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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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フィリスは肩をすくめると、窓の外に浮かぶ青白く光を放つ球体に視線を向ける。相変わらず光は弱まる事無く、球体に変化は見られない。
「暴走してるのかぁ」
「まあ、そうでしょうね。必ず正しく定めた場所に辿り着けるのがゲートです。ドアや窓ごとに違う場所につくなんて不便でしかたありません」
グイズノーはそう言うと、ふふっと小さく笑った。何の意図で笑ったのか、その真意は分からない。
「ドアや窓ごとに違う場所につく?」
エキューは眉を寄せてグイズノーを見る。何を言っているのか、というような目付きだ。
「とりあえず、小鳩亭の入り口と大広間の一番右の窓はつながっている」
「は?」
アーチボルトが小鳩亭の入り口を指差し、マウナはその言葉と動作に慌てて立ち上がる。勢い良くドアをあけ、その向こうに広がる景色に唖然とする。ドアの向こうには、確かに見覚えのある城の広間。
「え、えぇええぇぇー!?」
茫然と店内に視線を戻す。
「たぶん客室のドアもロクでもないコトになってるぞ」
「あ、食料保存とか、地下だよね? つながってるドア見つけるまでにここにある食料を食べ尽くさないように気を付けなきゃ」
「あれ? ってことは?」
マウナはぎぎぎ、と音が鳴りそうな程にぎこちなくくびを巡らせ店内を見る。
「一瞬便利でいっかー、とか考えちゃったんだけど、入り口がアノスのお城につながってて、ということはお客さんは入ってこられないってことで、つまりは……?」
「商売あがったり、にゅ」
パラサの答えに、マウナの顔色がさーっと引いていく。
「これは大問題よ! 早く解決しなきゃ!」
見ればカウンターの向こうで、彼女の養父たちも大きく頷く。
「当然だ、不便でかなわん。すでにドアは二つも封印されている」
ぶぜんとした顔でアーチボルトが答える。
「え、何で? 魔物でもでたの?」
「魔物なんぞと一緒にするな」
「うるさいわよ、詮索すんじゃないわよ」
能天気な声でけろりと尋ねたノリスに、スイフリーとフィリスから鋭い声がとんだ。思わずノリスは首を縮めたが、二人からそれ以上の説明はナイ。ただただ、不機嫌な空気だけがノリスのまわりを取り囲む。
「まあ、いい」
スイフリーは不機嫌な目付きのまま口を開く。
「ともかく、作戦会議だ」
「たてるような作戦があるか? ともかくどんどんドアをあけて、当たりを見つけるしかないんじゃないか?」
ヒースがかくり、と首を傾ける。
「何をもって当たりにするの?」
「玉のところに着いたら当たり、じゃないか?」
エキューの質問にヒースは投げ遣り気味に答える。誰も答えを知らない問題に、返事を出来るわけがない。
「とりあえず出来ることはドアがどこにつながっているのか、確定させるコトだろう。手分けして取り掛かるか」
アーチボルトは言うと腰を浮かせる。皆つられて立ち上がった。
「二人組になるのがいいだろう。戦士だけや魔法使いだけでは対処できんこともあるかもしれん」
「じゃあ、適当にわかれるか」




■7人パーティー同士なので分けやすい気がしたが、実際分けると大変でした。
とりあえず、次回をアップしたら「続・泡ぽこ」はしばらく休業ということで。

……続きかけてないので(苦笑)

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「え!? え!?」
突然の声にマウナは動きを止める。それと同時にパラサは窓の方へ走りより、そこから向こうに飛び込む。すぐにドアに飛び付くと、勝ち誇った笑みとブイサインをこちらに向けた。
「よしよし、食料確保だ。これで憂慮すべきは武器と玉だけだ」
「玉?」
ドアの外からの声に、マウナはドアにくっついているパラサを見る。
「何でパラサさんがここに?」
「にゅ? マウナ姉ちゃんこんばんわにゅ。とりあえず説明はあとで、メニューの上から下まで持ってきて?」



