泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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「ルール?」
相手の戦士は少し戸惑ったようだった。何も考えていなかったのだろうな、とアーチボルトは思うが、手助けしてやる必要も無いだろう。
「ルールか……」
戦士は黙ると、腕組みをして暫らく動きを止める。どうやら考え出したらしい。
とはいえ、一対一の真剣勝負と言っていたのだから、たどりつくルールといえば、仲間からの援護なしだとか、攻撃禁止部位の決定だとか、どういう状況になれば勝利、位の話だろう。
そう考えながらアーチボルトは相手が口を開くのを辛抱強く待つ。
戦士は随分長い間動きを止めていたが、やがて大きく息を吐くと、アーチボルトを見た。
「決めさせてやろう」
「……決められなかったのか?」
微妙に相手のことが心配になってきた。
まあ、冒険者としてやっていくならば、仲間に賢い者が居ればいいし、重要なのは運だから、大丈夫なのかもしれない。大丈夫じゃなくても、知らないが。
「第三者に決めてもらおう。わたしがルールを決めてお前に卑怯だといわれては適わんからな」
アーチボルトは仲間を振り返る。最初にスイフリーと目が合った。彼は酷く面倒くさそうな表情を浮かべてから大げさにため息をつき、それから諦めたような口調で話し始める。
「ここに居る人間は第三者であることはできないのではないか? わたしたちはアーチーの仲間だし、向こうに居るのはその戦士の仲間だろう? ヒースたちはわたしたちが護衛している対象だから、やはりカウントとしてはわたしたち陣営ということになる。あとくされの無いのはそっちの戦士の仲間に決めさせる方法か、もしくはガルガドに決めてもらうんだな。マイリーってのはそういうのが得意なんだろう?」
ほとんど投げやりな回答が返ってくる。当事者でもなければ、利益があるわけでもない状況で、これだけ助言してくれたのは多分仲間だからだろう。そう思いたい。
「……聞いてのとおりだから、君の仲間に決めてもらいたまえ」
結局、戦士の仲間から、大体考えていたようなルールが提案された。追加されたのは、とりあえず、とどめは刺さない方向で、と非常にシンプルなものだ。武器や防具はそのままと決まった時点で間違いなくアーチボルトは勝ったわけなのだが、戦士はその辺気にしていないらしかったし、彼の仲間たちはどうやら一回くらい負けて目を覚ませ、くらいの気持ちらしかった。
(分からないでもないな……)
内心彼の仲間たちに同情しながらアーチボルトは思う。自分たちも慢心した時期はあったし(傍目から見たら今でも慢心してるのだが、その辺は知らないふりをしておく)まあ、多少実力がついてきた彼がそういう状況になるのも分からないではない。自信をなくしてしまうのは厄介かもしれないが、慢心して命をなくすよりはずっといいだろう。
「では、立会いはワシがつとめるの」
戦神の神官であるガルガドが、二人の間に立つ。
「勝負は一回。降参するか、戦闘不能になるまで。とどめは刺さないが、不慮の事故は仕方なし。怪我はワシが責任をもって治すから、お互い全力で、正々堂々とやること」
「……全力でやったら、あの子死んじゃうんじゃないの?」
マウナが首をかしげる。
「そうなっても仕方ないですよ。実力を見極められないで喧嘩をふっかけたほうが馬鹿なんです」
エキューは冷たい目で戦士を見ながら、声だけは優しくマウナに話しかける。
「でも、アーチボルトさんがちゃんと戦うのを見るのは初めてです! ちょっとわくわくします!」
イリーナが拳を握り締めてキラキラとした目つきをする。
「確かに、ここまでの旅でアーチーがちゃんと戦ってたのはほとんど見てないな。はぐれモンスターはいうまでもなく、あの屋敷でもお前が先にとどめさしちまって、アーチー何にもしてないからな。鏡の間でちょっと剣振っただけだったよな」
