泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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外野の騒ぎなど気にも留めず、二人の戦士の戦いは始まった。
先に動いたのは、相手の若い戦士。アーチボルトが持っているものより、大きな剣を振り上げて切りかかる。アーチボルトは持っている盾で軽く受けると、接近したのをいいことに剣を振るった。軽く振り下ろされた剣は、相手の動きを簡単に捉え、その体を浅く切りさく。血の赤が宙に赤い糸を引く。
(……口だけじゃないか、完全に)
戦う前から、実力に差はあるだろうと思ってはいた。自分の噂がどの程度になって流布しているのか正確には知らないが、この程度の相手に「自分と同等」だと捉えられる程度の噂なのだろうか。それとも、力は武具から来ているとでも思われているのだろうか。確かに、武具についてはかなり恵まれていることは認める。が、どちらにせよ、不名誉だ。
(下手すると、スイフリーより弱いんじゃないか?)
引き合いに出したスイフリーだって、エルフとはいえかなりの剣の実力者である。駆け出しや、少々経験を積んだ程度の冒険者なら、相手にならない。それでも、自分に比べたら随分劣るのである。(もっとも、スイフリーは剣で戦ったりしない。あくまで、生き残るための手段として剣技を学んだだけだ)
再び、相手が剣を振るった。動き自体は悪くない。動きも素早いし、力もある。自分より、随分恵まれた戦士であるのは確かだろう。しかし、技はまだ未熟だ。もう少し経験を積めば、名の通った冒険者にだってなれるだろう。
(適当に切り上げてやらんとなあ)
ここで彼の人生を終わらせるわけには行かない。かといって、なめられっぱなしなのも腹立たしい。
「戦いの最中に考え事をするな!」
浅い傷を負った相手が苛々と叫ぶ。考え事をしているのを見抜かれたのは正直意外だったが、同時にそれだけの観察眼があって、なぜこの戦いをやめないのかとばかばかしくもなる。
もしかしたら、仲間に宣言した以上引っ込みがつかないだけかもしれない。
「そうだな、全力で相手をするか」
こうなったら、短期決戦だろう。思いっきり攻撃してしまおう。刃ではなく、刀身を使って、さらに急所を狙わなければ、多分、大丈夫だろう。骨くらいは折れるかもしれないが、授業料だとすれば安い。刃を使ったら、多分軽く切り落とす。それだけ避ければ、まあ、よかろう。
そう考えを変えて、アーチボルトは不意に相手の死角になる場所から剣を振るう。
彼は気付いたのか、それを盾で受け止めた。
とたん、ごき、と低く嫌な音がした。
「うわ、今の音何?」
「骨折だよ。受けたはいいけど、衝撃にやられたんだ。あれは避けちゃうべきだったね。……骨折で済ませてもらえて、ラッキーじゃん」
鈍い音に、ノリスが身をすくめる。エキューは冷静に淡々と解説をすると再び戦いに目を向ける。
(雰囲気的には神経質で弱そうに見えるけど、やっぱり騎士だけある。強い。イリーナみたいに全部我流ってわけでもないし、武器も防具も一流だし、本気出したらどれだけいくんだろ)
戦いたいとは思わない。能力的には互角か、もしかしたら自分のほうが恵まれているかもしれないが、技量も道具も自分は劣る。実力を見極められないほど、おろかなことはない。そういう意味で、あの相手の戦士は命を落としても仕方ないと思う。
(そういう意味では甘いよな)
エキューは冷めた目でアーチボルトを見ると、ふ、と大きくため息をついた。
(手加減しすぎ。一撃でやれるくせに)
相手は腕を折られて少し怯んだようだった。そこに追い討ちをかけるように、ぐっと剣で相手を押す。いきなりの負荷に、彼はよろけてしりもちをついた。その首筋に剣を突きつける。
「わたしの勝ちだな」
冷静な声で宣言する。若い戦士は、キッとアーチボルトを睨みつけるとすぐさま立ち上がる。
「ま、まだだ!」
「……お前なぁ」
ため息をついて、ガルガドを見る。戦神の神官は大きく頷くと、低い声で宣言した。
「今ので勝負はついた。アーチボルトの勝ちだの。お前さんも、いい戦士になれるだろうから、ここは一度おちついてだな……」
「うるさい! 俺は負けてない!」
再び剣を振るおうとする彼に、アーチボルトはどうしたものかと思案する。その間に、戦士はアーチボルトへ剣を振るおうとして、唐突にこけた。
「?」
振り返ると、向こうでスイフリーが不機嫌そうな顔をして片手をこちらに向けているのが見えた。
「ま、魔法で援護するとは卑怯だぞ!」
「戦いの終わりが宣言された以上、お前とアーチーの試合は終わっているのだ。それ以上何かしようというのなら、わたしもそのルールに従う必要はない」
若い戦士の叫びに、スイフリーは冷たい声で宣言する。
「お前は戦いの場を汚し、恐れ多くも法王直属の騎士に刃を向けたのだ。何の咎めもないままにしてやろうというアーチーの配慮も無視し、まだその命を付けねらう。だとしたら、わたしに容赦する必要もない。次はバルキリーを呼ぶぞ」
■ところで私はとってもとっても戦闘シーンを書くのが苦手なのだが、どうしたものだろう……こんなんでいいのか?
何気にスイフリーさんが正義の人になってしまった(笑)
まあ、そういう要素が全然ない人でもないんだけど。違和感あるよね。
■久しぶりにちょっと読み返してみたら、意外と面白くてびっくりしました(笑)
まあ、自分の好みで書いてるんだから、そりゃ楽しいつぼは自分用だよな。ははは。
あと10回程でこのお話はおしまいになります。
その後このブログで何を更新したものか、今から悩んでます。
いや、アチフィリのLoverslikeはやりますよ?
