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部屋の中は夕日で金色に染まっていた。
辺りは静かで、彼と、ベッドに横たわる彼女しかいない。
随分長い時間が過ぎたのだ、と彼は今更ながらに自覚する。
ベッドに横たわる彼女は、もう随分目を開けていない。
生きているのは分かる。精霊がまだ弱々しくも働いているからだ。
もう何度目になるだろうか、と思う。
彼の中を流れる悠久にも近い時間は、まだ彼にその終わりを見せはしないだろう。
ところがどうだ。
仲間に与えられていた、彼からみたら一瞬のような有限の時は、どんどんその終わりを見せていった。
最初に居なくなったのは、意外にも一番歳若かった仲間だった。
その時初めて、物事は順番どおりには進まないのかも知れないと思った。
一番最近居なくなったのは、最後まで結局神に見放されなかった仲間だった。
いつかは神に見放されると思っていたのだが、結局神は寛容だったらしい。
そして。
ついに彼女も居なくなるのだ。
人間になど、興味を持たなければ良かった。
いや、違う。
興味をもったからこそ、出会ったのだ。
……出会いは不必要だったか?
それもちがうな。
彼は自問自答する。部屋の中はまだ金色。
今は真っ白になってしまった彼女の、出逢った頃の髪の色。
彼女がうっすらと目をあける。
「      」
長い長い空白。
やがてゆるりとつむがれた言葉に、彼はきこちなく頷いた。
それをみて、彼女は嬉しそうに頷いた。
そして、恐ろしいまでの沈黙がやってきた。
もう、呼吸の音さえ聞こえない。

ああ。

自分はまた取り残されたのだ。
……因果なものを愛してしまった。

彼は、もう動かない彼女に口付けて、それから約束を守るために立ち上がる。
仲間と手に入れた居城は、このまま仲間の子孫が守っていけばいい。
もうここへは戻らない。

 

 

「……最悪だ」
起き上がって眉間を押さえる。
多分自分は泣いていたのだろう、と彼は思う。目の辺りを擦りたいが、擦った手の甲に涙などつこうものなら、多分卒倒してしまう。
どうしてあんな夢をみたのだろうか、と少し考える。
漠然と。
本当に漠然とした未来。
その時、自分が皆から取り残される事くらい分かりきっている。
それで泣くことなど、ありえないと思っていたのに。
いや、違う。
取り残されたから泣いたのではないだろう。
夢で死んでしまったのは?
分かりきった答えに、彼は今度こそ気を失いたい気分で大きく息を吐く。

今のところ気づかない振りをして放ったらかしにしてある事象に、そろそろ結論をつける日が近付いたのかもしれない。

が。


「知った事か」


彼は吐き捨てるように言うと、自室を後にした。

 




誰の話か、なんて聞くのはなしですよ(笑)

結局、夢オチにしちゃいましたけど、最初は普通に「彼女」の死に立ち会う「彼」の話でした。
そこには「はとこの子」も居ましたし、「仲間の子孫」も居ましたが。


……挫折したんだ(笑)


基本的に死にネタというのは嫌いなんですけど(なんか安易な悲劇性がイヤ)、なんか思いついちゃったから書いとこうか、という感じで。

2007/04/12

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