「楽しみですねえ」
ヒースの答えも聞いているのかいないのか、イリーナはわくわくとした声をあげ、戦いが始まるのを今や遅しと待つ。
「本当にやるのか?」
外野の声に既に疲れてきているアーチボルトは、最後の問いかけで再び戦士に声をかける。
「無論だ! 怖気づいたか!」
「……」
「仕方がないな」
ずんばらりん、としてしまわないようにだけは気をつけよう、と思いながら剣をぬく。
せめてプロテクションくらいは、相手にかけさせておくべきだったかもしれない。
早くも後悔。
相手も剣をぬいた。魔法剣ではなさそうだが、きちんと手入れした綺麗な剣だ。
「では、はじめ」
抜かれたアーチボルトの剣に、マウナが最初に反応した。
「何か金色! 何か金色よ!」
「いや、金色だったらいいって話じゃあないだろう。ちょっと趣味悪くないか?」
ヒースはへらっと笑いながら言う。
「剣は色じゃありませんよ! 強さです! あんな軽そうな剣で大丈夫なんでしょうか? 爪楊枝以下ですよ!?」
「あんな爪楊枝ないよ」
イリーナの的外れな心配に、呆れた声をだすエキュー。
「この際だからオレらもなんか悪口言っとく?」
「今さらでしょう、彼の趣味の悪さは」
パラサとグイズノーの会話に、フィリスが絶対零度の視線を向ける。二人は即座に黙った。
「ああ、心配だわぁ、アーチー、大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ、お姉さん」
「ダメですよレジィナ、フィリスは浸りたいだけなんですから、言わせてあげないと。アーチーが負けるなんてこれっぽっちも考えてないんですから」
「分かってるなら黙れ」
「とりあえず、外野は黙っとれの。試合中だからの」
■この回を書いてた頃、友人がクレアさんのイラストをくれました。
非常にテンションがあがりました。
まだまだ募集中です。
何枚あってもじゃまにはなりません。
むしろテンションあがる。
ぎぶみークレアさん。
とか、欲望に従ったことをたまに呟いてみる。
相手の戦士は少し戸惑ったようだった。何も考えていなかったのだろうな、とアーチボルトは思うが、手助けしてやる必要も無いだろう。
「ルールか……」
戦士は黙ると、腕組みをして暫らく動きを止める。どうやら考え出したらしい。
とはいえ、一対一の真剣勝負と言っていたのだから、たどりつくルールといえば、仲間からの援護なしだとか、攻撃禁止部位の決定だとか、どういう状況になれば勝利、位の話だろう。
そう考えながらアーチボルトは相手が口を開くのを辛抱強く待つ。
戦士は随分長い間動きを止めていたが、やがて大きく息を吐くと、アーチボルトを見た。
「決めさせてやろう」
「……決められなかったのか?」
微妙に相手のことが心配になってきた。
まあ、冒険者としてやっていくならば、仲間に賢い者が居ればいいし、重要なのは運だから、大丈夫なのかもしれない。大丈夫じゃなくても、知らないが。
「第三者に決めてもらおう。わたしがルールを決めてお前に卑怯だといわれては適わんからな」
アーチボルトは仲間を振り返る。最初にスイフリーと目が合った。彼は酷く面倒くさそうな表情を浮かべてから大げさにため息をつき、それから諦めたような口調で話し始める。
「ここに居る人間は第三者であることはできないのではないか? わたしたちはアーチーの仲間だし、向こうに居るのはその戦士の仲間だろう? ヒースたちはわたしたちが護衛している対象だから、やはりカウントとしてはわたしたち陣営ということになる。あとくされの無いのはそっちの戦士の仲間に決めさせる方法か、もしくはガルガドに決めてもらうんだな。マイリーってのはそういうのが得意なんだろう?」
ほとんど投げやりな回答が返ってくる。当事者でもなければ、利益があるわけでもない状況で、これだけ助言してくれたのは多分仲間だからだろう。そう思いたい。
