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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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「こんなのあったよー」
戦闘が終わって、部屋の中を探索し始めてすぐ。
ノリスが声と共にかかげたのは青く光る球体。手のひらに乗る程度の大きさで、ガラスで出来ているのか堅く冷たく、見た目で想像するより重い。
「何!? 何!?」
目を輝かせてマウナが球体をみる。
「まあ落ち着け。俺様が鑑定してやろう」
「わかるの?」
「初めて見るが問題ない。俺様魔力鑑定出来るから。ふふふ、俺様の実力を持ってすればこんなモンちょちょいっと正体お見通しだぁー!」


「まあ、何かわからなかったわけだが、いつものことかの」
「あんまり期待してなかったから平気よ。持って帰って調べてもらえばいいのよ」
「兄さん、次は成功しましょう!」
「しばらくそっとしたげなよ、イリーナ」
「ノリスに同情されたー!」
床にのの字を書きながらぶつぶつ言うヒースはしばらくそっとしておく名目で放っておくとして、さらに部屋を捜索する。
しかし他に目につくものは見当たらない。光ることのないただのガラス玉がいくつか見つかった程度。ガラスは安くはないが、宝として扱うには安すぎる。
「研究、書き物だけだったんですね」
「あーあ。残念。でもまあ、只働きじゃないしね」
「前向きな姿が素敵です、マウナさん!」
抱きつこうとするエキューを蹴りとばし、マウナは再び部屋のなかを見なおす。もう火は点いていないし、火事になることはなさそうだ。麓の村にしばらくの間は害はないだろう。ゴブリンやコボルトはしばらくすればまた繁殖して害を加えるかもしれないが、そこはまた別の依頼になる。
「これで依頼は全部終了って考えてよさそうね。もっとお宝があればよかったけど、しかたないわ。無事に帰って報酬もらいましょ」


青い小鳩亭に戻り、非常に少額の報酬を手に入れた彼らは、ささやかな宴を敢行していた。ささやかな宴なのに微妙に赤字なのが涙を誘うが、とりあえず気付かない振りをする。
青く光る球体に期待をしている、とも言う。
「とりあえず朝一に鑑定依頼してくるわ。話はそれからだな」
「素敵なお宝だといいわねー」
「つっても研究資料は燃えちまったからな。あの玉一個でどこまでわかるか、だな」
ヒースはテーブルの上の青く光る球体を見る。たいして重要には見えない。せいぜい照明代わりに使えるかどうかと言うところだ、あまり期待しないほうがよいだろう。
まあ、こんなに長時間光り続けているのだから、研究対象としては期待大、かもしれない。あのスペクターになった魔術師がこれをいつ作ったのかわからないが、魔法としての持続時間としてはあまりに長い。
「まあ、何にせよ明日なわけですね。楽しみですねー。グレートソードが買えちゃったらどうしましょう」
「どーもしないって」
テンションをあげたイリーナに、ヒースが答える。
「わからないじゃないですか」
ばん、とイリーナがテーブルをたたく。
と、球体がころりとテーブルを転がりだした。
「あー!」
「止めて! 止めてー!」
「落ちたら割れて終わりだー!」
慌てたために皆が一ヶ所に集まったのがいけなかった。逆に動きは制限され、球体は全ての手を擦り抜けて床にむかって落ちてゆく。
「いやー! 私のお宝ー!」
マウナの悲鳴も虚しく、床に到達した球体は甲高い音をたてて割れた。
とたん、青白い閃光が辺りをつつむ。
「何!? 何なの!?」
光はすぐに納まった。あたりは何の変化もない。
「……何だったんだ?」
「ガラスの残骸がないよ?」
ノリスが床をみて首を傾げる。
「おや、あれは?」
バスが窓の外を指差す。そこには青白い光を放つ球体がゆらりと浮かんでいる。
「……瞬間移動?」
「何でもいいわよ、ますますお宝っぽいじゃない!」
「マウナ、なんか悲愴感漂ってきてますよ」
「ともかく確保しにいきましょ」
マウナは店の入り口にむかうとその扉を開き、店内に顔を向ける。
「皆行かないの?」
そう尋ねたのと同時に、ドアの外から叫び声。
「そのドア閉めるなー!!」



