泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「じゃあ、明日、試合してみよう」
レジィナの提案に、イリーナが頷く。
「あんまり勝負にならんのではないか?」
アーチボルトの苦い顔に、レジィナは「何で?」と首を傾げて見せた。
「だってそうだろう。実力は互角だ、見てる限りそう思う。となれば、どちらが先に攻撃を命中させるか、というだけの話になる。イリーナはレジィナより動くのは早いが、命中率がいまいちだ。レジィナはイリーナより動きは遅いが、ほぼ命中させる。ここだけ聞くとレジィナが優勢に聞こえるが、イリーナは敵を捕らえさえすれば威力は絶大、その上あの物々しい鎧からも分かるが攻撃を止める力もある。レジィナは魔法の武器鎧を持っているから、一撃はかなりのものだし攻撃もたいてい止める。いつまでたっても決定的な一撃でも出ない限り試合は終わらない」
「永遠の戦い……た、楽しそうです!」
「……どこが」
目を輝かせるイリーナに、ヒースは冷めた眼差しを向ける。
「彼女はファリスの神官ですよね?」
「そのはずにゅ」
グイズノーの質問に、パラサがへらりと笑う。正面でノリスがつられてへらっと笑った。
「基本的にやるだけ無駄なのだ、わかったかね?」
びしりと指を突きつけられ、レジィナはむっとした顔をする。
「いいじゃない、やらせてあげれば。本人たちの納得って重要よ? レジィナのためなのよぅ?」
フィリスから反対などさせるかといわんばかりの威圧感が発せられる。しかしアーチボルトは慣れたもので、そう大して気にしてない様子で続けた。
「まあ、利益にはならないが、訓練にはなるだろう」
結局押し切られている辺り、アーチボルトも結局は怖かったのかもしれない。
「はとこ、俺、だいぶ前に俺に化けた悪魔と戦ったことあったけど、姉ちゃんたちの試合もあんなかんじにゅ? そやったら、やっぱり、他からの介入がなかったらずーっと試合してんじゃない?」
パラサがスイフリーを見上げる。
「非力なグラスランナー同士の殴り合いなんぞと一緒にならんだろ。お前クリティカルもしなかったし。……レジィナたちのはもっと殺伐とする」
「そぉかー」
パラサの納得に、レジィナは頬を膨らませる。
「しないよ、だって殺さないもん。本気で戦うけど、殺すつもりはないもん」
「本気でやりあってるうちに頭に血が上って本気の一撃を繰り出さないとも限らんじゃないか」
スイフリーが言い終わるか終わらないかというタイミングで、低くドン、と大きな音がした。見ればレジィナの拳が机にある。怒りのあまり彼女は思いっきりテーブルに拳をたたきつけたのだろう。
「やるったら、やるの」
「……好きにすればいい」
顔を引きつらせるスイフリーに、レジィナはにっこりと笑顔を向けた。
その後ろでバスが妙に満足げに笑っていたが誰も何も聞かなかった。
試合が決定した後、城の中を色々案内してもらったのだが、イリーナは心ここにあらずといった感じであまり何があったか記憶がないようだった。
対して、マウナはきらびやかな内装や歴史を感じさせる重厚感あふれる空間に圧倒されていて、互いに部屋にもどったときには何がなんだか分からない、という状況に陥っていた。
現在、約束どおりイリーナの部屋にマウナは遊びに来ていたが、互いに交わす言葉もない。イリーナは明日に向けてなのかいつもの日課なのか、ともかく剣の手入れをしているし、マウナはマウナで城の中を思い出してはため息をつき、イリーナにあてがわれた自分よりも豪華な部屋の中をあちこち見て回ってはため息をつく、のくり返しであるからだ。
一通り部屋を見終わったマウナは、ふかふかのベッドに腰掛けてイリーナを見る。
「ねえ、勝てるの? 明日。怪我だけはしないでよ」
「怪我しても治せますから」
「あんまり慢心しないほうがいいって」
「マウナがお金を数えていると幸せなのと一緒で、私も剣を振るえるときが幸せなんです」
「一緒かなあ」
「一緒ですよぅ」
満面の笑みで答えられると、そうなのかもしれない、と思えてくる。この天真爛漫さが実は一番の武器なんじゃないだろうか。
「マウナは何が一番気になりましたか?」
「場所を教えてもらえなかった宝物庫」
すかさず答えたマウナに、イリーナは「邪悪っぽいですよ」などと返答する。
「邪悪とか言わないでくれる? 単純に、好奇心よ。魔晶石をバンバン使いつぶして、魔法の剣や鎧を普通に使って、お城までもってるような冒険者よ? お金は使えるときに使っちゃおう、とかいってる人たちよ? 単純に、どんなもの持ってるのか気になるの! 別にほしいとかじゃなくて、見たいの。例えば、宝物庫に誰も使ってない魔法のグレートソードとかあったら? 気にならない?」
「激しく気になります」
「そういう感じよ」
即答したイリーナに、マウナは勝ち誇った笑顔を向ける。
「ね?」
■すっかりアップするのを忘れてました。1週間ぶりのごぶさたです。申し訳ない。
そしてまたレジィナは活躍しないのであった。
一応これは、「レジィナを活躍させようの会」の運動の一環だったのに。
