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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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泡ぽこ 39

一方、屋敷の右側を行く一行も細い通路を歩いていく。赤黒い壁や床には、同じ色の管が這い回り、その表面はてらてらと濡れて光っている。
「不気味だよねー」
先頭を行くノリスはため息交じりに歩く。濡れた床に足を取られないよう、随分慎重な足取りだ。
「なんか、家っていうよりは遺跡に近くて、でも遺跡って言うより、生き物みたいだよね」
「生き物?」
ノリスの言葉に、レジィナが聞き返す。
「なんとなくね」
そんな会話が終わる頃には、右に折れる角が見えてくる。角の先はすぐにまた曲がり角になっていて、また右に折れているのが見えた。その角までの間、右手側に扉がある。扉もまた、壁や床と同じような色合いで、不気味なことこの上ない。
「あけてみる?」
エキューが振り返ってガルガドに尋ねる。
「そうだの。何がヒントになるか分からん、手がかりになりそうなものがあるかも知れんし、あけてみよう」
「じゃあ、罠とか見るね」
ノリスが扉の前にしゃがみこむ。
「うう、不気味だなあ」
呟きながら一通りチェックし、それから振り返る。
「罠はなさそう、鍵もかかってないと思う。……あける?」
「あけるという話でチェックしたんでしょう? あけてくださいね」
グイズノーが首をかたん、と傾けて見せた。
「触るの? やだなあ」
ノリスは口を尖らせたが、これも仕事と諦めたのかドアを開ける。
中は奥に長く、横幅のない細長い部屋で、がらんとしていて何もない。
「何にもなさそうだね」
「一応チェックしてみますかな」
バスとノリスだけが部屋に入って、ざっと中を確認する。
「何にもなさそう。隠し扉とかも」
「見落としはナイと思いますぞ」
二人の言葉に、ガルガドはいまいち信用置けなそうな顔をしたが、一つため息をつくと気を取り直したように頷いた。
「分かった、では先に進むとするかの」


見えていた角を右に曲がり、しばらく歩いていくと今度は左に曲がる角があった。一本道なので仕方なく道なりに曲がると、随分長い通路になった。相変わらず幅は狭いし、赤黒い壁の色は変わらないが、道が長い分、少しだけ開放感があった。
通路の左手側の壁には、手前と奥の二箇所にドアがある。チェックしてから二つとも中を確認する。両方大きな部屋になっていた。手前の部屋は何もないただ広いだけの空間であったが、奥側の部屋は、入って左手側が一面大きな鏡になっていて、向かい側の壁にドアがあるのがあるのが見える。
「あのドアが奥に続いてたらいいけど、続いてなかったら何か見落としたってことだよね」
レジィナが首をかしげる。
「そうでしょうね。しかし、わたくしたちはバスとノリスの証言を信じるしかないですよ」
「うん、まあ、そうだね」
話しながら、レジィナは壁一面の鏡を見る。
「大きいねー。お姉さんがこの前買ってた姿見も随分大きな鏡だったけど、そんなの比べ物にならない感じだね、見せてあげたかったかも」
「そうですね、フィリスなら持ち帰りたいとか言うかも知れませんね」
グイズノーが頷く。
「マウナだったら割ってでも持って帰ろうとするかもねー」
「そんな勿体無いこと、しないんじゃないかな?」
ノリスの感想に、エキューは首をかしげる。鏡は傷一つなく、継ぎ目もない。滑らかな表面に映る自分たちの姿は、どこまでもはっきりとしている。
「何か変わったところはないか?」
「無いと思いますが」
ガルガドは冷静にバスに尋ねてみる。バスは笑顔で首を傾げて見せた。その表情にガルガドは内心ため息をつく。どうしてこちら側には有能なシーフが居ないのだろう。いや、「こちら」どころの騒ぎではない。自分の冒険には、ずっと有能なシーフなど居ない。
「多少はマシになったのだがの……」
呟くと、鏡越しにクレアと眼が合った。彼女は不思議そうな顔で鏡を見ている。
「何か変わったことがあったかの?」
「いえ」
クレアは冷静な声で返答する。
「鏡で顔を見たことはありますけど、全身を見る機会はそうありませんから。……単純に、自分はこういう姿だったのか、と」
「そうか」
ガルガドにとって、人間は自分の好みとはずれる。その美醜の基準もよくわからない。しかし、どういう容貌が美しいとされるのかは分かる。その判断で言えば、彼女は美しいはずだ。その本人が、この様子ではさぞ周りのものは大変だっただろう、と推測するが口にはしない。
「この部屋も何もないね。先に進もう。通路があるだけ、どんどん行ってみよう」
「そうですね、それがいいでしょう」
エキューの言葉にグイズノーが頷く。
一行は再び進み始めた。



■バスがしゃべった!(笑)

さて、とりあえず今週は予定通り金曜日の泡ぽこ、ということにしてみました。
来週からはちょっと複数回アップにして、様子を見てみようかなと思ってます。
曜日などはまだ未定です。ラブシックがいつまでにかけるかにかかってます(笑)

昨日は発作的にARRをアップしてみました。まだまだ練習作ですけど。
業務連絡も含め、今週は毎日なにかしらアップしてました。びっくり。そういうこともあるよね。

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