先に動いたのは、相手の若い戦士。アーチボルトが持っているものより、大きな剣を振り上げて切りかかる。アーチボルトは持っている盾で軽く受けると、接近したのをいいことに剣を振るった。軽く振り下ろされた剣は、相手の動きを簡単に捉え、その体を浅く切りさく。血の赤が宙に赤い糸を引く。
(……口だけじゃないか、完全に)
戦う前から、実力に差はあるだろうと思ってはいた。自分の噂がどの程度になって流布しているのか正確には知らないが、この程度の相手に「自分と同等」だと捉えられる程度の噂なのだろうか。それとも、力は武具から来ているとでも思われているのだろうか。確かに、武具についてはかなり恵まれていることは認める。が、どちらにせよ、不名誉だ。
(下手すると、スイフリーより弱いんじゃないか?)
引き合いに出したスイフリーだって、エルフとはいえかなりの剣の実力者である。駆け出しや、少々経験を積んだ程度の冒険者なら、相手にならない。それでも、自分に比べたら随分劣るのである。(もっとも、スイフリーは剣で戦ったりしない。あくまで、生き残るための手段として剣技を学んだだけだ)
再び、相手が剣を振るった。動き自体は悪くない。動きも素早いし、力もある。自分より、随分恵まれた戦士であるのは確かだろう。しかし、技はまだ未熟だ。もう少し経験を積めば、名の通った冒険者にだってなれるだろう。
(適当に切り上げてやらんとなあ)
ここで彼の人生を終わらせるわけには行かない。かといって、なめられっぱなしなのも腹立たしい。
「戦いの最中に考え事をするな!」
浅い傷を負った相手が苛々と叫ぶ。考え事をしているのを見抜かれたのは正直意外だったが、同時にそれだけの観察眼があって、なぜこの戦いをやめないのかとばかばかしくもなる。
もしかしたら、仲間に宣言した以上引っ込みがつかないだけかもしれない。
「そうだな、全力で相手をするか」
こうなったら、短期決戦だろう。思いっきり攻撃してしまおう。刃ではなく、刀身を使って、さらに急所を狙わなければ、多分、大丈夫だろう。骨くらいは折れるかもしれないが、授業料だとすれば安い。刃を使ったら、多分軽く切り落とす。それだけ避ければ、まあ、よかろう。
そう考えを変えて、アーチボルトは不意に相手の死角になる場所から剣を振るう。
彼は気付いたのか、それを盾で受け止めた。
とたん、ごき、と低く嫌な音がした。
「うわ、今の音何?」
「骨折だよ。受けたはいいけど、衝撃にやられたんだ。あれは避けちゃうべきだったね。……骨折で済ませてもらえて、ラッキーじゃん」
鈍い音に、ノリスが身をすくめる。エキューは冷静に淡々と解説をすると再び戦いに目を向ける。
(雰囲気的には神経質で弱そうに見えるけど、やっぱり騎士だけある。強い。イリーナみたいに全部我流ってわけでもないし、武器も防具も一流だし、本気出したらどれだけいくんだろ)
戦いたいとは思わない。能力的には互角か、もしかしたら自分のほうが恵まれているかもしれないが、技量も道具も自分は劣る。実力を見極められないほど、おろかなことはない。そういう意味で、あの相手の戦士は命を落としても仕方ないと思う。
(そういう意味では甘いよな)
エキューは冷めた目でアーチボルトを見ると、ふ、と大きくため息をついた。
(手加減しすぎ。一撃でやれるくせに)
相手は腕を折られて少し怯んだようだった。そこに追い討ちをかけるように、ぐっと剣で相手を押す。いきなりの負荷に、彼はよろけてしりもちをついた。その首筋に剣を突きつける。
「わたしの勝ちだな」
冷静な声で宣言する。若い戦士は、キッとアーチボルトを睨みつけるとすぐさま立ち上がる。
「ま、まだだ!」
「……お前なぁ」
ため息をついて、ガルガドを見る。戦神の神官は大きく頷くと、低い声で宣言した。
「今ので勝負はついた。アーチボルトの勝ちだの。お前さんも、いい戦士になれるだろうから、ここは一度おちついてだな……」
「うるさい! 俺は負けてない!」
再び剣を振るおうとする彼に、アーチボルトはどうしたものかと思案する。その間に、戦士はアーチボルトへ剣を振るおうとして、唐突にこけた。
「?」
振り返ると、向こうでスイフリーが不機嫌そうな顔をして片手をこちらに向けているのが見えた。
「ま、魔法で援護するとは卑怯だぞ!」
「戦いの終わりが宣言された以上、お前とアーチーの試合は終わっているのだ。それ以上何かしようというのなら、わたしもそのルールに従う必要はない」
若い戦士の叫びに、スイフリーは冷たい声で宣言する。
「お前は戦いの場を汚し、恐れ多くも法王直属の騎士に刃を向けたのだ。何の咎めもないままにしてやろうというアーチーの配慮も無視し、まだその命を付けねらう。だとしたら、わたしに容赦する必要もない。次はバルキリーを呼ぶぞ」
■ところで私はとってもとっても戦闘シーンを書くのが苦手なのだが、どうしたものだろう……こんなんでいいのか?
何気にスイフリーさんが正義の人になってしまった(笑)
まあ、そういう要素が全然ない人でもないんだけど。違和感あるよね。
■久しぶりにちょっと読み返してみたら、意外と面白くてびっくりしました(笑)
まあ、自分の好みで書いてるんだから、そりゃ楽しいつぼは自分用だよな。ははは。
あと10回程でこのお話はおしまいになります。
その後このブログで何を更新したものか、今から悩んでます。
いや、アチフィリのLoverslikeはやりますよ?
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