泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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再びスイフリーが複雑に腕を動かす。にやりと口元に笑みを貼り付けたまま、彼は腕を相手に向け突き出す。
『戦乙女よ、槍もて貫け!』
キラキラと光り輝く槍が7本。鋭さと速さを持ったそれは、飛んでいく軌跡をも美しく、光の尾を引き一気に相手に襲い掛かった。それぞれの体にそれは突き刺さり、偽物たちは次々と姿を保てなくなったのか宙に霧散していく。残ったのはガルガドとバスだけだったが、負けを悟ったのか同じように宙に消えていった。
「上々」
に、とスイフリーは再び笑う。手の中にあったはずの魔晶石はことごとく消えてなくなっている。マウナは本気で意識を失いたい気分になったが、この先まだ何があるか分からない。気を失うのはその後でもいいかもしれない。
「はとこ、コレ」
「後で返す」
「別にいいにゅ」
パラサから魔晶石を受け取り、スイフリーは数を確認してから無造作にそれをポケットにしまう。
「さて、と。偽物を退治したわけだが」
アーチボルトは一度大きく息を吐くとあたりを見渡した。
「手がかりは何も無し、か?」
「そうだなー」
偽物が消えたあたりをヒースは暫らく観察してから立ち上がる。
「何にも残んなかったからな」
「はとこのせい?」
「そうでもないだろ。普通なら死骸が残る」
首をかしげるパラサに、冷静にスイフリーが言う。自分のせいにされたらたまったものではない。
「魔法生物で、なんか特殊な感じのやつだったのかな?」
とりあえず、全員で首をかしげ。
「まあ、考えても仕方あるまい。分からないのだからな。グイズノーが居れば神のご加護で分かったかもしれんが、望めないのだから仕方ない」
アーチボルトは肩をすくめる。
「神のご加護といえば」
フィリスがスイフリーを見た。
「アンタの戦乙女の槍、なんかクレアのだけやたら威力強くなかった?」
「気のせいだろう」
「日ごろの恨み?」
「気のせいだ、と言ってるだろう。大体、なぜ神のご加護とか言う単語でそんな話題になるのだ」
苦い顔をするスイフリーに、フィリスはからかうような笑顔を向ける。
「べぇーつにィ? ただ戦闘前にクレアの名前を騙ったヤツに正義の鉄槌がどうのって言ってたのを思い出しただけよ? アンタって性格270度くらいひねくれねじれあがってるから、どうなのかなー? って」
「暇な女だなぁ」
呆れた顔をするスイフリーに、フィリスはまだまとわりつく。
「で、実際どうなの。日ごろの恨みなの? ねじくれあがった愛なの?」
「……黙秘する」
「つまんないわねー。いいや、好意的に解釈しとこっと」
鼻歌交じりにアーチボルトの元へ歩いていくフィリスを見て、スイフリーは大きくため息をつく。どうして自他関係なく恋愛話がすきなのだろうか。
面倒くさいだけだろうに、そんなの。
「とりあえず、先に進むとするか。まだ先はありそうだ」
部屋の北側の壁には、相変わらずのドアがあった。今回も罠も鍵も無く、あっさりと進むことができた。ドアの先は広い空間の端だったらしく、向かい側の壁が遠くに見える。空気は湿気が酷くなり、すこし息苦しくも感じられた。
どこからとも無く、脈打つような低い音が定期的に響いてくる。
「何だか嫌な感じがする場所ね」
マウナは不安げな顔であたりをうかがった。部屋の中は薄暗いが、見えないことも無い。
部屋は今までのどの部屋よりも広く、一番北の壁には何かがあるようだった。
それは彫像のように見えた。
奇妙な彫像だった。
大きな顔で、体は無い
目は閉じられていて、眠っているような顔をしている。
赤黒い壁と同じ色をしていて、同じ色の管も頭や頬に張り付いていた。
毛という概念は無いのか、管がある以外はつるんとしたつくりだ。
それは見たことのあるアンデットや悪魔などの持っていた禍々しさとは違うが、本能的に近寄りたくない、と感じさせるだけの何かを持っていた。
「嫌な感じ」
再び呟く。
少なくとも、あの彫像を作ったものは、正気ではなかっただろう。
「あ」
パラサが逆側の壁を指差した。あちら側にも扉があったらしく、ぞろぞろと数人の人間が入ってきたのが見えた。全部で7人。間違いない、分断されていた仲間たちだ。
「姉ちゃん!」