「さっき言ってた玉って、あれ?」
テーブルについて食事をはじめた彼らに、ノリスはまどの外をさす。小鳩亭に面した通りに青白く光を放つ球体が浮かんでいる。
「何であれがここにあるの?」
「え? あれは洞窟の奥で見つけたんですよ?」
レジィナの疑問にイリーナが答えた。その言葉にスイフリーは目を細める。
「詳しく聞かせてもらえないか」
渋く言っても抱えたパスタのせいでいまいち間が抜けている。
「えっとですね、皆で洞窟のゴブリンを掃討するお仕事がありまして」
「なぜそんな駆け出しみたいな仕事……」
「その洞窟の奥に魔術師が居たんです」
「変り者ねぇ」
「いやいやいや、魔術師のスペクターだ。たぶん古代王国の魔術師だったんだろう」
イリーナの言葉を訂正しつつ、ヒースは手をひらひらと振ってみせた。ジェスチャーの意味はよくわからないが、とりあえず呆れているのだろうコトはわかる。
「つまり、昔の魔術師が今も居て、あの玉作ってたってこと?」
「まあ、そうなる」
「じゃあ、何かわかってるのね? 話を聞いたり、研究資料を手に入れたりで」
フィリスが期待した眼差しをヒースに向けた。しかし彼はフィリスを見ない。
「あー、そういうものはナイ」
「全部燃えました!」
勢い良く答えるイリーナに、フィリスは眉を寄せる。
「まあ、無いものは仕方ないわね。……どんな研究施設だったの?」
「意外と普通だった」
「あんたねぇ」
答えになっていない答えに、マウナはたまらずトレイでヒースの後頭部を叩く。
「わたしたちがあれを発見したのも古代王国の遺跡のような場所だった」
「スペクターは居なかったけど」
スイフリーとパラサは言うと顔を見合わせる。何のためにそうしたのかよくわからなかったが。
「ともかく、あの玉は古代王国の遺物ということか」
アーチボルトは息を大きく吐いてから重々しい声で言うと窓の外を見た。小鳩亭の外にも青白く光を放つ球体が浮かんでいる。それはストローウィック城の物と同じ物に見える。
「仮説として、あれはゲートを作るための部品なのだろうな」
「まあ、そうだろう。本物はもっと色々手が込んでたからな」
アーチボルトの意見にスイフリーがうなずく。
「ゲートにしては不安定すぎませんかね」
グイズノーが二人を見る。アーチボルトがため息を吐いた。
「だから、暴走してるんだろう、あれは」


■とりあえず、ようやく合流。
したところで、しばし中断。と言うのも、最近かけてなくてストックが無いのです(苦笑)
しばらくしたらまた続きを載せます。

予定。

とりあえず、アチフィリ書きたいからそっちを優先しようかな、とか。
ウィンド兄さんの話が書きたいけど、どうしたものかな、とか。
最近はそんな気分でおります。

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「いったい何だったのよ、今の」
フィリスは首を傾げながらもドアにハードロックをかける。
「……エルフの集落が近かったんだろう、警告でパラサが立ち去らなかったから攻撃してきた」
「あんたの村?」
「……」
フィリスの問い掛けにスイフリーは答えず、部屋の中をずんずん横切るとクレアが開けようとしていた小部屋に続くドアの前までやってきた。
「……小部屋に着くと思うか?」
「わかりません」
クレアは眉を寄せてスイフリーを見る。その頃には全員がドアのところまでやってきていた。
「開けるぞ」
ドアを開く。
少し埃っぽい空気。床にはうずたかく積み上げられた本の山がいくつもある。部屋の中央にはテーブルがあるが、その上にも本や書類が所狭しと置かれていて、ぎりぎり書き物が出来るだけのスペースがとられているのが見える。
「!!」
「フィ」
埃っぽい部屋の隅にいた男が何か言うのと、フィリスが勢い良くドアをしめるのはほぼ同時だった。その勢いのまま、早口で何事か言う。ハードロックをかけたのだろう、と皆が気付くまでそう時間はかからなかった。
「どうした?」
アーチボルトの質問に、フィリスは低いドスの効いた声で「何でも無いわよっ」と答える。
「先ほど見えた男性、フィリスの親御さんでは?」
「黙れ」
グイズノーは肩を竦めばつのわるそうな顔をした。表情は殊勝だ。
「しかしどうする」
アーチボルトは全員を見渡した。
「廊下側のドアはスイフリーが開けるなと言う。奥側はフィリスが開けるなと言う。まあ、開けたところでおかしなところへ通じているわけだが」
「おかしなところとは言ってくれる」
スイフリーとフィリスは不機嫌な顔をアーチボルトに向けたが、彼は気にする事無く腕組みをして唸りながら考え事へ突入する。
「やっぱり原因はあれかなぁ」
レジィナが窓の外を見る。相変わらず、庭の中空には青白く光を放つ球体が浮かんでいる。
「まあ、どう見てもあやしいですね」
グイズノーが大きくうなずく。
「あの球体を手に入れるコトが最終目標として、だ」
スイフリーはため息を吐くと全員の表情を一通り見た。あまり深刻な事態だとは思っていなさそうだ、と思う。
「問題が多いな。ドアはまともにつながっていない。へたをしたら洞窟につながっているかもしれない。……武器や防具は部屋。命は最優先に守るものだ。無事に解決するために最初に部屋につきたいものだな」
「あ、もっと大変なことに気付いたにゅう!」
「何だ」
「厨房に真っすぐ行けないんしょ? ご飯どうするにゅ?」
「……」
一同顔を見合わせる。
「いやあ、大問題ですねぇ」
「飯か……重要問題だな」
「しばらくしたら夕食の時間ですよね……」
ため息。
「順番としては、武器、飯、庭の玉、か?」
「飯、飯。ご飯が一番だにゅ」
「まあ、何にせよどの入り口がどこにつながっているか確認しながらメモでも作りますか。厨房につながっている入り口が早く見つかるといいですねー」
そんな話をしているときだった。突然、庭に面した窓の一番右側ががらりと開く。
途端、肉の匂いがふわりとただよう。
「皆行かないのー?」
女の声が聞こえた。
窓の方を見ると、金髪を腰までのばした女がこちらに背を向けている。その向こうには見覚えのある店が広がっている。
女はドアをしめようとしているように見えた。
「そのドアしめるなー!」
全員の叫び声がはもった。



