泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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虎を伴って現れた少女はオーファンから来た冒険者たちにぺこりと頭を下げて、リズという名前を名乗る。
「私が昔お世話になってた旅芸人の一座の、娘さんなんだー」
そういいながらレジィナはリズの頭をぐりぐりと撫でる。少女のほうはレジィナのことを本当に慕っているのだろう、ぎゅっと抱きついて嬉しそうに「おかえりなさーい!」などと笑う。
「……なんか、またでかくならなかったか?」
スイフリーは眉を寄せて不可解という顔をしてリズを見る。
「確かにおっきくなったね、リズ」
「レジィナお姉ちゃんが旅に出ちゃってる間に、5センチ身長伸びたんだよ!」
えへんと胸を張るリズに、レジィナはニコニコ笑う。
「1年程度で5センチ? ……人間ってホントに早いな。おかしくないか?」
「エルフと一緒にしちゃだめですよ」
不可解すら通り越して既に意味不明、という表情のスイフリーにグイズノーは笑う。
「人間に言わせれば、あなた方エルフの寿命の長さのほうが不思議ですよ。それより中に入りましょう。わたくし、荷物をおろしたいです」
グイズノーの提案に従ったわけではないが、一行は城の中に入る。
エントランスも立派な、ゆったりとした空間が取られている。二階建てで、左右に廊下が伸びていっている。エントランスから奥にもいけるようになっていて、かなり奥行きもあるようだった。
「お帰りなさい」
城の奥から一人の女性神官が現れる。クレアの代わりに城の名代をしていた人間だ。
「ただいま戻りました。……随分ご迷惑をかけてしまいました」
クレアが頭を下げると、神官は「いいのよ」と彼女に笑いかける。
「皆様もご無事で何よりです。まずはお部屋に荷物をおろしてきてください。クレア、貴女も。オーファンからのお客人は私がご案内しておきます。後で大広間にお集まりください。ささやかですけれど、歓待のご用意をしておきました」
「本当に何もかもすみません」
クレアがもう一度謝ると、神官は手でそれを制する。
「いいから荷物を置いていらっしゃい」
神官がきびきびとイリーナたちを案内していくのを見送ってから、城主たちはそれぞれの部屋を目指す。
「姉ちゃん、さっきの人、誰?」
「ファーズで神官を目指し始めたときの先輩です。何かとお世話していただいて……オランの方へ神官として出向なさってたのですけれど、お帰りになってたんですね」
パラサの質問にクレアが答える。少し懐かしそうな目つきに、パラサは少し口を尖らせた。
「姉ちゃん、あの人と一緒に行きたいにゅ?」
「なぜですか?」
クレアは首を傾げて笑って見せる。
「懐かしいっしょ?」
「ええ。でも、パラサさんも、昔のお友達がこのお城に来たと知っても、別に追いかけなかったでしょう?」
「だってこっちのほうが面白いにゅ」
その答えを聞いて、クレアは立ち止まる。いつの間にか彼女の部屋の前まで来ていた。
「私も同じですよ」
答えて、部屋の中に消えていく。かちりと鍵がかかる音がした。
「にゅう」
パラサはほんの数秒ドアを見つめてから、自分の部屋へ向けて歩き出す。別に鍵は開けられるが、そんなことはしない。クレアの前で鍵をあけて見せるのは、遺跡探検のときだけで十分だ。
「同じ、かあ」
面白い、と彼女が評したものが何なのか。ここでの暮らしなのか、それとも仕事か。もっと別のものなのか。
「ま、知らないほうがいい事だってあるにゅ」
自分の部屋に入ると、彼は肩をすくめた。
一方。
「……お金って、あるところにはあるのねえ」
マウナは通された個室のベッドに腰掛け、大きくため息をつく。
二階の一室からの眺めはとても良く、広がる平原や麓の村の様子、遠くに見える山々が一つの絵画のようで、その美しさには息を呑む思いだった。
それだけではなく、部屋の調度品も古いものだが質はよい。決して主張しすぎないが、一つ一つはとても品がよく、また美しい。
「城主のアーチボルトさんは割りとナンな趣味だったのになあ」
少し笑ってから、大きく息を吐く。それから、反動をつけて勢い良く立ち上がる。
「大広間行かなきゃ」
隣の部屋のイリーナを誘いに廊下に出る。廊下は真っ直ぐで、白い壁と細かい装飾のついた柱。窓も綺麗な枠に彩られていて、落ち着いた色彩のカーテンがかけられている。ちょこちょことブラウニーが動くのが感じられる。その感情は暖かく、彼らがこの城を気に入っているのがよくわかった。知らず知らず笑みがこぼれてくるのを、隠すことなくイリーナの部屋に到着する。ドアをノックしようとしたところで、イリーナがドアを開けて外に出てきた。
「あ、マウナ」
「一緒に行こうと思って誘いに来たの」
「ありがとうございます。お部屋すごいですね! ファリス様のご威光がばーっと光り輝いている感じです!」
ひょい、と中をのぞくと流石にメインの招待客であるイリーナの部屋は、マウナの部屋より更に豪華だった。部屋の一角には小さな祭壇まで見える。
「アンタの部屋、私の部屋よりすごい」
「え、そうなんですか?」
「あとでしっかり見せて」
「了解です。わかりました」
■一日遅れです。
昨日が水曜日だと忘れていたのです。というか火曜日の心算でいました。
ごめんなさい。
あ。
Loverslikeは続きを思いついたときにまた更新します。その程度ののんびりさ加減で行きます。
長々と書こうと思えば、多分いくらでも長くかけると思うけど、とりあえずあんまり蛇足が長くても仕方ないと思うので、ストローウィック城での話は短めに終わらせたいと思います。
