泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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「うわ、悪趣味ー」
フィリスは目の前に広がる光景に、思わず顔をしかめると呟く。
地下への階段をおりると、小さな部屋にたどり着いた。部屋は壁も床も、天井までもが、赤黒い色に塗りつぶされている。しかもその壁や床には、同じように赤黒い管のようなものが枝分かれして張り付いている。その管の太さは様々で、枝分かれした先のほうは細くなっている。まるで浮き上がった血管のように見えた。
唯一、階段の右手側だけは壁になっておらず、屋敷を分断した壁と似た材質でできた格子がはまっている。格子の向こうにも、似たような小部屋があり、やはり階段があるのが見えた。向こう側に振り分けられた面子が気付けば、そのうち階段を下りてくるだろう。
「何だか蒸し暑いですね」
イリーナはあたりを見ながら口をへの字にする。
「そのうえ、この壁なんか濡れてないか?」
ヒースは壁を注意深く観察してから、首をかしげる。
「うかつに触らないほうがいいぞ。……聞いてるか、イリーナ」
「聞いてますよ」
イリーナがむっとした声で返事をしたとき、格子の向こう側から声が聞こえた。見ていると、ランタンをもったノリスを先頭に、向こう側になってしまった仲間たちが降りてくる。
「にゅ! 姉ちゃん!」
パラサの声に、全員が格子越しにこちらを見た。
「無事だったにゅ?」
「ええ、おかげさまで。パラサさんたちも、ご無事でしたか?」
「もちろんだにゅ」
「それにしても、……その帽子は何事ですか?」
クレアの視線が、パラサの帽子に注がれる。彼の帽子は今、コモンルーンのライトのせいで灯り代わりになっていた。
「地下は明るいほうがいいっしょ? それでライト使ったにゅ。ランタン落っことして火事になったら困るから。……姉ちゃんたちにもライトとなえようか?」
「ランタンがありますが……おねがいしましょうか?」
クレアが振り返る。
「そうですね。じゃあ、ノリスの鉢巻にでも」
「あ、便利そう」
グイズノーの返答に、指名されたノリスが笑顔になる。
「もしモンスターがいたら、灯りでめだってうっかり囮、なんてならないかな」
エキューが苦笑する。パラサが振り返ってスイフリーを見た。
「はとこ……まさか?」
スイフリーは物凄い勢いで視線をそらし、返事をしない。
「はーとーこー! 返事するにゅ!」
「普通に戦えば避ける、魔法も怖くない、その上盗賊で先頭を歩く、囮以外の何だと言うのだ」
「はとこ、心が真っ黒すぎ……」
「スイフリーさん、あとで話し合いをしましょう」
パラサの呟きと、クレアの宣言が重なる。
「合流できたら話くらいは聞いてやろう」
スイフリーはそういうと、格子越しにガルガドを見る。
「とりあえず、先に情報交換だけはしておこうじゃないか」
「生贄……」
ガルガドたちからもたらされた言葉に、マウナはめまいを感じた。もしかしたら出られない、というのは絵から類推して心構えをしてはあったが、その理由が生贄だったとは。
「外に出られないのかあ」
レジィナは思わず顔を天井に向ける。生贄になれば、もちろん外には出られないだろうが、実際言葉だけの時点ではただの脅しだと思っていた部分もあったから、そういう絵の存在は裏づけがついたようで嫌な感じだ。
「この先に生贄を必要とする何かがいるってことになるのか?」
ヒースはため息混じりに言うと、小部屋から唯一繋がっている細い通路を見た。通路の奥のほうは暗くてどうなっているのか分からないが、見える範囲の壁などは赤黒く、妙な管も張り付いている。ずっとデザインは変わらないのだろう。
「そうかもしれんし、そうでもないかもしれない」
アーチボルトが答える。
「屋敷のからくりは自動的に発動するもので、もう打ち捨てられた場所、という可能性もないわけではない。その場合は、何も奥にはいないだろう。もちろん、からくりを動かした何者かがいる、という可能性もある」
「ただ、生贄であるわたしたちは勝手に認識され、解除は所定の方法と言うのだろう? 全自動の可能性のほうが高いかも知れんな」
スイフリーはため息をつく。
「でられますかね?」
「そこまでは分からない。とりあえず道はあるようだから、進むしかなかろう。壁や床がなにやら濡れているから、それに注意しつつお互い進もう、健闘を祈る」
二組の冒険者たちはそれぞれの小部屋から通じる通路を進み始めた。
■大丈夫、あと3分は金曜日!(笑)
遅れてごめん! 残念無念!(笑)いやだからまだ金曜日!
