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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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4回戦
「王様はどなたですか?」
「わたしだな」
アーチーが棒を見せる。
「いつの間にかちゃんと参加してるにゅ」
「そういう素直じゃないところがアーチーの可愛いところじゃない」
「可愛いなどというな! さて、何を言っても良いのだったな。ではそうだな、1番。隠し事をキリキリ吐け!」
「……」
スイフリーが棒をテーブルに投げる。そこには1番と書かれていた。
「なんかわたしが当たる回数高くないか?」
「きのせいですよ。もしくは運がないのです」
「日ごろの行いが悪いからにゅ」
「やかましい。そうだなあ、隠し事……」
スイフリーは暫らく考えてから、おもむろに口を開く。
「昨日、テーブルにおいてあったクッキー食べたの、わたしだ」
「お前かー!!!」
アーチーが思わず勢い良く立ち上がる。
「アレはわたしのだったんだぞ!」
「おきっぱなしにするからいけないんだ」
「わたしがお前に聞いたとき、全然知らないと答えたではないか」
「あんなに鬼気迫って聞かれたらそう答えるしかないじゃないか。クッキー数枚で大げさな」
「アレは! オランからわざわざ取り寄せたわたしのお気に入りのクッキーで最後の数枚だったんだぞ!」
「ますますおきっぱなしにするなよ、そんなの」
叫ぶアーチー、返事をするのも疲れ始めたスイフリー。
「勝手に食べるのは良くないよ」
「しかも嘘をついたのですね?」
レジィナとクレアがそれぞれ冷たい目でスイフリーを見る。
「クッキーでここまで怒るあたりも可愛いわよね」
「フィリス姉ちゃん、今ならクッキーでアーチーが競り落とせるかもしんないにゅ」
「そうねー、クッキー焼こうかしら」
「アレは特別だと言っているだろうが!」
「しゃあないなあ」
スイフリーは大げさにため息をつく。
「今度取り寄せてやるから、泣くな」
「泣いてない!」
「どっちが王様かわかんないですよ、さっきから。次行きましょう、次」


5回戦
「王様私ー。漸く回ってきたって感じ」
レジィナが手を挙げた。
「さっきのでぎくしゃくしたから、ちょっと和めそうなお題にしよう」
レジィナはそういうと、全員の顔をぐるりと見回した。アーチーはまだ不機嫌そうだし、原因であるスイフリーはどこ吹く風だ。いつもどおりといえばいつもどおりかもしれない。
「じゃ、2番は歌を歌って」
スイフリーがテーブルに突っ伏した。
「もしかして、またはとこ?」
「皆わたしの番号を知っていて集中攻撃でもしてるんじゃないか?」
「全然番号なんて知らないって。分かってたらスイフリーを指名しないよ。歌なのに。……歌える?」
「バード技能なんてないぞ」
「なくても、歌くらい歌えるっしょ」
「お前は誰の味方なんだ」
パラサにスイフリーは不機嫌な声を飛ばす。「ん? 俺は俺とクレア姉ちゃんの味方―」などとパラサは能天気な返事をした。
仕方なく、スイフリーはぼそぼそと歌を歌う。あまり歌うのは好きではなかったから、ともかく小声だ。
「何歌ってんのかわかんない」
「エルフの言葉ですねー。節回しが独特です」
グイズノーが感心したように頷きながら聞く。
「どうせならもっと楽しそうに歌ってよ」
「無茶いうな! これで精一杯だ!」
歌い終わったレジィナに、スイフリーが反論する。顔どころか、尖った耳の先まで赤い。
「何歌ってたのかさっぱりわかんなかった」
フィリスの言葉に、クレアやアーチーが頷く。
「それが驚きの恋の歌ですよ」
「嘘教えるな! 嘘を! 収穫祭の歌だ!」
「いやあ、実りだとか豊穣だとかいう言葉が出てきたので、すごい比喩なのかと」
「お前なんかラーダから破門されてしまえ」


