泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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若い戦士は、怒りに燃えた目でスイフリーを見据える。スイフリーは呆れたような目でその視線を受け止め、大きく息を吐く。
「言っておくが、今のは警告だぞ。どう少なく見積もっても、非がそちらにあるのは明白だ。しかるべき訴えをすれば、この国の神殿にお前を捕まえさせることなんか簡単なんだぞ。そのあたり全部を不問にしてやるというのに、何が不満だ」
「はとこ、もっと逆撫でしない言い方しなきゃ」
後ろでパラサが呆れた声を出したが、スイフリーは黙殺する。
「まあ、決定権はアーチーにあるんだし、ルール違反がないならわたしはこれ以上何もしない」
「はとこだってルール違反好き……」
「わたしはちゃんとルールには従っている。……ルールの範囲内でできる最大のことをしているだけだ。盲点があればついたりもするが」
スイフリーはパラサに返答した後、アーチボルトを見る。
「……あとは任せる」
アーチボルトはその言葉に頷く。
スイフリーはそれなりに気を悪くしている。別に利益がないからではない。彼はあれで仲間や知人が傷つくことを嫌う。マーマンのブルボンの時だってそうだった。今も多分、それで不機嫌なのだろう。
「別に、わたしは何度戦っても構わないが、君が勝つ可能性はゼロに等しいと思う」
アーチボルトは戦士を見据えて静かに話しかける。
「別に驕って言うわけではないが、君の実力ではまだわたしには勝てない。君は体格もいいし、筋だって悪くない。きっと経験を積んで、運に見放されなければ、もっと強くなるさ。が、今のままではこれ以上試合をしても意味はない」
言うと、剣を一度振る。ひゅ、と鋭く風を切る音とともに、刀身の血が飛ばされてなくなった。それを確認すると、アーチボルトは剣をしまう。
「同じ武器と防具でも、きっと試合にはならない。君は冒険者なのだろう? 実力を把握するのも重要だぞ。はっきり言って、今みたいに誰彼構わず噛み付いていたら、切り捨てられても文句は言えない」
「俺を切り捨てられたっていうのか?」
「そうだ」
アーチボルトは即答すると、大きくため息をつく。
「戦いの最中にわたしが考え事をしてるのには気付くくせに、どうして簡単なことから目を背ける」
戦士は不機嫌そうな顔をしてアーチボルトを見上げた。が、言葉は出ない。
「まあ、暫らくの間は、まだアーチボルトのほうが強いだろうの。ただ、確かにお前さんは腕は悪くない。普通に修練すれば数年でいい試合くらいはできるだろう」
ガルガドはそういうと、戦士にキュアウーンズをかける。折れていた腕が元に戻り、戦士はそれに対して短い礼を述べた。
「もう一回勝負できないか」
「いつ」
「今」
諦めが悪いのは、冒険者としてはいいことなのかもしれないが、実力差を分かっていてもなお挑むのは、単純におろかだ。
思わずため息をつく。
「勝負はしない。勝負にならないからだ。悪いが、今の君では多分ここに居る戦士の誰にも勝てない。だが、君がもう少し戦士として力をつけたら、再戦することは約束しよう。その日がきたと思ったら、いつでもわたしの城を訪ねればいい」
「アーチーだけの城じゃないですよ」
「みんなの城だよ」
「いい話をしているときに茶々をいれるな! ……ま、ともかく、普段わたしは城を不在にしているが、そのときはわたしを城で待てばいい。クレアさん、かまわないだろう?」
「問題はありません。彼が待てるというのであれば、その間は滞在していただいても大丈夫です。……アーチボルトさんがお戻りまで、私がお相手しても構いませんし」
真面目な声でクレアが答える。戦士は少しむっとした顔でクレアを見たが、彼女は特別気にした様子はなかった。