走ろうとするパラサの首根っこを今回もスイフリーが捕まえる。
「前例を忘れたか、はとこの子よ」
「向こうもおんなじこと思ってるみたいにゅ」
向こうにいる人間たちは武器に手をかけ、近寄るか否か思案中のようだった。
「どうにかして本物かどうか確認が取りたいところだな」
「マウナ、エキューに『好きよ』って言ってみてくれなさい」
「本物だったとき、あとどうしてくれるのよ、それ」
ヒースの提案に、マウナが冷たい声をあげる。
「やっぱりほくろ大作戦よ。ホントにクレアの秘密のほくろとか知らないの?」
「いい加減そういう思考から離れろ」
フィリスの宣言に、スイフリーはぐったりした声をあげる。
「そんなにほくろ大作戦がしたいなら、フィリスがレジィナを見てくればいいだろう」
「そんなの誰も楽しくないわよ」
「知らないわけじゃないのか」
「グイズノーあたりなら喜ぶかも知んないにゅ」
「あの破壊坊主を喜ばせてもねえ」
ぼそぼそと会話を続けていると、アーチボルトが咳払いをする。
「真面目に考えんかお前ら」
「真面目なのに」
「なお悪い」
口を尖らせたフィリスを、アーチボルトはぎろりと睨む。
「前と同じ設問でいいじゃない。ヒースが言ったやつ」
仕方ないから言いました、というような口調でフィリスが言う。
「じゃ、そうしてみるとするか」
ヒースは相手に声をかけるべく、大きく息を吸った。
■水曜日はラブシックの日、でーすーが。今日は泡ぽこです。
以下、言い訳。
毎回、ラブシックは話をアップしてから次の話を書き始めます(自転車操業的)
まあ、大体この辺でこの人たちにこういうことを話し合わせよう、くらいの指針に合わせて書いてるわけなんですけど、今回、1週間格闘しましたが、かけませんでした。
Aパターンで書き始めて、3回書き直しても気に食わず、仕方ないなあ、ということでBパターンに変更して書いてみたものの、唐突に増やした話だったのでどうも浮いている感が否めず。
こりゃだめだ、と。
というわけで、水曜更新は無理と判断、急遽泡ぽこにしました。
泡ぽこはねえ、まだまだストックがあるから大丈夫です。
友人たちには69話まで送信済みです(これも2日休んでラブシック考えてみたんだけどなあ……)
まあ、そういうことで今日はラブシックお休みということで。
『戦乙女よ、槍もて貫け!』
キラキラと光り輝く槍が7本。鋭さと速さを持ったそれは、飛んでいく軌跡をも美しく、光の尾を引き一気に相手に襲い掛かった。それぞれの体にそれは突き刺さり、偽物たちは次々と姿を保てなくなったのか宙に霧散していく。残ったのはガルガドとバスだけだったが、負けを悟ったのか同じように宙に消えていった。
「上々」
に、とスイフリーは再び笑う。手の中にあったはずの魔晶石はことごとく消えてなくなっている。マウナは本気で意識を失いたい気分になったが、この先まだ何があるか分からない。気を失うのはその後でもいいかもしれない。
「はとこ、コレ」
「後で返す」
「別にいいにゅ」
パラサから魔晶石を受け取り、スイフリーは数を確認してから無造作にそれをポケットにしまう。
「さて、と。偽物を退治したわけだが」
アーチボルトは一度大きく息を吐くとあたりを見渡した。
「手がかりは何も無し、か?」
「そうだなー」
偽物が消えたあたりをヒースは暫らく観察してから立ち上がる。
「何にも残んなかったからな」
「はとこのせい?」
「そうでもないだろ。普通なら死骸が残る」
首をかしげるパラサに、冷静にスイフリーが言う。自分のせいにされたらたまったものではない。
「魔法生物で、なんか特殊な感じのやつだったのかな?」
とりあえず、全員で首をかしげ。
「まあ、考えても仕方あるまい。分からないのだからな。グイズノーが居れば神のご加護で分かったかもしれんが、望めないのだから仕方ない」
アーチボルトは肩をすくめる。
「神のご加護といえば」
フィリスがスイフリーを見た。
「アンタの戦乙女の槍、なんかクレアのだけやたら威力強くなかった?」
「気のせいだろう」
「日ごろの恨み?」
「気のせいだ、と言ってるだろう。大体、なぜ神のご加護とか言う単語でそんな話題になるのだ」
苦い顔をするスイフリーに、フィリスはからかうような笑顔を向ける。
「べぇーつにィ? ただ戦闘前にクレアの名前を騙ったヤツに正義の鉄槌がどうのって言ってたのを思い出しただけよ? アンタって性格270度くらいひねくれねじれあがってるから、どうなのかなー? って」