「……聞いてのとおりだから、君の仲間に決めてもらいたまえ」
結局、戦士の仲間から、大体考えていたようなルールが提案された。追加されたのは、とりあえず、とどめは刺さない方向で、と非常にシンプルなものだ。武器や防具はそのままと決まった時点で間違いなくアーチボルトは勝ったわけなのだが、戦士はその辺気にしていないらしかったし、彼の仲間たちはどうやら一回くらい負けて目を覚ませ、くらいの気持ちらしかった。
(分からないでもないな……)
内心彼の仲間たちに同情しながらアーチボルトは思う。自分たちも慢心した時期はあったし(傍目から見たら今でも慢心してるのだが、その辺は知らないふりをしておく)まあ、多少実力がついてきた彼がそういう状況になるのも分からないではない。自信をなくしてしまうのは厄介かもしれないが、慢心して命をなくすよりはずっといいだろう。
「では、立会いはワシがつとめるの」
戦神の神官であるガルガドが、二人の間に立つ。
「勝負は一回。降参するか、戦闘不能になるまで。とどめは刺さないが、不慮の事故は仕方なし。怪我はワシが責任をもって治すから、お互い全力で、正々堂々とやること」
「……全力でやったら、あの子死んじゃうんじゃないの?」
マウナが首をかしげる。
「そうなっても仕方ないですよ。実力を見極められないで喧嘩をふっかけたほうが馬鹿なんです」
エキューは冷たい目で戦士を見ながら、声だけは優しくマウナに話しかける。
「でも、アーチボルトさんがちゃんと戦うのを見るのは初めてです! ちょっとわくわくします!」
イリーナが拳を握り締めてキラキラとした目つきをする。
「確かに、ここまでの旅でアーチーがちゃんと戦ってたのはほとんど見てないな。はぐれモンスターはいうまでもなく、あの屋敷でもお前が先にとどめさしちまって、アーチー何にもしてないからな。鏡の間でちょっと剣振っただけだったよな」
「楽しみですねえ」
ヒースの答えも聞いているのかいないのか、イリーナはわくわくとした声をあげ、戦いが始まるのを今や遅しと待つ。
「本当にやるのか?」
外野の声に既に疲れてきているアーチボルトは、最後の問いかけで再び戦士に声をかける。
「無論だ! 怖気づいたか!」
「……」
「仕方がないな」
ずんばらりん、としてしまわないようにだけは気をつけよう、と思いながら剣をぬく。
せめてプロテクションくらいは、相手にかけさせておくべきだったかもしれない。
早くも後悔。
相手も剣をぬいた。魔法剣ではなさそうだが、きちんと手入れした綺麗な剣だ。
「では、はじめ」
抜かれたアーチボルトの剣に、マウナが最初に反応した。
「何か金色! 何か金色よ!」
「いや、金色だったらいいって話じゃあないだろう。ちょっと趣味悪くないか?」
ヒースはへらっと笑いながら言う。
「剣は色じゃありませんよ! 強さです! あんな軽そうな剣で大丈夫なんでしょうか? 爪楊枝以下ですよ!?」
「あんな爪楊枝ないよ」
イリーナの的外れな心配に、呆れた声をだすエキュー。
「この際だからオレらもなんか悪口言っとく?」
「今さらでしょう、彼の趣味の悪さは」
パラサとグイズノーの会話に、フィリスが絶対零度の視線を向ける。二人は即座に黙った。
「ああ、心配だわぁ、アーチー、大丈夫かしら?」
「大丈夫ですよ、お姉さん」
「ダメですよレジィナ、フィリスは浸りたいだけなんですから、言わせてあげないと。アーチーが負けるなんてこれっぽっちも考えてないんですから」
「分かってるなら黙れ」
「とりあえず、外野は黙っとれの。試合中だからの」
■この回を書いてた頃、友人がクレアさんのイラストをくれました。
非常にテンションがあがりました。
まだまだ募集中です。
何枚あってもじゃまにはなりません。
むしろテンションあがる。
ぎぶみークレアさん。
とか、欲望に従ったことをたまに呟いてみる。
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