■今回でへっぽこサイド一先ず終了。次回からは泡サイド。


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「相手はスペクター、物理攻撃は無効だ。効きそうなのはターンアンデット。が、有効なのはシェイド。ともかく精神力を削るしかない」
ヒースは物陰に隠れながら、全員に聞こえるように説明する。
「私は何をすればいいですか!?」
「僕も何すればいいの!?」
「憑依されんように抵抗専念ッ!」
「つまんなーい」
「黙れクソガキ、お前はお前に出来る事をせえっ」
「君シェイド使えるだろ?」
「あ」

攻撃をうけた魔術師は憎悪の眼差しを彼らに向ける。劣勢を悟った魔術師の瞳は狂気に彩られ、今や正常な判断をしているとは思えない。
「許さん、許さんぞぉ、蛮族どもぉぉ!」
吠えるように叫び、スペクターと化した魔術師は腕を大きく振り上げる。その手の指にはめられた指輪が妖しく光った。
「やばい、来る!」
ヒースの叫びと魔法の発動はほぼ同時だった。
大きな爆発が部屋を揺らす。あたりを埋め尽くしていた本や紙が、炎にまかれて激しく燃える。
「あんた自分の研究に誇り持ってんだろ! いいのか!?」
「貴様ら蛮族に研究を奪われるくらいなら、貴様らもろとも全て焼き尽くし壊してくれるわッ!」
「うわっ、その意気や良し!?」
「誉めるなッ!」
魔術師の攻撃魔法をなんとかしのぎ、彼らは反撃の態勢にはいる。
精霊使いたちの放つ闇の精霊の直撃を次々くらい、魔術師がその姿を大きく揺らす。実体をすでに失った魔術師にとって、それはやっかいな術。たまらず魔術師は声を荒げる。
「お前ら蛮族どもにこの研究を横取られ殺されるくらいなら、貴様等もろともこの研究室ごと吹き飛ばしてくれるわー!」
「切れてるー!?」
「誰かあのスペクター様を止めてー!」
各々が口々に叫ぶが、もちろん魔術師がそれを聞くはずもなく、次の瞬間には再び爆風が部屋を襲う。


「うう、痛たたた……みなさーん、無事ですかー?」
爆発が収まり、最初に立ち上がったのはイリーナ。声をかけつつ辺りをうかがう。
「無事よー……けど、助けてー」
瓦礫の下からマウナの声が聞こえ、イリーナは瓦礫をどける。
「怪我はありませんか?」
「なくはないけど、大丈夫。他のみんなも無事かしら」
「無事だー」
少し離れたところでヒースの腕がカクカクとゆれる。瓦礫の下から這い出している最中らしい。
「最後の力を振り絞り全力で攻撃とはの……そんなに研究とやらは重要だったのかの?」
「お宝!?」
「内容によるな。くだんねぇ研究なら魔術師ギルドに買ってもらえん、そうなると宝じゃない。……まあ、ゴブリン退治の報酬だけだな」
「そうです! ただじゃないんですよ、マウナ!」
「……複雑」
「とはいえ……」
エキューは部屋のなかに目を向ける。
「この惨状ですから、期待できませんよ、マウナさん」
「研究もろとも吹っ飛ばすってたからなー」
部屋のなかでは紙類がまだいくつか燃えている。それをノリスがガルガドと共に消してまわっているから、これ以上の延焼はなさそうだ。
「あのおっさんの研究とやが、書き物ばっかりだったらアウトだな」
「じゃあ魔晶石! 魔術師なんだから! それ以外でも何かあるでしょ!?」




■もうあと一回はへっぽこ側です。
そのあと泡側。

そういえば、拍手で「ヒース兄さん、トランスレイト!」という内容の書き込みを頂きました。
以下、ソレについていいわけ。


気になるかただけ、どうぞ。

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■表日記からの転載です。
某所で拾ったバトンを答えてみたものです。

ちなみにルール。

【○○殺人事件】バトン
タイトル(○○の部分)はお好きにどうぞ。
その作品のキャラクターでキャスティングして下さい!