■先週は余裕無くて更新できませんでした。でも今週も実はあんまり余裕ない。

それにしても、いやあ、つながってよかった。
最近友人に送っている分が停滞しているので、いつブログの更新がとまるか、ドキドキモノです。

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一瞬、部屋の中を鮮烈な青白い閃光が支配する。
圧倒的な光はやがておさまり、部屋はいつもの落ち着きを取り戻す。
「あら、割れちゃったの? ……珍しそうだったのに、ざーんねん」
「まあ、ガラスですしね。形あるものはいつか壊れますよ」
「使い道は少々知りたかったが」
「ま、なくなったもんはしかたない。怪我してないなら良いじゃないか」
「キレイだったから、ちょっともったいないですね」
「にゅにゅう、姉ちゃん、怪我しなかった?」
未知のアイテムだったにも関わらず、たいして動じないあたりが彼らの彼らたるゆえんかもしれないが、クレアにとっては由々しき事態だ。他人の物で、しかも価値の未知数なものを壊してしまったのだから。
「すみません! すみません!」
「別にええって。たいした物じゃなかったかも知んないし、気にすることないにゅ」
「ですが」
「無くなった物はしかたない。ま、見つけたトコにまた行ってみるさ」
「ではこの件はお開きと言うことで」
グイズノーの言葉に皆が椅子から立ち上がる。
「あ、ガラス片付けます」
クレアはそういうと、隣の部屋へむかって歩きだす。皆が集まる大広間は、小さな部屋を抜けてすぐに厨房に行けるようになっている。そこから掃除用具を取ってくるつもりだろう。
「あれ?」
広間から出ようとしていたレジィナが窓の外を見て立ち止まる。その声に全員その場で立ち止まりレジィナのほうを見た。
「お姉さん、あれ」
「ん?」
レジィナが指差した先は、窓から見える庭。広大な庭の中央、芝生の植えられたあたりの空中に、青白く光を放つ球体が浮かんでいる。
「あれって、さっきまで見ていた玉じゃないですか?」
「そんな感じだけど、何であんなところに?」
「ま、オレ取ってくるから、それから調べればいいにゅ」
パラサは手近な窓に走り寄る。
「パラサさん、窓はお行儀が悪いですよ?」
隣の部屋へつづくドアの前からクレアに声をかけられパラサが動きを止める。
「にゅにゅう、ドアから行くにゅ」
パラサは照れたように笑うと、窓から離れドアに向かう。足の早い彼はすぐにドアに辿り着き、そのドアを開けた。
「あ、れ?」
パラサは思わず戸惑いの声を上げる。彼の開けたのは廊下につながるドア。しかし、今目の前にあるのは見慣れた広い廊下ではなく、緑の深い森。地面は平らではなく、柔らかな黄緑色の苔におおわれている。木々は太い幹を持った立派なものばかりで、木漏れ日が細く淡く空間に白い線を引いている。
「え、何で?」
「……」
背後に気配を感じ、振り返ると真後ろにスイフリーが立っている。表情は堅い。
「はとこ?」
パラサがスイフリーに声をかけるのと、スイフリーが森に向かって何かを言うのと、森からパラサの聞き慣れない言葉がかけられたのはほぼ同時だった。
と、突然パラサの隣に矢が刺さる。どうやら森の方から攻撃されたようだ。
ドアが閉まる。スイフリーは不機嫌な顔をしたまま部屋の中を振り返る。
「フィリス、頼みがある」
「何よ」
「このドア、ハードロックかけてくれ」