「言っておくが、彼女も相当強い。……今のままじゃ君は勝てないから、そういう喧嘩を売るような顔はやめたまえ」
アーチボルトは苦笑すると、戦士をもう一度じっと見て、それから口を開く。
「そういえば、名前を聞いていなかった」
「サフィレスタスだ。いずれ大陸中に名を馳せるから、覚えておけ」
「努力しよう」
その返答に、戦士はむっとしたような顔をして、何かを言おうと口を開きかけたが、いきなり首根っこをつかまれ、言葉は発せられなかった。
「本当に、本当にご迷惑をかけました! うちの馬鹿にはあとで懇々と説教しておきます。心の広い、大人な対応をしてくださいまして、本当にありがとうございました」
彼の仲間で、ずっと後ろで見守っていた髪の長い女性が、戦士の頭を無理やり下げさせながら、同じようにぺこぺこと頭を下げる。
「いや、かまわんよ」
唐突な出来事に軽く面食らいながらも、アーチボルトは何とか返答する。
「他の仲間の皆様方にも、ご迷惑をおかけいたしました! 戦神の神官様も、平等な審判をありがとうございました!」
「礼なんて言わないでもいいじゃないか!」
「馬鹿かお前は! 迷惑かけたら謝るのが筋ってもんだ!」
女性は戦士の後頭部を思いっきり殴ると、再びアーチボルトに頭を下げる。
「もう、本当にあとでこの馬鹿は折檻しておきますから」
「や、程ほどにしておいてやってくれ」
後頭部を抱えしゃがみこんだ戦士に軽い同情を覚えながらアーチボルトは引きつった笑顔を向けた。
■友人が傷つけられたら追っ掛けていくってのがエルフの習性だってスイフリーが1巻で言ってたのでああいう感じにしてみましたが、なんかすげぇ嘘くせえのはなんだろうね。
■どうでもいいはなし。
戦士の名前は友人が付けてくれました。サフィレスタスくんです。
どうでもいい話としては、後から出てきた髪の長い女の子が、パーティーリーダー。
以下、軽い設定。
レスタスくんは専業戦士。レベルは4。筋力15くらいを想定。
単純なお馬鹿さん(知力も低い)で、成り上がるのが夢。
女の子は筋力18くらい。拳で語る神官戦士。生まれは悪党で口は悪いが、仁義に厚い。
「言っておくが、今のは警告だぞ。どう少なく見積もっても、非がそちらにあるのは明白だ。しかるべき訴えをすれば、この国の神殿にお前を捕まえさせることなんか簡単なんだぞ。そのあたり全部を不問にしてやるというのに、何が不満だ」
「はとこ、もっと逆撫でしない言い方しなきゃ」
後ろでパラサが呆れた声を出したが、スイフリーは黙殺する。
「まあ、決定権はアーチーにあるんだし、ルール違反がないならわたしはこれ以上何もしない」
「はとこだってルール違反好き……」
「わたしはちゃんとルールには従っている。……ルールの範囲内でできる最大のことをしているだけだ。盲点があればついたりもするが」
スイフリーはパラサに返答した後、アーチボルトを見る。
「……あとは任せる」
アーチボルトはその言葉に頷く。
スイフリーはそれなりに気を悪くしている。別に利益がないからではない。彼はあれで仲間や知人が傷つくことを嫌う。マーマンのブルボンの時だってそうだった。今も多分、それで不機嫌なのだろう。
「別に、わたしは何度戦っても構わないが、君が勝つ可能性はゼロに等しいと思う」
アーチボルトは戦士を見据えて静かに話しかける。
「別に驕って言うわけではないが、君の実力ではまだわたしには勝てない。君は体格もいいし、筋だって悪くない。きっと経験を積んで、運に見放されなければ、もっと強くなるさ。が、今のままではこれ以上試合をしても意味はない」
言うと、剣を一度振る。ひゅ、と鋭く風を切る音とともに、刀身の血が飛ばされてなくなった。それを確認すると、アーチボルトは剣をしまう。
「同じ武器と防具でも、きっと試合にはならない。君は冒険者なのだろう? 実力を把握するのも重要だぞ。はっきり言って、今みたいに誰彼構わず噛み付いていたら、切り捨てられても文句は言えない」