と、言うわけで、キャストは泡の人々(含・クレアさん)



お好きな人だけ、どうぞ。



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人工的な道を進んでいく。あたりは不気味に静かで、何があるというわけでもない。
ヒースの灯した青白い魔法の光があたりを照らし、浮かび上がる通路は酷く冷たく見える。
「やっぱり、駆け出しの子達もここを通ったのかしら?」
「まあ、そう見て間違いないだろうの。この先で何かがあったのだろうな」
不安そうなマウナに、ガルガドは重々しく頷く。
「どんな邪悪が来ても負けません!」
「相手によるよ」
その話を聞いて拳を握るイリーナに、エキューがぼそりと呟く。確かに、イリーナならたいていの魔物には負けないような気がするが、しょーもない理由で死ぬこともあるのがこの仕事。注意はどれだけしてもし足りないことは無い。
「ともかく、注意しないとね。死んじゃったら意味無いんだし」


歩を進めていくと、やがて重厚な扉のある行き止まりに行き着いた。
「おお!? 思いの外大当たりな感じの扉じゃないか」
「何かちょっと胡散臭い」
「上手く事が進みすぎておる気がするの」
朗らかな声で言うヒースに、エキューとガルガドがため息をつきそうな顔をする。まだため息をつかないだけましかもしれない。
「でもでもぉ、何かお宝がありそうな感じの扉よねぇ~」
「マウナさんが言うならそのとおり!」
「この変わり身の早さは何かに使えないかしら」
がすりと肘鉄を食らわせながらマウナは扉を見る。扉は石で出来ており、重々しい鉄の取っ手がついている。
「兄さん、何か書いてあります」
「んあ? そんなん、見て判る。が、読めん」
「兄さんでも読めないんですか!」
「こんだけ掠れたモン読める奴が居たら、書いた奴だけだ」
ヒースが呆れた顔をする。イリーナが指差したのは扉自体で、魔方陣のようなものと文字のようなものが書かれていたらしい。その大半は掠れており、何が書かれていたのか類推することも出来そうにない。
「ま、ともかく開けるねー」
「待たんかクソガキ!」
「って言われても、もう開いちゃったし」
ノリスが扉を指差す。扉は確かに少しだけ開いている。
「こんなときばっかり手際がいい!」

部屋の中は本のぎっしりとつまった本棚で埋め尽くされており、明かりのためかロウソクの炎があちこちでゆれている。本棚では足りなかったのか、床にも本が散乱している。テーブルには不思議な色の液体が入ったビンがいくつも置かれていたり、何かを書き付けた紙が幾重にも重ねて置かれている。
魔法使いの部屋、というのが全員の共通したイメージだった。
「また懲りもせずやってきたのか、蛮族どもめ」
ゆらりと部屋の中央で紺のローブを着た一人の男が立ち上がる。大柄の威厳にあふれた男で、その鋭い目をさらに鋭くして彼らを見た。
敵対の瞳。
「……まったく。ワシの研究を狙ってくるとは蛮族としては見所はあるが……しかしこの研究の重要さをわかっておらん。この研究はデリケートなもの。不用意にドアをあけるとは……それだけで処罰の対象だ」
ギロリ、にらみつけ。
「死をもって償え、蛮族ども」


「兄さん、何を言ってるのかわかりません!」
「簡単に言うと俺様たちは死ねといわれた」
「な!」
イリーナはローブの男にびしりと指を突き付ける。
「汝は邪悪なり!」
そして愛用のグレートソードを引き抜き構える。
「イリーナ、やる気があるのはいいが、そいつに攻撃するのはやめろ」
「何でですか!?」
「とりつかれるぞ、スペクターだから」
「さっきから聞いておれば人を低俗な魔物のように言いおって……万死に値する!」
「来るぞ! 気を付けろ!」