……アーチーを以下略のときはまだ上手くいった(様な気がする)のに。
レジィナの提案に、イリーナが頷く。
「あんまり勝負にならんのではないか?」
アーチボルトの苦い顔に、レジィナは「何で?」と首を傾げて見せた。
「だってそうだろう。実力は互角だ、見てる限りそう思う。となれば、どちらが先に攻撃を命中させるか、というだけの話になる。イリーナはレジィナより動くのは早いが、命中率がいまいちだ。レジィナはイリーナより動きは遅いが、ほぼ命中させる。ここだけ聞くとレジィナが優勢に聞こえるが、イリーナは敵を捕らえさえすれば威力は絶大、その上あの物々しい鎧からも分かるが攻撃を止める力もある。レジィナは魔法の武器鎧を持っているから、一撃はかなりのものだし攻撃もたいてい止める。いつまでたっても決定的な一撃でも出ない限り試合は終わらない」
「永遠の戦い……た、楽しそうです!」
「……どこが」
目を輝かせるイリーナに、ヒースは冷めた眼差しを向ける。
「彼女はファリスの神官ですよね?」
「そのはずにゅ」
グイズノーの質問に、パラサがへらりと笑う。正面でノリスがつられてへらっと笑った。
「基本的にやるだけ無駄なのだ、わかったかね?」
びしりと指を突きつけられ、レジィナはむっとした顔をする。
「いいじゃない、やらせてあげれば。本人たちの納得って重要よ? レジィナのためなのよぅ?」
フィリスから反対などさせるかといわんばかりの威圧感が発せられる。しかしアーチボルトは慣れたもので、そう大して気にしてない様子で続けた。
「まあ、利益にはならないが、訓練にはなるだろう」
結局押し切られている辺り、アーチボルトも結局は怖かったのかもしれない。
「はとこ、俺、だいぶ前に俺に化けた悪魔と戦ったことあったけど、姉ちゃんたちの試合もあんなかんじにゅ? そやったら、やっぱり、他からの介入がなかったらずーっと試合してんじゃない?」
パラサがスイフリーを見上げる。
「非力なグラスランナー同士の殴り合いなんぞと一緒にならんだろ。お前クリティカルもしなかったし。……レジィナたちのはもっと殺伐とする」
「そぉかー」
パラサの納得に、レジィナは頬を膨らませる。
「しないよ、だって殺さないもん。本気で戦うけど、殺すつもりはないもん」
「本気でやりあってるうちに頭に血が上って本気の一撃を繰り出さないとも限らんじゃないか」
スイフリーが言い終わるか終わらないかというタイミングで、低くドン、と大きな音がした。見ればレジィナの拳が机にある。怒りのあまり彼女は思いっきりテーブルに拳をたたきつけたのだろう。
「やるったら、やるの」
「……好きにすればいい」
顔を引きつらせるスイフリーに、レジィナはにっこりと笑顔を向けた。
その後ろでバスが妙に満足げに笑っていたが誰も何も聞かなかった。
試合が決定した後、城の中を色々案内してもらったのだが、イリーナは心ここにあらずといった感じであまり何があったか記憶がないようだった。
対して、マウナはきらびやかな内装や歴史を感じさせる重厚感あふれる空間に圧倒されていて、互いに部屋にもどったときには何がなんだか分からない、という状況に陥っていた。
現在、約束どおりイリーナの部屋にマウナは遊びに来ていたが、互いに交わす言葉もない。イリーナは明日に向けてなのかいつもの日課なのか、ともかく剣の手入れをしているし、マウナはマウナで城の中を思い出してはため息をつき、イリーナにあてがわれた自分よりも豪華な部屋の中をあちこち見て回ってはため息をつく、のくり返しであるからだ。
一通り部屋を見終わったマウナは、ふかふかのベッドに腰掛けてイリーナを見る。
「ねえ、勝てるの? 明日。怪我だけはしないでよ」
「怪我しても治せますから」
「あんまり慢心しないほうがいいって」
「マウナがお金を数えていると幸せなのと一緒で、私も剣を振るえるときが幸せなんです」
「一緒かなあ」
「一緒ですよぅ」
満面の笑みで答えられると、そうなのかもしれない、と思えてくる。この天真爛漫さが実は一番の武器なんじゃないだろうか。
「マウナは何が一番気になりましたか?」
「場所を教えてもらえなかった宝物庫」
すかさず答えたマウナに、イリーナは「邪悪っぽいですよ」などと返答する。
「邪悪とか言わないでくれる? 単純に、好奇心よ。魔晶石をバンバン使いつぶして、魔法の剣や鎧を普通に使って、お城までもってるような冒険者よ? お金は使えるときに使っちゃおう、とかいってる人たちよ? 単純に、どんなもの持ってるのか気になるの! 別にほしいとかじゃなくて、見たいの。例えば、宝物庫に誰も使ってない魔法のグレートソードとかあったら? 気にならない?」
「激しく気になります」
「そういう感じよ」
即答したイリーナに、マウナは勝ち誇った笑顔を向ける。
「ね?」
■すっかりアップするのを忘れてました。1週間ぶりのごぶさたです。申し訳ない。
そしてまたレジィナは活躍しないのであった。
一応これは、「レジィナを活躍させようの会」の運動の一環だったのに。
……アーチーを以下略のときはまだ上手くいった(様な気がする)のに。
PR
この記事にコメントする