忍者ブログ
泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
[101]  [100]  [99]  [98]  [97]  [96]  [95]  [132]  [94]  [93]  [92
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

泡ぽこ 60
全員に情報がいきわたったのを確認して、アーチボルトは歩みを止める。それに従って、皆もその場で立ち止まった。
「いつまでこそこそと付け回るつもりだ、我々は逃げも隠れもしない、出てきたらどうかね」
森に向かってびしりと指をさし、アーチボルトが宣言する。少し自分によっている感じがしないでもないが、今に始まったことでもないので、誰も何も言わない。
がさり、と下草を踏み分ける音がしたかと思うと、若い冒険者たちが5人、森から出てきた。そこそこ年季が入った装備品であるとか、旅慣れた感じから、それほど駆け出しという感じはしない。
武器や鎧を見る限り、戦士も盗賊も神官もいる。魔術師や精霊使いはよく分からない。鎧を脱いだら使える、というようなパーティーも居るからだ。
戦士の一人が、きつい目つきでアーチボルトを見据えている。他の四人は、少々その戦士にむけて呆れたような目つきであったりもする。
「何の用かね?」
アーチボルトは他のものより一歩前へ出て尋ねる。
「アーチボルトっていうのはお前か!」
戦士が口を開いた。まだ若い男で、多分アーチボルトの半分くらいの歳でしかないだろう。
「不躾な奴だ」
アーチボルトが顔を顰めてため息をついて見せると、戦士は更に鋭い声を発する。
「勝負しろ!」
「は?」
思わず間抜けな声を出したアーチボルトを気にすることなく、戦士は続ける。
「お前はどう見たって俺より弱そうだ! なのに騎士として叙勲されるなんておかしいじゃないか! 何か不正をしてるにちがいない!」
びしり、と戦士は指を突きつける。多分彼はファリス信者でもあるのだろうな、とアーチボルトはぼんやり考えながら相手の行動を見る。
「まあ、アーチーは筋力的にはひ弱ですよね。あちらのほうが強そうです」
グイズノーがぼそりという。確かに、相手の戦士はかなり体格に恵まれていてがっしりした印象を与える。対するアーチボルトは、上背こそあるが、どちらかというとひょろっとした感じで筋力的には恵まれていない体つきだ。
「まあ、わたくしに言えた話じゃないんですけどね」
ぎろりと睨まれ、グイズノーは笑いながら続ける。確かに彼はアーチボルトより更にひ弱なからだをしている。体格については、彼らのパーティは本当にあまり恵まれていない。
そういう体格的な見た目や持ち物が、彼らに対するやっかみや逆恨みを余計に助長させているともいえる。
「不正もしてるにゅ。アーチーブレードも鎧も、ちょっと反則っぽいにゅ」
「アーチブレイド!」
「今は俺が喋ってるんだから外野と会話するな!」
わざと間違って言ってみせたパラサに対し、アーチボルトはいつもどおりしっかりと訂正をいれる。その様子が頭にきたのか、戦士が声を荒げた。
「ちゃんと調べたんだぞ! お前たちパーティーは作戦立案してるエルフが居て、魔法をばんばん飛ばして勝つんだろう! ということは、お前はお飾りだ! エルフが居なければきっと俺とお前の実力は五分と五分! それなのに騎士だなんて許せん!」
「わたしだけが作戦立ててるわけではないんだがなあ」
「リサーチ不足よね。アーチーとスイフリーの二人で話をややこしくしてるのに」
「あれ、逆恨みですよね」
「ああいうのは、逆恨みではなくやっかみというのだ。第一、わたしはアーチーに支援魔法など使ったことがないから、わたしが居ても居なくてもアーチーの戦闘能力にはまったく関係しないんだが」
「どっちかっていうと俺にゅ」
「参っちゃいますね」
「だから外野は茶々を入れるな!」
スイフリーたちの会話に、また戦士が怒りをあらわにする。
「結局君は何が言いたいのかね」
ため息混じりにアーチボルトは戦士を見る。
「言っただろ! 俺と勝負しろ!」
「そのわりに、君の仲間は興味がなさそうに見えるのだが」
「勝負するのは俺とお前だ! 正々堂々、一対一で勝負だ!」
「……」
アーチボルトは呆れたような疲れたような目で戦士を見たあと、助けを求めるように仲間を見た。
「じゃあ頑張れアーチー」
「きっと勝てるわよぅ、アーチー強いものぉ」
しれっと無関係を決め込む仲間。
「正々堂々、一対一! ファリス様もそれならお許しくださいます!」
大きく頷くイリーナ。
「どちらかというと、それはマイリーの教えなんじゃないか?」
「そうだの。見届け人でもするかの?」
すっかり観客モードのヒースに、やる気に満ちた戦神の神官。
「お前ら……」
急に悲しい気分に陥りつつ、アーチボルトは戦士に向き直る。
「どうしてもか?」
「当たり前だ! 怖気づいたか!」
勢いに乗った戦士を止める手立てはなさそうだ。彼の仲間が諦めた様子で見つめているのは、つまりはそういうことだろう。自分たちを追ってきたのは、彼一人の主張であって、仲間たちは巻き込まれたのだろう。
こっちも巻き込まれたわけだが。
「あ、そうだアーチー、ルールと勝ったときの報奨は先に決めておけよ」
「正々堂々の勝負に、賞品など必要ないですよ」
スイフリーの言葉と、それをたしなめるクレアの声。
誰も止めないのかコレ。
アーチボルトはがっくりとした気分で、戦士に向き直る。
「ルールはそちらが決めたまえ」



■ちゃんと「アーチーを活躍させようの会・会長」と話し合って、敵を決めました。
そうしたら、こんな感じになりました。
なんか、無礼レベルが足りなかった気がする(笑)

しかし、会長はお褒めの言葉を下さいました。
アーチーがとてもイイカンジだったそうです。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
忍者ブログ / [PR]

photo by 7s
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
カウンター
WEB拍手
2007.12.24変更
メルフォ。
プロフィール
HN:
こーき
性別:
非公開
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
忍者・1人目
忍者・2人目