泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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ストローウィック城へは、ファーズから一週間ほどかかる。
道は大して険しくなく、小さいとはいえ村が点在する地域なので、細いものではあるが街道もある。周囲は草原、もしくは小さな林に囲まれていて、景色は美しい。総じて歩きやすい道であり、旅は快適、と言えた。
「どんなお城なんですか?」
お城、という響きに少々舞い上がったような声でマウナが尋ねる。
「もともとは、財務大臣が狩りのときに使ってたものなの。そんなに大掛かりなものじゃないわ。もちろん、一応お城だから頑丈な城壁はあるし、見張りようの塔もあるし、犬舎や厩舎もあるわよ。周りはちょっと沼地で、小高い丘に建ってるの」
「守りやすく攻めにくい、リザードマンに無力な城」
フィリスとスイフリーがそのように答える。
「大きさは?」
「城壁は周囲3キロくらい。建物は少々古いが、手直ししたから問題は無い。部屋数はいくつだ? わたしは数えたことが無い」
アーチボルトの言葉に、クレアがすぐに部屋の数を答える。その数にマウナが目を輝かせた。
「ステキ」
「その城、ぽーんと貰ったのか?」
ヒースの質問に、アーチボルトは鷹揚に頷く。
「そうだ。我々の働きを評価してな」
心なしか頬が紅潮している。得意げな顔に、レジィナはそっとため息をつく。
「一体どういうことをすれば、お城をぽーんと貰えちゃうわけ? アノスってすごいねー。ボクもほしいなあ」
ノリスの言葉に、とりあえずガルガドは冷たい目線を送った後大きくため息をついた。どうせ視線くらいでは伝わるまい。
「城自体は財務大臣の依頼を全うして報酬としてもらった。実際に使えるようになって、領地や領民や騎士資格を貰ったのはアノスを揺るがす事件を解決したからだ」
「どんな事件だったのですか?」
バスの目が輝く。どんな話題も聞き漏らすまい、という意気込みが感じられる。
「秘密だ」
スイフリーがバスの質問を一蹴した。
「秘密ですか」
「少々込み入った話になるからな、吟遊詩人に歌って伝えられると問題が有るのだ」
「そんな酷い話だったのか? 法王のスキャンダルとかか!?」
別の意味でヒースが目を輝かせる。
「この話が漏れると、もれなく魔術師が白い目で見られる」
「う」
スイフリーの冷たい声に、ヒースが言葉を詰まらせる。それ以上の発言がないあたりに、その真実味が含まれているとみて間違いなさそうだ、と彼は思った。
「いいところだよ。のんびりしてるし、皆真面目だし」
レジィナはにこにこ笑ってマウナにつたえる。現在、一番城に到着するのを楽しみにしているのは、実のところ彼女だろう。
「なんにせよ、早く見てみたいわー」
「ほんとです! きっとファリス様の栄光が満ち溢れた素敵なお城なんでしょうね!」
「それじゃはとこは住めないにゅ」
マウナとイリーナの言葉に、パラサは苦笑して呟き、きっちりエルフの蹴りを避けて見せた。
ファーズを出て数時間。
道はまだ真っ直ぐに続いている。景色は相変わらずよく、天気も崩れることなく穏やかだ。数週間前に騎士団がこのあたりの魔物を掃討したらしく、迷い出てくる魔物すら居ない。のんびりした旅路である。
「アーチー」
一行の後ろのほうを歩いていたアーチボルトに、先頭をスイフリーと歩いていたはずのパラサが近寄って小さな声で話しかける。
「なんだ」
「前見たまま聞いてほしいにゅ」
「どうした」
小声になりながら、言われたとおり前をみつつ訪ねる。グラスランナーは嫌いだが、こういうときのパラサの話は聞いて損はない。
「つけられてる」
「何?」
「最初は同じ方向へ行く冒険者かな、とも思ったんやけど。距離が縮まりも離れもしない。さっき森の方面へ入って、でも方向は一緒。数は5人、けど黒エルフじゃないにゅ」
すすす、とスイフリーが逆側に近寄ってきた。
「どうする、先制するか? 我々、恨みだけは確実に相当数買ってるし、逆恨みまで考えたら星の数だぞ」
「とりあえず、様子を見よう」
■今日から「アーチーを活躍させようの会会長に捧ぐ・アーチー大活躍の章」です(嘘・誇張含む)
