている。あまり使われない道だから多少歩きにくいかも知れないが、街道で崩れた崖の土砂を通り越すよりは楽だろうということだった。
その場でロマールに向かう一行に別れを告げ、彼らは顔を見合わせる。
「さて、どうしたものかな」
長い旅の間に彼らの中には連帯感が生まれている。最初こそ2つのパーティーが同時に旅をするような感じだったが今ではほとんど同一パーティーといっていい。いつの間にかリーダーはアーチボルトが勤めるようになっていた。
「プラン1。このまま街道を進む、崖崩れはフィリスとヒースのフライトで跳び越す。魔晶石はまだ余裕があるからな。彼らの疲労具合からいって、かなり崖崩れは遠そうだ。確認してから戻ってくるのは馬鹿らしい。プラン2。わき道を行く」
スイフリーは答えてから、ふう、とため息をついた。
「彼らの話を信用するということだな」
「センスライを使うべきだったか?」
アーチボルトとヒースがそれぞれ口にした言葉に、スイフリーは口を吊り上げて見せた。
「そうだな、信用することになるかな。それと、センスライは使っても仕方なかったかもしれない。というわけで、わたしはプラン3、あえてわき道を行くというのを推す」
「プラン2と何が違うの?」
ノリスが首をかたんと傾ける。隣でイリーナも似たようなジェスチャーをしていた。
「ここはロマールだ。今までの静けさから考えて、来るならそろそろじゃないかと思ってな」
「何が」
「あのお方の策だよ」
スイフリーは続ける。
「彼らが真に親切で崖崩れを警告してくれたのなら、何の問題もない。わき道も安全である可能性は高いだろう。だからわき道を行っても問題ない」
「親切でなかったら?」
グイズノーの質問に、スイフリーは口の端を吊り上げた。
「罠があるだろうな」
「分かっていて行くのは馬鹿なんじゃない? プラン1で言った、フライトで飛び越えるで十分だよ」
エキューが眉を寄せる。よほどのことがない限り、自分から危険な場所に行く必要はないだろう。
「彼らが親切でなかった場合。わき道のほうには何らかの細工があるだろうな。が、相手はあのお方。わたしたちがわき道を通った場合でも、街道を行った場合でもそれなりの策を用意してくるだろう。この場合、お勧めがわき道ということになるな」
「なら、お勧めにわざわざ行かなくてもいいじゃないですか」
グイズノーがエキューに賛同した。スイフリーは気にせず続けた。
「崖崩れでどういう策が用意されてるかなんて思いつけないが、本当に崖が崩れた上で策が用意されていたら一つ決定的な弱点がわたしたちにできる」
「何ですか?」
「戦力が3分割される。空を飛んでいる組と、着地地点の組、出発点の組だな。特に初手なんかで何かされてみろ、着地地点には最大2人しか居ないんだぞ、そのときに何かあったらどうするんだ」
「崖が崩れてないっていうパターンは考えられないか?」
「可能性はもちろんある。が、実際に崩れていた場合さっき言った難点がある。予測は最悪側で考えたほうがいい」
「その点、お勧めルートは戦力の大きな分断はないだろう。それに」
「それに?」
「最初から警戒して歩けるという利点がある」
ソレは利点だろうか、と思う人間のほうが多かったが、誰も口にはしなかった。
■昨日から、友人に送っているメールバージョンの「泡ぽこ」を再開しました。
友人たちに擬似戦闘をしてもらったんですけど、スイフリーの戦乙女の槍と敏捷度は凶悪だそうです。
モラトリアムのおっさんも凶悪だそうです。
その場に居ればよかったのですが、残念ながらいられませんでした。ふー。
PR
この記事にコメントする