泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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「ドラゴンだよ」
あっけらかんとした声でレジィナが言う。
「は?」
思わずヒースとエキューの声がはもった。
「い、今ドラゴンとか言いやがりなさいましたか、お姉さま」
「うん、レッサードラゴン」
「だからアレはとどめだけだから、数に入れていいか微妙だろう」
スイフリーが眉を寄せる。が、彼も否定はしない。
「すばらしい! ドラゴンスレーヤーがここに!」
バスが声を大きくする。その声はどこまでも嬉しそうで、楽しそうな響きがあった。
「一体、何があったらドラゴンを倒そうなんて話になるわけだ?」
「目の前に落ちてきたんだよ」
「あの時はもう駄目かと思いましたよねぇ」
「ドラゴンのほうから、倒されるために現れるとは! 英雄をかぎつけたわけですな!」
バスの中では既に歌ができつつあるらしい、にじみ出る嬉しさがわかる。数分後には歌いだすかもしれない。
「そうかー、オレら英雄だったのかー」
「知らなかったなあ」
パラサとスイフリーが苦笑している。
「でも、凄い武勲です! どうして誇らないんですか?」
イリーナは少々悔しそうだ。自分が戦えなかったからかもしれない。
「エルダーにほとんどやられてたからなあ、あのレッサー」
「普通倒そうなんて考えないよな」
「いやあ、生きているってすばらしい」
全員、あまり話したくはないらしい。エキューはそう思ったが黙っておく。
「まあ、ともかく、オランとアノスの間にはそうそう人間は襲わないドラゴンがいるわけで、時折狩りの巻き添えを食うかもしれないから気をつけろという話だ」
「そんな風にまとめていいのかなあ」
「アーチボルトさんやレジィナさんが斬ったんですか?」
「まあ、当てたけど」
「純粋にダメージはそれほど与えてないんじゃないかな。手ごたえはあったが。どちらかというとフィリスやスイフリーだろう」
「いくら出費したんでしたっけ?」
「さあ? あの時は1回1個くらいだったかなあ? 2回だっけ? その後補充したからよくわかんない」
何の1個なのだろうか。
何を補充したんだろうか。
なんとなく答えが分かりそうな気がして、ヒースは聞かずにおく。
「ああいうときは出費を考えてたら生き残れないぞ。基本は素早く全力だ」
「なんか言葉にして聞いてると悪人みたい」
レジィナが嫌そうな顔をする。
「何を言うか。戦わずして勝てれば最良、ノーリスクハイリターンが最終的な夢。戦うことになる前に策をばらまき相手を翻弄、倒れてくれたら僥倖、いざ戦うときは全力で叩き潰して生き残る。どこが悪人だ。生きるための鉄則だろう」
「それはスイフリーだけの鉄則だよ」
「きっとスイフリーさんはヒース兄さんと話が合います。そしてほのかに邪悪の匂いです」
イリーナの目が剣呑な光を帯びてスイフリーを見る。
「心配しなくてもはとこは邪悪にゅ」
「そうそう、彼は邪悪ですよ。……これ以上外付けモラル判断装置を増やしてどうするつもりですか、スイフリー」
「お前ら」
パラサとグイズノーを睨みつけるが、もともとそういうのを気にする相手ではない。スイフリーは舌打ちすると続ける。
「第一、あの言い方はほのかな邪悪の匂いはヒースもしてるということだろう。それに見てる限りイリーナはヒースのモラル判断装置だ。これ以上わたしには増えない」
「悪いこと言っているという自覚はあるんですね」
「意外にゅ」
「……」
反論に疲れたのかスイフリーは何も言わず、もう一度ぎろりと二人をにらみつけると押し黙る。そして疑惑の目がクレアから向けられていることに気づいて舌打ちした。
「俺様のモラルをイリーナが判断しているわけがないだろう。俺様がイリーナの全くない頭脳の代わりをすることがあったとしてもだ!」
「ヒース兄さんぬか喜びの野への片道切符なら私でもプレゼントできますよ」
「嫌だなあイリーナさん、軽い冗談じゃないですカー」
「やっぱり似たようなのを私何処かで見たことある気がします」
「気のせいにしときなさいな、レジィナ。……ファリス神官って大変ねぇ」
フィリスとレジィナがわざとらしいため息をつくのを聞きつつ、一行は進んでいく。
今のところ、旅路は非常に気楽だった。
■レジィナはあんなにあっさり色々ばらさないかもしれないけど、まあ、それはそれとして生暖かい目で見守ったってや。どっちかというと自慢するのはアーチーだったかもなー。
というわけで、次回からTRPGで言うところのイベント突入です。
……って長い前置きだなおい!!!