■まあ、順調に進んでる感じです。
最近書いてないのでちょっとやばいんですけどね。

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「これは何ですか?」
クレアはテーブルの上に置かれた青く光る球体を見て首を傾げる。初めて見る物に少々興味をひかれているらしく、じっと球体を見つめている。
「キレイですね」
「でしょ? この前ちょっと冒険した時に手に入れたんにゅ」
パラサはニコニコと答えながら、青く光る球体を手でいじってみせた。
「でもまだ何かわかってないにゅ。ちょうど皆城に集まる時期だし、グイズノーかフィリス姉ちゃんに鑑定して貰おうって持ってきたにゅ」
「値打ちがあれば使うか売る。なければ明かり代わりだな」
スイフリーはさして興味ないのか、くありとあくびをしながら答える。光っているから明かり、という非常にわかりやすい話である。
「ま、流れはわかったわ」
話を聞いていたフィリスは、パラサから球体を受け取るとしばらく確かめるようにいろんな角度から見る。光ってはいるが、変哲のないガラス玉に見える。大きさは手のひらにのる程度。ガラスとして普通の重さであるし、熱をもっているわけでもない。
「魔力鑑定してみる」
全員が見守る中、フィリスが魔法を使う。しばらく沈黙が辺りを支配したのち、フィリスが息を吐く。
「わかんない」
「それは魔法を失敗したのか、それとも成功したがわからなかったのか」
アーチボルトは苦い顔でフィリスを見る。フィリスは肩をすくめてみせた。
「魔法自体はちゃんと使えたわよ。けどわからないの」
「それではわたくしも見てみますかね。魔力鑑定でわからないなら、わからない可能性が高いですが」
グイズノーはフィリスから球体をうけとる。相変わらず球体は淡く青く光ったままだ。ガラス玉はただ静かに熱のない光を放ち続ける。色々ため込んだ知識を手繰ってみるが、該当しそうな物はない。似たものを見た記憶もない。
「さて、なんでしょうね」
「おまえの神に聞けよ」
スイフリーの言葉にグイズノーは乾いた笑顔を見せる。
「今日はインスピレーション掛け忘れてます」
「朝のお祈りをしなかったんですか?」
クレアの冷たい目にグイズノー明後日のほうを見て軽く口笛を吹いてみせる。
「まあ、そんなもんかな」
アーチボルトは軽くため息をつく。
「ずっと一定に光ってるわけだし、明かり代わりでいいか」
「一応ファーズの魔術師ギルドに持って行ってからになさいよ」
「ま、それもそうかな」
話は終わり、と言うことになり青く光る球体はグイズノーの手からパラサに渡る。小さな手に渡ると、さすがにガラス玉は大きく見える。
「見せていただいて良いですか?」
クレアに頼まれ、パラサが断るワケもなく、球体はクレアのもとに渡る。
「キレイです」
「姉ちゃんにあげるにゅ」
「価値確認が先だ、はとこの子の子」
「プレゼントすること自体には反対しないんだ」
スイフリーの言葉に、フィリスはにっこりと笑ってみせたが、スイフリーはそちらに視線を向けなかった。

「ありがとうございました」
「持ってていいのにぃ」
パラサは球体を受け取るためにクレアに手を伸ばす。
と、球体がころりとパラサの手から転がり落ちる。
「あ」
全員の声が見事に重なる中、球体は一直線に床にむかって落ちてゆく。
ぱりんと乾いた音がした。



■今日から泡サイド。
クレアさんばかり出さないように気を付けたい(笑)
と、いうのが目標だったんですが。
クレアさんの出番は少なかったよな!?(笑)
……は! レジィナ!(笑)

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