「俺を切り捨てられたっていうのか?」
「そうだ」
アーチボルトは即答すると、大きくため息をつく。
「戦いの最中にわたしが考え事をしてるのには気付くくせに、どうして簡単なことから目を背ける」
戦士は不機嫌そうな顔をしてアーチボルトを見上げた。が、言葉は出ない。
「まあ、暫らくの間は、まだアーチボルトのほうが強いだろうの。ただ、確かにお前さんは腕は悪くない。普通に修練すれば数年でいい試合くらいはできるだろう」
ガルガドはそういうと、戦士にキュアウーンズをかける。折れていた腕が元に戻り、戦士はそれに対して短い礼を述べた。
「もう一回勝負できないか」
「いつ」
「今」
諦めが悪いのは、冒険者としてはいいことなのかもしれないが、実力差を分かっていてもなお挑むのは、単純におろかだ。
思わずため息をつく。
「勝負はしない。勝負にならないからだ。悪いが、今の君では多分ここに居る戦士の誰にも勝てない。だが、君がもう少し戦士として力をつけたら、再戦することは約束しよう。その日がきたと思ったら、いつでもわたしの城を訪ねればいい」
「アーチーだけの城じゃないですよ」
「みんなの城だよ」
「いい話をしているときに茶々をいれるな! ……ま、ともかく、普段わたしは城を不在にしているが、そのときはわたしを城で待てばいい。クレアさん、かまわないだろう?」
「問題はありません。彼が待てるというのであれば、その間は滞在していただいても大丈夫です。……アーチボルトさんがお戻りまで、私がお相手しても構いませんし」
真面目な声でクレアが答える。戦士は少しむっとした顔でクレアを見たが、彼女は特別気にした様子はなかった。
「言っておくが、彼女も相当強い。……今のままじゃ君は勝てないから、そういう喧嘩を売るような顔はやめたまえ」
アーチボルトは苦笑すると、戦士をもう一度じっと見て、それから口を開く。
「そういえば、名前を聞いていなかった」
「サフィレスタスだ。いずれ大陸中に名を馳せるから、覚えておけ」
「努力しよう」
その返答に、戦士はむっとしたような顔をして、何かを言おうと口を開きかけたが、いきなり首根っこをつかまれ、言葉は発せられなかった。
「本当に、本当にご迷惑をかけました! うちの馬鹿にはあとで懇々と説教しておきます。心の広い、大人な対応をしてくださいまして、本当にありがとうございました」
彼の仲間で、ずっと後ろで見守っていた髪の長い女性が、戦士の頭を無理やり下げさせながら、同じようにぺこぺこと頭を下げる。
「いや、かまわんよ」
唐突な出来事に軽く面食らいながらも、アーチボルトは何とか返答する。
「他の仲間の皆様方にも、ご迷惑をおかけいたしました! 戦神の神官様も、平等な審判をありがとうございました!」
「礼なんて言わないでもいいじゃないか!」
「馬鹿かお前は! 迷惑かけたら謝るのが筋ってもんだ!」
女性は戦士の後頭部を思いっきり殴ると、再びアーチボルトに頭を下げる。
「もう、本当にあとでこの馬鹿は折檻しておきますから」
「や、程ほどにしておいてやってくれ」
後頭部を抱えしゃがみこんだ戦士に軽い同情を覚えながらアーチボルトは引きつった笑顔を向けた。
■友人が傷つけられたら追っ掛けていくってのがエルフの習性だってスイフリーが1巻で言ってたのでああいう感じにしてみましたが、なんかすげぇ嘘くせえのはなんだろうね。
■どうでもいいはなし。
戦士の名前は友人が付けてくれました。サフィレスタスくんです。
どうでもいい話としては、後から出てきた髪の長い女の子が、パーティーリーダー。
以下、軽い設定。
レスタスくんは専業戦士。レベルは4。筋力15くらいを想定。
単純なお馬鹿さん(知力も低い)で、成り上がるのが夢。
女の子は筋力18くらい。拳で語る神官戦士。生まれは悪党で口は悪いが、仁義に厚い。
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