■この話を友人に送ったとき、スイフリーのセリフを褒められました(笑)
あっけらかんとした声でレジィナが言う。
「は?」
思わずヒースとエキューの声がはもった。
「い、今ドラゴンとか言いやがりなさいましたか、お姉さま」
「うん、レッサードラゴン」
「だからアレはとどめだけだから、数に入れていいか微妙だろう」
スイフリーが眉を寄せる。が、彼も否定はしない。
「すばらしい! ドラゴンスレーヤーがここに!」
バスが声を大きくする。その声はどこまでも嬉しそうで、楽しそうな響きがあった。
「一体、何があったらドラゴンを倒そうなんて話になるわけだ?」
「目の前に落ちてきたんだよ」
「あの時はもう駄目かと思いましたよねぇ」
「ドラゴンのほうから、倒されるために現れるとは! 英雄をかぎつけたわけですな!」
バスの中では既に歌ができつつあるらしい、にじみ出る嬉しさがわかる。数分後には歌いだすかもしれない。
「そうかー、オレら英雄だったのかー」
「知らなかったなあ」
パラサとスイフリーが苦笑している。
「でも、凄い武勲です! どうして誇らないんですか?」
イリーナは少々悔しそうだ。自分が戦えなかったからかもしれない。
「エルダーにほとんどやられてたからなあ、あのレッサー」
「普通倒そうなんて考えないよな」
「いやあ、生きているってすばらしい」
全員、あまり話したくはないらしい。エキューはそう思ったが黙っておく。
「まあ、ともかく、オランとアノスの間にはそうそう人間は襲わないドラゴンがいるわけで、時折狩りの巻き添えを食うかもしれないから気をつけろという話だ」
「そんな風にまとめていいのかなあ」
「アーチボルトさんやレジィナさんが斬ったんですか?」
「まあ、当てたけど」
「純粋にダメージはそれほど与えてないんじゃないかな。手ごたえはあったが。どちらかというとフィリスやスイフリーだろう」
「いくら出費したんでしたっけ?」
「さあ? あの時は1回1個くらいだったかなあ? 2回だっけ? その後補充したからよくわかんない」
何の1個なのだろうか。
何を補充したんだろうか。
なんとなく答えが分かりそうな気がして、ヒースは聞かずにおく。
「ああいうときは出費を考えてたら生き残れないぞ。基本は素早く全力だ」
「なんか言葉にして聞いてると悪人みたい」
レジィナが嫌そうな顔をする。
「何を言うか。戦わずして勝てれば最良、ノーリスクハイリターンが最終的な夢。戦うことになる前に策をばらまき相手を翻弄、倒れてくれたら僥倖、いざ戦うときは全力で叩き潰して生き残る。どこが悪人だ。生きるための鉄則だろう」
「それはスイフリーだけの鉄則だよ」
「きっとスイフリーさんはヒース兄さんと話が合います。そしてほのかに邪悪の匂いです」
イリーナの目が剣呑な光を帯びてスイフリーを見る。
「心配しなくてもはとこは邪悪にゅ」
「そうそう、彼は邪悪ですよ。……これ以上外付けモラル判断装置を増やしてどうするつもりですか、スイフリー」
「お前ら」
パラサとグイズノーを睨みつけるが、もともとそういうのを気にする相手ではない。スイフリーは舌打ちすると続ける。
「第一、あの言い方はほのかな邪悪の匂いはヒースもしてるということだろう。それに見てる限りイリーナはヒースのモラル判断装置だ。これ以上わたしには増えない」
「悪いこと言っているという自覚はあるんですね」
「意外にゅ」
「……」
反論に疲れたのかスイフリーは何も言わず、もう一度ぎろりと二人をにらみつけると押し黙る。そして疑惑の目がクレアから向けられていることに気づいて舌打ちした。
「俺様のモラルをイリーナが判断しているわけがないだろう。俺様がイリーナの全くない頭脳の代わりをすることがあったとしてもだ!」
「ヒース兄さんぬか喜びの野への片道切符なら私でもプレゼントできますよ」
「嫌だなあイリーナさん、軽い冗談じゃないですカー」
「やっぱり似たようなのを私何処かで見たことある気がします」
「気のせいにしときなさいな、レジィナ。……ファリス神官って大変ねぇ」
フィリスとレジィナがわざとらしいため息をつくのを聞きつつ、一行は進んでいく。
今のところ、旅路は非常に気楽だった。
■レジィナはあんなにあっさり色々ばらさないかもしれないけど、まあ、それはそれとして生暖かい目で見守ったってや。どっちかというと自慢するのはアーチーだったかもなー。
というわけで、次回からTRPGで言うところのイベント突入です。
……って長い前置きだなおい!!!
■この話を友人に送ったとき、スイフリーのセリフを褒められました(笑)
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