「暇な女だなぁ」
呆れた顔をするスイフリーに、フィリスはまだまとわりつく。
「で、実際どうなの。日ごろの恨みなの? ねじくれあがった愛なの?」
「……黙秘する」
「つまんないわねー。いいや、好意的に解釈しとこっと」
鼻歌交じりにアーチボルトの元へ歩いていくフィリスを見て、スイフリーは大きくため息をつく。どうして自他関係なく恋愛話がすきなのだろうか。
面倒くさいだけだろうに、そんなの。
「とりあえず、先に進むとするか。まだ先はありそうだ」
部屋の北側の壁には、相変わらずのドアがあった。今回も罠も鍵も無く、あっさりと進むことができた。ドアの先は広い空間の端だったらしく、向かい側の壁が遠くに見える。空気は湿気が酷くなり、すこし息苦しくも感じられた。
どこからとも無く、脈打つような低い音が定期的に響いてくる。
「何だか嫌な感じがする場所ね」
マウナは不安げな顔であたりをうかがった。部屋の中は薄暗いが、見えないことも無い。
部屋は今までのどの部屋よりも広く、一番北の壁には何かがあるようだった。
それは彫像のように見えた。
奇妙な彫像だった。
大きな顔で、体は無い
目は閉じられていて、眠っているような顔をしている。
赤黒い壁と同じ色をしていて、同じ色の管も頭や頬に張り付いていた。
毛という概念は無いのか、管がある以外はつるんとしたつくりだ。
それは見たことのあるアンデットや悪魔などの持っていた禍々しさとは違うが、本能的に近寄りたくない、と感じさせるだけの何かを持っていた。
「嫌な感じ」
再び呟く。
少なくとも、あの彫像を作ったものは、正気ではなかっただろう。
「あ」
パラサが逆側の壁を指差した。あちら側にも扉があったらしく、ぞろぞろと数人の人間が入ってきたのが見えた。全部で7人。間違いない、分断されていた仲間たちだ。
「姉ちゃん!」
走ろうとするパラサの首根っこを今回もスイフリーが捕まえる。
「前例を忘れたか、はとこの子よ」
「向こうもおんなじこと思ってるみたいにゅ」
向こうにいる人間たちは武器に手をかけ、近寄るか否か思案中のようだった。
「どうにかして本物かどうか確認が取りたいところだな」
「マウナ、エキューに『好きよ』って言ってみてくれなさい」
「本物だったとき、あとどうしてくれるのよ、それ」
ヒースの提案に、マウナが冷たい声をあげる。
「やっぱりほくろ大作戦よ。ホントにクレアの秘密のほくろとか知らないの?」
「いい加減そういう思考から離れろ」
フィリスの宣言に、スイフリーはぐったりした声をあげる。
「そんなにほくろ大作戦がしたいなら、フィリスがレジィナを見てくればいいだろう」
「そんなの誰も楽しくないわよ」
「知らないわけじゃないのか」
「グイズノーあたりなら喜ぶかも知んないにゅ」
「あの破壊坊主を喜ばせてもねえ」
ぼそぼそと会話を続けていると、アーチボルトが咳払いをする。
「真面目に考えんかお前ら」
「真面目なのに」
「なお悪い」
口を尖らせたフィリスを、アーチボルトはぎろりと睨む。
「前と同じ設問でいいじゃない。ヒースが言ったやつ」
仕方ないから言いました、というような口調でフィリスが言う。
「じゃ、そうしてみるとするか」
ヒースは相手に声をかけるべく、大きく息を吸った。
■水曜日はラブシックの日、でーすーが。今日は泡ぽこです。
以下、言い訳。
毎回、ラブシックは話をアップしてから次の話を書き始めます(自転車操業的)
まあ、大体この辺でこの人たちにこういうことを話し合わせよう、くらいの指針に合わせて書いてるわけなんですけど、今回、1週間格闘しましたが、かけませんでした。
Aパターンで書き始めて、3回書き直しても気に食わず、仕方ないなあ、ということでBパターンに変更して書いてみたものの、唐突に増やした話だったのでどうも浮いている感が否めず。
こりゃだめだ、と。
というわけで、水曜更新は無理と判断、急遽泡ぽこにしました。
泡ぽこはねえ、まだまだストックがあるから大丈夫です。
友人たちには69話まで送信済みです(これも2日休んでラブシック考えてみたんだけどなあ……)
まあ、そういうことで今日はラブシックお休みということで。
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