というわけで、暫く地下室探検が続きますよー。
べつになんてことない地下室ですよー。
期待しちゃだめですよー。
フィリスは目の前に広がる光景に、思わず顔をしかめると呟く。
地下への階段をおりると、小さな部屋にたどり着いた。部屋は壁も床も、天井までもが、赤黒い色に塗りつぶされている。しかもその壁や床には、同じように赤黒い管のようなものが枝分かれして張り付いている。その管の太さは様々で、枝分かれした先のほうは細くなっている。まるで浮き上がった血管のように見えた。
唯一、階段の右手側だけは壁になっておらず、屋敷を分断した壁と似た材質でできた格子がはまっている。格子の向こうにも、似たような小部屋があり、やはり階段があるのが見えた。向こう側に振り分けられた面子が気付けば、そのうち階段を下りてくるだろう。
「何だか蒸し暑いですね」
イリーナはあたりを見ながら口をへの字にする。
「そのうえ、この壁なんか濡れてないか?」
ヒースは壁を注意深く観察してから、首をかしげる。
「うかつに触らないほうがいいぞ。……聞いてるか、イリーナ」
「聞いてますよ」
イリーナがむっとした声で返事をしたとき、格子の向こう側から声が聞こえた。見ていると、ランタンをもったノリスを先頭に、向こう側になってしまった仲間たちが降りてくる。
「にゅ! 姉ちゃん!」
パラサの声に、全員が格子越しにこちらを見た。
「無事だったにゅ?」
「ええ、おかげさまで。パラサさんたちも、ご無事でしたか?」
「もちろんだにゅ」
「それにしても、……その帽子は何事ですか?」
クレアの視線が、パラサの帽子に注がれる。彼の帽子は今、コモンルーンのライトのせいで灯り代わりになっていた。
「地下は明るいほうがいいっしょ? それでライト使ったにゅ。ランタン落っことして火事になったら困るから。……姉ちゃんたちにもライトとなえようか?」
「ランタンがありますが……おねがいしましょうか?」
クレアが振り返る。
「そうですね。じゃあ、ノリスの鉢巻にでも」
「あ、便利そう」
グイズノーの返答に、指名されたノリスが笑顔になる。
「もしモンスターがいたら、灯りでめだってうっかり囮、なんてならないかな」
エキューが苦笑する。パラサが振り返ってスイフリーを見た。
「はとこ……まさか?」
スイフリーは物凄い勢いで視線をそらし、返事をしない。
「はーとーこー! 返事するにゅ!」
「普通に戦えば避ける、魔法も怖くない、その上盗賊で先頭を歩く、囮以外の何だと言うのだ」
「はとこ、心が真っ黒すぎ……」
「スイフリーさん、あとで話し合いをしましょう」
パラサの呟きと、クレアの宣言が重なる。
「合流できたら話くらいは聞いてやろう」
スイフリーはそういうと、格子越しにガルガドを見る。
「とりあえず、先に情報交換だけはしておこうじゃないか」
「生贄……」
ガルガドたちからもたらされた言葉に、マウナはめまいを感じた。もしかしたら出られない、というのは絵から類推して心構えをしてはあったが、その理由が生贄だったとは。
「外に出られないのかあ」
レジィナは思わず顔を天井に向ける。生贄になれば、もちろん外には出られないだろうが、実際言葉だけの時点ではただの脅しだと思っていた部分もあったから、そういう絵の存在は裏づけがついたようで嫌な感じだ。
「この先に生贄を必要とする何かがいるってことになるのか?」
ヒースはため息混じりに言うと、小部屋から唯一繋がっている細い通路を見た。通路の奥のほうは暗くてどうなっているのか分からないが、見える範囲の壁などは赤黒く、妙な管も張り付いている。ずっとデザインは変わらないのだろう。
「そうかもしれんし、そうでもないかもしれない」
アーチボルトが答える。
「屋敷のからくりは自動的に発動するもので、もう打ち捨てられた場所、という可能性もないわけではない。その場合は、何も奥にはいないだろう。もちろん、からくりを動かした何者かがいる、という可能性もある」
「ただ、生贄であるわたしたちは勝手に認識され、解除は所定の方法と言うのだろう? 全自動の可能性のほうが高いかも知れんな」
スイフリーはため息をつく。
「でられますかね?」
「そこまでは分からない。とりあえず道はあるようだから、進むしかなかろう。壁や床がなにやら濡れているから、それに注意しつつお互い進もう、健闘を祈る」
二組の冒険者たちはそれぞれの小部屋から通じる通路を進み始めた。
■大丈夫、あと3分は金曜日!(笑)
遅れてごめん! 残念無念!(笑)いやだからまだ金曜日!
というわけで、暫く地下室探検が続きますよー。
べつになんてことない地下室ですよー。
期待しちゃだめですよー。
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