6回戦
「漸く王様だわ。ほほほ、前から何を言うか決めていたのよ」
フィリスが勝ち誇ったような顔で棒をびしっとアーチーに見せる。
「なぜわたしにわざわざ見せるのだ」
アーチーは疲れたような声で言うと、大げさにため息をつく。
「そりゃ、アンタに関係あるからよ!」
フィリスは胸を張ると、ふふん、と笑う。
「じゃ、王様、命令をどうぞ、にゅ」
「アーチーは王様にキスすること!」
「ちょっと待てー!!!」
アーチーは再び勢い良く立ち上がる。さっきよりも更に勢いが良かったらしく、椅子がガタンと大きな音を立てて倒れた。
「番号だろう? 番号だったはずだろう!? 命令は番号で指定だろう!?」
「あー、言い忘れてましたけど、このゲーム、名指しもオッケーです。今決めました」
「貴様―!!」
けろりと答えるグイズノーに、アーチーが叫ぶ。
「いいじゃないかアーチー、減るもんじゃないし。挨拶みたいなものだ」
「スイフリー、貴様他人事だと思って」
「ばっちり他人事にゅ」
パラサの絶妙なタイミングの言葉に、アーチーは「ぐ」と声を詰まらせる。
コレまでで一番周りが盛り上がっているのを肌で感じながら、アーチーはなんとか、どうにかこの場面を切り抜ける方法を考えた。
そして、ふとひらめく。
「フィリス」
何とか落ち着いた声が出せた。
「なぁに?」
余裕綽々の声が返ってくるのが非常に癪に障るが、しかしこの女はいつだってそうだ。
だからこそ、なるべく自分のペースを崩さないために、話をあわさず聞かないようにしているのだから。
「手を出せ」
「え? 何?」
手のひらを上にして出したその手をとり、裏返す。
爪先まで丁寧に手入れをしているその手はしっとりと美しい。
息を吸い込む。
一瞬だ。
一瞬だ。
心の中で「冷静冷静」と呟き、頭の中では「一瞬一瞬」と言い聞かせ、その甲に軽く唇を寄せる。
そしてすぐに手ごとはなした。
「えーーーーー」
不満そうな声がフィリス本人だけでなく、周りからも漏れる。
「どこへ、といわなかったのが敗因だな」
頬杖をついてその様子を見守っていたスイフリーがぼそりと呟いた。
「ありがとうスイフリー、君が挨拶だと言ってくれなかったらわたしは切り抜けられなかっただろう」
はっはっは、と柄にもなく朗らかな声でアーチーがいい、その言葉を聞いてフィリスが「ギ」とスイフリーとアーチーを交互ににらみつける。
すぐさまスイフリーもアーチーも目をそらしたが。
「さて、アーチーのへたれ弱虫っぷりを堪能したところで次に行きますか」
「待てこら、誰が弱虫へたれだ」
ふー、と息を吐きながら棒を回収するグイズノーにアーチーが低い声を上げるが、彼は気にしたことなくずずい、と全員の前に手を出した。
「7回戦ですよ」