悪趣味な城主たちの割りに調度品の品がよいのは、単に前の持ち主であるカルプラス伯の趣味です。
「私が昔お世話になってた旅芸人の一座の、娘さんなんだー」
そういいながらレジィナはリズの頭をぐりぐりと撫でる。少女のほうはレジィナのことを本当に慕っているのだろう、ぎゅっと抱きついて嬉しそうに「おかえりなさーい!」などと笑う。
「……なんか、またでかくならなかったか?」
スイフリーは眉を寄せて不可解という顔をしてリズを見る。
「確かにおっきくなったね、リズ」
「レジィナお姉ちゃんが旅に出ちゃってる間に、5センチ身長伸びたんだよ!」
えへんと胸を張るリズに、レジィナはニコニコ笑う。
「1年程度で5センチ? ……人間ってホントに早いな。おかしくないか?」
「エルフと一緒にしちゃだめですよ」
不可解すら通り越して既に意味不明、という表情のスイフリーにグイズノーは笑う。
「人間に言わせれば、あなた方エルフの寿命の長さのほうが不思議ですよ。それより中に入りましょう。わたくし、荷物をおろしたいです」
グイズノーの提案に従ったわけではないが、一行は城の中に入る。
エントランスも立派な、ゆったりとした空間が取られている。二階建てで、左右に廊下が伸びていっている。エントランスから奥にもいけるようになっていて、かなり奥行きもあるようだった。
「お帰りなさい」
城の奥から一人の女性神官が現れる。クレアの代わりに城の名代をしていた人間だ。
「ただいま戻りました。……随分ご迷惑をかけてしまいました」
クレアが頭を下げると、神官は「いいのよ」と彼女に笑いかける。
「皆様もご無事で何よりです。まずはお部屋に荷物をおろしてきてください。クレア、貴女も。オーファンからのお客人は私がご案内しておきます。後で大広間にお集まりください。ささやかですけれど、歓待のご用意をしておきました」
「本当に何もかもすみません」
クレアがもう一度謝ると、神官は手でそれを制する。
「いいから荷物を置いていらっしゃい」
神官がきびきびとイリーナたちを案内していくのを見送ってから、城主たちはそれぞれの部屋を目指す。
「姉ちゃん、さっきの人、誰?」
「ファーズで神官を目指し始めたときの先輩です。何かとお世話していただいて……オランの方へ神官として出向なさってたのですけれど、お帰りになってたんですね」
パラサの質問にクレアが答える。少し懐かしそうな目つきに、パラサは少し口を尖らせた。
「姉ちゃん、あの人と一緒に行きたいにゅ?」
「なぜですか?」
クレアは首を傾げて笑って見せる。
「懐かしいっしょ?」
「ええ。でも、パラサさんも、昔のお友達がこのお城に来たと知っても、別に追いかけなかったでしょう?」
「だってこっちのほうが面白いにゅ」
その答えを聞いて、クレアは立ち止まる。いつの間にか彼女の部屋の前まで来ていた。
「私も同じですよ」
答えて、部屋の中に消えていく。かちりと鍵がかかる音がした。
「にゅう」
パラサはほんの数秒ドアを見つめてから、自分の部屋へ向けて歩き出す。別に鍵は開けられるが、そんなことはしない。クレアの前で鍵をあけて見せるのは、遺跡探検のときだけで十分だ。
「同じ、かあ」
面白い、と彼女が評したものが何なのか。ここでの暮らしなのか、それとも仕事か。もっと別のものなのか。
「ま、知らないほうがいい事だってあるにゅ」
自分の部屋に入ると、彼は肩をすくめた。
一方。
「……お金って、あるところにはあるのねえ」
マウナは通された個室のベッドに腰掛け、大きくため息をつく。
二階の一室からの眺めはとても良く、広がる平原や麓の村の様子、遠くに見える山々が一つの絵画のようで、その美しさには息を呑む思いだった。
それだけではなく、部屋の調度品も古いものだが質はよい。決して主張しすぎないが、一つ一つはとても品がよく、また美しい。
「城主のアーチボルトさんは割りとナンな趣味だったのになあ」
少し笑ってから、大きく息を吐く。それから、反動をつけて勢い良く立ち上がる。
「大広間行かなきゃ」
隣の部屋のイリーナを誘いに廊下に出る。廊下は真っ直ぐで、白い壁と細かい装飾のついた柱。窓も綺麗な枠に彩られていて、落ち着いた色彩のカーテンがかけられている。ちょこちょことブラウニーが動くのが感じられる。その感情は暖かく、彼らがこの城を気に入っているのがよくわかった。知らず知らず笑みがこぼれてくるのを、隠すことなくイリーナの部屋に到着する。ドアをノックしようとしたところで、イリーナがドアを開けて外に出てきた。
「あ、マウナ」
「一緒に行こうと思って誘いに来たの」
「ありがとうございます。お部屋すごいですね! ファリス様のご威光がばーっと光り輝いている感じです!」
ひょい、と中をのぞくと流石にメインの招待客であるイリーナの部屋は、マウナの部屋より更に豪華だった。部屋の一角には小さな祭壇まで見える。
「アンタの部屋、私の部屋よりすごい」
「え、そうなんですか?」
「あとでしっかり見せて」
「了解です。わかりました」
■一日遅れです。
昨日が水曜日だと忘れていたのです。というか火曜日の心算でいました。
ごめんなさい。
あ。
Loverslikeは続きを思いついたときにまた更新します。その程度ののんびりさ加減で行きます。
長々と書こうと思えば、多分いくらでも長くかけると思うけど、とりあえずあんまり蛇足が長くても仕方ないと思うので、ストローウィック城での話は短めに終わらせたいと思います。
悪趣味な城主たちの割りに調度品の品がよいのは、単に前の持ち主であるカルプラス伯の趣味です。
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