■思いの外、友達に順調に送ることが出来ているので、調子乗って2回目です。
1週間に1回の更新頻度なら、なんとかなりそうな気がしてきました。ので、しばらくそういう感じで。

……えーと、泡の人たちはしばらく出ません。

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「これで最後です」
倒れたゴブリンにとどめをさして、イリーナは宣言する。
「うむ、ご苦労であった」
大仰に頷くヒースの後頭部を軽くはたいてから、マウナはあたりを見回す。
「それにしても、何でこんな簡単な依頼が私たちにまわってきたのかしら?」
駆け出しの頃こそ依頼を失敗したりもしたが、現在は冒険者の国オーファンで押しも押されもせぬ実力を持ったパーティーに成長した自分たち。ゴブリンやコボルトが相手になるような依頼は、もっと駆け出しに与えられる依頼のはずだ。
「おばちゃんいわく、駆け出しのパーティーが逃げ出してきたって話だ。しかも一人面子がかけてな」
「嫌な感じね、何か別のものもいるのかしら」
「なんだかコボルトたちの数も少ないですしね」
「まあ、何か居ようが居まいが、イリーナが全部粉砕だ」
「兄さんも働いてください」
言いながらイリーナがガスリとヒースの後頭部を叩く。しばらくヒースは後頭部を押さえて悶絶していたが、誰も気にはしない。
「奥の方に道が続いてるよー」
現在居るところは、洞窟の中でも少し広くなり、部屋のようになっている場所。まだ進んでいない奥側に道があるらしいことをノリスが告げる。
「とりあえず進むか。何があるかちゃんと確認せにゃ、報酬もらえんからな。ちょろい依頼だからまあ、額は期待できないが」
「邪悪を倒し、困った人を助けるんです、額なんてどうでもいいじゃないですか」
「新しいグレートソード」
「……額も重要です」
主張にぼそりと突っ込まれたイリーナが少し言葉を訂正する。


しばらく進んで行く。洞窟の道は細く、ごつごつとした岩がむき出しになっている。どうみても人工に出来た洞窟には見えないが、時折壊れたつるはしらしいものがうち捨てられているところから見て、もしかするとゴブリンやコボルトが人里から奪ってきた道具で拡張工事をしていたのかもしれない。
「むむぅ、コボルトのクセに、もしかしたらイリーナより賢いんじゃないか?」
「兄さん、ぬか喜びの国への片道切符をプレゼントしましょうか?」
「冗談じゃないですカー、イリーナサン」
荒く削られた道を進んでいくと、唐突に舗装された床が現れる。細く通りにくかった道も広まり、天井も高い。どう見ても人の手が入った洞窟である。
「なんだろうね、人が作った洞窟みたいだけど」
ノリスが首を傾げる。
「おおむね、コボルトたちが適当に道を掘り進んで昔の遺跡を掘り当てたってトコだろ? ……結構古そうだな。古代魔法王国の名残かもしれん。とはいえ、珍しい感じもしない」
ヒースはあたりを見て肩をすくめる。それと言って研究に役立ちそうにもないから、興味はほとんどない。
「これってさ、掘り進んだ先にマズいモノがいたってことじゃない?」
「ああ、それでコボルトの数は少ないわ、駆け出しが逃げ帰ってくるわってことかー」
エキューの指摘に、ノリスが能天気に笑いながら答える。
「……」
そしてお互いに顔を見合う。
「……あれもしかして、それって俺様たちもやばいかもしれんってことか?」
「駆け出しとはいえ、面子が一人かけたんだよね?」
「死亡者出ちゃってる洞窟だったね、そういえば。魔物が弱いから安心してたけど」
力なく笑いあう。
そして表情を引き締めた。
「よし、皆の衆、心してかかれ」
「アンタも働けー!」



■1月くらい先とか言いつつ、初回は今日アップしてみましたぜー。
ゴールデンウィークなので。なんとなく。
とはいえ、次回はもうちょっと先ということで。現在4話を書いてます。全然先に進んでません。

久しぶりに書いたから書き方が判らない。というのが一番ネックだ(笑)

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