と、いうわけで、正体不明の何者かとの戦い、スタート。
道は大して険しくなく、小さいとはいえ村が点在する地域なので、細いものではあるが街道もある。周囲は草原、もしくは小さな林に囲まれていて、景色は美しい。総じて歩きやすい道であり、旅は快適、と言えた。
「どんなお城なんですか?」
お城、という響きに少々舞い上がったような声でマウナが尋ねる。
「もともとは、財務大臣が狩りのときに使ってたものなの。そんなに大掛かりなものじゃないわ。もちろん、一応お城だから頑丈な城壁はあるし、見張りようの塔もあるし、犬舎や厩舎もあるわよ。周りはちょっと沼地で、小高い丘に建ってるの」
「守りやすく攻めにくい、リザードマンに無力な城」
フィリスとスイフリーがそのように答える。
「大きさは?」
「城壁は周囲3キロくらい。建物は少々古いが、手直ししたから問題は無い。部屋数はいくつだ? わたしは数えたことが無い」
アーチボルトの言葉に、クレアがすぐに部屋の数を答える。その数にマウナが目を輝かせた。
「ステキ」
「その城、ぽーんと貰ったのか?」
ヒースの質問に、アーチボルトは鷹揚に頷く。
「そうだ。我々の働きを評価してな」
心なしか頬が紅潮している。得意げな顔に、レジィナはそっとため息をつく。
「一体どういうことをすれば、お城をぽーんと貰えちゃうわけ? アノスってすごいねー。ボクもほしいなあ」
ノリスの言葉に、とりあえずガルガドは冷たい目線を送った後大きくため息をついた。どうせ視線くらいでは伝わるまい。
「城自体は財務大臣の依頼を全うして報酬としてもらった。実際に使えるようになって、領地や領民や騎士資格を貰ったのはアノスを揺るがす事件を解決したからだ」
「どんな事件だったのですか?」
バスの目が輝く。どんな話題も聞き漏らすまい、という意気込みが感じられる。
「秘密だ」
スイフリーがバスの質問を一蹴した。
「秘密ですか」
「少々込み入った話になるからな、吟遊詩人に歌って伝えられると問題が有るのだ」
「そんな酷い話だったのか? 法王のスキャンダルとかか!?」
別の意味でヒースが目を輝かせる。
「この話が漏れると、もれなく魔術師が白い目で見られる」
「う」
スイフリーの冷たい声に、ヒースが言葉を詰まらせる。それ以上の発言がないあたりに、その真実味が含まれているとみて間違いなさそうだ、と彼は思った。
「いいところだよ。のんびりしてるし、皆真面目だし」
レジィナはにこにこ笑ってマウナにつたえる。現在、一番城に到着するのを楽しみにしているのは、実のところ彼女だろう。
「なんにせよ、早く見てみたいわー」
「ほんとです! きっとファリス様の栄光が満ち溢れた素敵なお城なんでしょうね!」
「それじゃはとこは住めないにゅ」
マウナとイリーナの言葉に、パラサは苦笑して呟き、きっちりエルフの蹴りを避けて見せた。
ファーズを出て数時間。
道はまだ真っ直ぐに続いている。景色は相変わらずよく、天気も崩れることなく穏やかだ。数週間前に騎士団がこのあたりの魔物を掃討したらしく、迷い出てくる魔物すら居ない。のんびりした旅路である。
「アーチー」
一行の後ろのほうを歩いていたアーチボルトに、先頭をスイフリーと歩いていたはずのパラサが近寄って小さな声で話しかける。
「なんだ」
「前見たまま聞いてほしいにゅ」
「どうした」
小声になりながら、言われたとおり前をみつつ訪ねる。グラスランナーは嫌いだが、こういうときのパラサの話は聞いて損はない。
「つけられてる」
「何?」
「最初は同じ方向へ行く冒険者かな、とも思ったんやけど。距離が縮まりも離れもしない。さっき森の方面へ入って、でも方向は一緒。数は5人、けど黒エルフじゃないにゅ」
すすす、とスイフリーが逆側に近寄ってきた。
「どうする、先制するか? 我々、恨みだけは確実に相当数買ってるし、逆恨みまで考えたら星の数だぞ」
「とりあえず、様子を見よう」
■今日から「アーチーを活躍させようの会会長に捧ぐ・アーチー大活躍の章」です(嘘・誇張含む)
と、いうわけで、正体不明の何者かとの戦い、スタート。
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