泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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宿に戻ると、彼らは気が抜けたように椅子に座りこみ、テーブルに突っ伏す。
「き、緊張しました~」
「妙に疲れた」
イリーナが呆然とした声で呟き、エキューが疲れきった声を出す。ほぼ全員が放心状態で、平気な顔をしているのはヒースくらいなものだった。とはいえ、彼も本当は疲れきっているのだが。
「お疲れ様」
フィリスが苦笑しながらその様を見る。別の神を信仰しているドワーフたちが、緊張するのは仕方ないだろうし、主賓でありファリス神官のイリーナがそれより更に緊張するのも分かる。マウナは多分荘厳さにやられたのだろうし、エキューやノリスもいつもとは全く違う雰囲気に少し飲まれたのだろう。ヒースもそれなりに疲れているみたいだし、緊張は極限だったんだろう、と彼女は考えた。
「けどー、4ヶ月もかけてこっちへ来たのに、割とあっけなかったね」
一番立ち直りが早かったのはノリスだった。
「どんな話したの?」
レジィナの質問にイリーナが顔を上げる。
「とても光栄な感じでした」
答えに、意味が分からないという顔をしてみせると、ヒースが大きく息を吐く。
「法王が出てくるだろ?」
「兄さん、法王『様』です」
「まー、それで椅子に座るわけだ。俺様たちはその前に立ちっぱなしな」
「でしょうねえ」
グイズノーはさして珍しいことでもない、と先を促す。
「で、一言。『遠いオーファンでの貴女の活躍は聞き及んでおる。かの地で一層修練に励み、ファリスの教えを世に知らしめてほしい』以上だ! 以上だぞ!? 4ヶ月っつー長い時間かけて、ついでに時々命なんかもかけたりしつつやってきて、こんだけだー!」
途中で疲れが怒りに摩り替わったのか、ヒースが両腕を突き上げつつ叫ぶ。
「兄さん!」
イリーナの少し怒気を含んだ声にヒースは明後日の方向に素早く目を向ける。
「それだけ言ってくれたらいいほうなんじゃない?」
フィリスがかたん、と首を倒して見せる。自分たちが謁見を許されたときも、そんなに大差ない感じだった。
「後は記念に書状と勲章をいただきました!」
「それは記念なのか?」
アーチボルトが少し呆れた顔をする。もっと別の呼び方があるのではないかと思うが、まあ、本人が記念だと思っているのなら、記念でもいいか、と相手にするのをやめることにした。
「でも、疲れたのは本当。リジャール様に謁見したときも疲れたけど、今回はそれ以上だった。緊張感が尋常じゃないんだもん」
ため息混じりにマウナが言うと、エキューが心配そうな顔を向ける。
「しかし、有意義な時間をすごせたのも確かです。今日のことをまた歌にしないといけませんな。続・ファリスの猛女というタイトルはどうでしょう」
「バスさん、猛女から離れてください」
「しかも安直」
バスの言葉にイリーナが抗議し、エキューが突っ込む。
「まあ、なんにせよ問題なくすんでよかった。コレで我々の仕事もほぼ終わりといってもいいな」
「あとは城に戻ってテレポートのスクロール一発だ」
アーチボルトの言葉に、スイフリーは答えて頷く。
「今日はゆっくり休んでね。明日からまた移動だから」
フィリスがにっこりと笑って見せる。
「ほぼ一年ぶりくらいですね。こんなに長く帰らなかったのは初めてかも。リズ元気かな?」
フィリスに続けてレジィナは呟くように言うと、懐かしそうな目を窓の外に向けた。
「名代の代理が真面目に仕事してるといいな」
「カルプラスのおっちゃんのご指名で、ファリス神官が派遣されたんやし、大丈夫っしょ」
パラサがかくん、と首を傾げて見せる。
「名代の時点で城主の代理で、さらにその代理だろ? モチベーション低そうだな。チェックはしっかりしたほうがいいかも知れん」
スイフリーが眉を寄せる。
「そんなの、行って調べなきゃ分からないんですから、今からぐだぐだ考えても仕方ないですよ。重要なのはついてからです。と、言うわけで今日は無事謁見が終わったことを祝して宴会でもしましょう」
「いつも宴会みたいな夕飯食べてるのに」
グイズノーの提案に、ノリスが少し引きつった笑みを浮かべる。マウナなど未知の世界といった顔つきをした。
「宴会っていっても、この街で騒ごうって考えは間違いだと思うがなあ」
いつまでたっても慣れない、といった風にスイフリーは大きなため息をついて見せた。
■今日でアノス/ファーズ篇はおしまい!