7回戦
「あ、王様でした」
クレアが棒を全員に見せる。
「じゃあ、クレア姉ちゃん、命令をどうぞ、にゅ」
パラサがわくわくしたまなざしをクレアに向ける。クレアは棒を握り締めた手を見つめたまま、動かない。
「困りました、何も思いつきません」
「こんなの、罪のない遊びなんだから、適当でいいのよぅ」
フィリスが猫なで声を上げる。
「本当に罪のない遊びか?」
アーチーはいまだ非難めいた声を上げるが、フィリスは完全にその声を聞こえないふりをする。
「ええ、それは……わかっているのですが」
なるべく罪のない、笑って済ますことができる軽い命令にしたい。
とはいえ、もう大体の命令は出てしまって、なかなか言うことが思いつかない。
「あ、スイフリーにちゅーでもしてもらう?」
「お前は何を言ってるのだ」
「何を言うかスイフリー、挨拶みたいなものではないか」
「そんなこと、俺の目の黒いうちはさせないにゅ」
「あなたの目は茶色でしょう」
フィリスの提案に、スイフリーが半眼になって呆れた声をだし、アーチーは先ほどの恨みを込めてその言葉に突っ込みをいれ、パラサが低い声を上げるとその内容にグイズノーが反応する。
言われた当のクレアは耳まで赤くなってうつむくばかりだ。
「ええ、と」
何か言わなければ、どんどん流されて変な命令をする羽目になる。
長く彼らと付き合ってきたのだ、そのくらいの危機感くらいはさすがに持ち合わせるようになった。
しかし何も考え付かないのもまた事実。
「あ、今日、夜寝るとき、ファリス様に感謝をしてから寝てください、というのは」
「無理」
あっさりと神を信じることのない種族であるパラサとスイフリー、それから異教徒であるグイズノーから却下され、クレアはまた黙り込む。
「何でだろう、王様なのにクレアさんがかわいそう」
レジィナから同情の声が寄せられる。
クレアががくり、と疲れたようにうつむいた。
「もう、これでこのゲームはおしまい、ということで」
「え?」
「ですから、王の命令として、このゲームはこの瞬間を持っておしまい、ということにします」
「えーー、クレア、何も命令しないの?」
「ですから、ゲームの終わりを命じます」
「何にも思いつかなかったのね」
フィリスの言葉に、クレアがこくりとうなずく。
「欲がないわねー」
「お前が欲望まみれすぎるだけだ」
しみじみというフィリスに、アーチーが呆れた声を出す。
「そうかな? 私たち全員、欲は似たり寄ったりだと思うけど」
フィリスは口を尖らせるが、誰からも賛同は得られなかった。

「では、王様が命じられましたので、今回のゲームは終了、ということで」
おひらき、という口ぶりでグイズノーが宣言すると、アーチーはすかさず、「もう二度とやらんぞ、こんなの」などと言う。
「えー、面白かったにゅ、またやろう」
「そうだよ、実は私とグイズノー、ぜんぜん命令されてないし」
パラサの言葉にレジィナがうなずく。
「おや、命令されたかったですか?」
「どうせなら参加したほうが面白いもん」
「ぜんぜん面白くないぞ」
「それはへそ曲がりのアーチーだけにゅ」
「貴様」
「じゃあ、おやすみー」
本気で怒り始めたアーチーを尻目に、パラサはぶんぶんと手を振ると、ダッシュで部屋の方面へ逃げていく。
それを皮切りに、全員がぞろぞろと大広間から出て行く。
「ねえ」
残ったクレアに、フィリスが声をかける。
「ほんとに何も命令しなくてよかったの? スイフリーになんかしてもらえばよかったのに。私はうまくかわされちゃったけどさ」
にやにや笑うフィリスに、クレアは首を横に振る。
「いえ、別に……わざわざ命令形をとる必要もないですし」
息を吐くような声でクレアは言うと歩き出す。
「へ? え? どういう意味それ!?」




■クレアさんの意味深発言はどういう意味かは各自好き好きに予想してもらうとして(苦笑)
スイフリーが当りまくってるのは、全然操作してません。
コレ、ちゃんと「誰が王様で、誰が何番のくじを引く」という一覧を「さいころ様」を使って作ってから書いてます。

コレが一覧表

      A  F  R  G  S  P  C  命令
1回目  4  2  3   6  5  王  1  1と4、見詰め合う
2回目  3  4  1  王  2  5  6   2が5をおんぶして歩く
3回目  1  6  2  5  王  3  4  4番は飲み物もってこい
4回目  王  6  5  2  1   3  4  1番は隠し事をきりきりはけ
5回目  6  1  王  5  2  4  3  2番、歌を歌え 
6回目  5  王  4  2  1  3  6  アーチーは王様にキスをすること
7回目  3  5  4  1  2  6  王  命令なし

ちゃんとさいころ様に聞いたモン。
そしたら全然グイズノーとレジィナがでなかったんだもん。
……本当だよ。

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