短い? こんな何があるのか不明瞭な街で、長く書けなんて無茶だよ!(笑)
次回から、泡さんたちの本拠地・ストローウィック城を目指します。
友人の希望でアーチーに見せ場を作ったので、アーチーファンは期待せず、お待ちください。
「き、緊張しました~」
「妙に疲れた」
イリーナが呆然とした声で呟き、エキューが疲れきった声を出す。ほぼ全員が放心状態で、平気な顔をしているのはヒースくらいなものだった。とはいえ、彼も本当は疲れきっているのだが。
「お疲れ様」
フィリスが苦笑しながらその様を見る。別の神を信仰しているドワーフたちが、緊張するのは仕方ないだろうし、主賓でありファリス神官のイリーナがそれより更に緊張するのも分かる。マウナは多分荘厳さにやられたのだろうし、エキューやノリスもいつもとは全く違う雰囲気に少し飲まれたのだろう。ヒースもそれなりに疲れているみたいだし、緊張は極限だったんだろう、と彼女は考えた。
「けどー、4ヶ月もかけてこっちへ来たのに、割とあっけなかったね」
一番立ち直りが早かったのはノリスだった。
「どんな話したの?」
レジィナの質問にイリーナが顔を上げる。
「とても光栄な感じでした」
答えに、意味が分からないという顔をしてみせると、ヒースが大きく息を吐く。
「法王が出てくるだろ?」
「兄さん、法王『様』です」
「まー、それで椅子に座るわけだ。俺様たちはその前に立ちっぱなしな」
「でしょうねえ」
グイズノーはさして珍しいことでもない、と先を促す。
「で、一言。『遠いオーファンでの貴女の活躍は聞き及んでおる。かの地で一層修練に励み、ファリスの教えを世に知らしめてほしい』以上だ! 以上だぞ!? 4ヶ月っつー長い時間かけて、ついでに時々命なんかもかけたりしつつやってきて、こんだけだー!」
途中で疲れが怒りに摩り替わったのか、ヒースが両腕を突き上げつつ叫ぶ。
「兄さん!」
イリーナの少し怒気を含んだ声にヒースは明後日の方向に素早く目を向ける。
「それだけ言ってくれたらいいほうなんじゃない?」
フィリスがかたん、と首を倒して見せる。自分たちが謁見を許されたときも、そんなに大差ない感じだった。
「後は記念に書状と勲章をいただきました!」
「それは記念なのか?」
アーチボルトが少し呆れた顔をする。もっと別の呼び方があるのではないかと思うが、まあ、本人が記念だと思っているのなら、記念でもいいか、と相手にするのをやめることにした。
「でも、疲れたのは本当。リジャール様に謁見したときも疲れたけど、今回はそれ以上だった。緊張感が尋常じゃないんだもん」
ため息混じりにマウナが言うと、エキューが心配そうな顔を向ける。
「しかし、有意義な時間をすごせたのも確かです。今日のことをまた歌にしないといけませんな。続・ファリスの猛女というタイトルはどうでしょう」
「バスさん、猛女から離れてください」
「しかも安直」
バスの言葉にイリーナが抗議し、エキューが突っ込む。
「まあ、なんにせよ問題なくすんでよかった。コレで我々の仕事もほぼ終わりといってもいいな」
「あとは城に戻ってテレポートのスクロール一発だ」
アーチボルトの言葉に、スイフリーは答えて頷く。
「今日はゆっくり休んでね。明日からまた移動だから」
フィリスがにっこりと笑って見せる。
「ほぼ一年ぶりくらいですね。こんなに長く帰らなかったのは初めてかも。リズ元気かな?」
フィリスに続けてレジィナは呟くように言うと、懐かしそうな目を窓の外に向けた。
「名代の代理が真面目に仕事してるといいな」
「カルプラスのおっちゃんのご指名で、ファリス神官が派遣されたんやし、大丈夫っしょ」
パラサがかくん、と首を傾げて見せる。
「名代の時点で城主の代理で、さらにその代理だろ? モチベーション低そうだな。チェックはしっかりしたほうがいいかも知れん」
スイフリーが眉を寄せる。
「そんなの、行って調べなきゃ分からないんですから、今からぐだぐだ考えても仕方ないですよ。重要なのはついてからです。と、言うわけで今日は無事謁見が終わったことを祝して宴会でもしましょう」
「いつも宴会みたいな夕飯食べてるのに」
グイズノーの提案に、ノリスが少し引きつった笑みを浮かべる。マウナなど未知の世界といった顔つきをした。
「宴会っていっても、この街で騒ごうって考えは間違いだと思うがなあ」
いつまでたっても慣れない、といった風にスイフリーは大きなため息をついて見せた。
■今日でアノス/ファーズ篇はおしまい!
短い? こんな何があるのか不明瞭な街で、長く書けなんて無茶だよ!(笑)
次回から、泡さんたちの本拠地・ストローウィック城を目指します。
友人の希望でアーチーに見せ場を作ったので、アーチーファンは期待せず、お待ちください。
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