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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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泡ぽこ 70
乾いた空には白く薄く雲が存在し、風に吹かれて移動していく。
大地は踏みしめられ硬く、時折砂煙が舞い上がる。
二人の女はそれぞれの武器を手に対峙し、無言のまま相手を見据える。
あたりは無音で、張り詰めた空気だけが存在した。

……のは彼女たちの周りだけで、野次馬たちは緊張感の欠片も持ち合わせず二人の様子を見守る。
「どっちが勝つのかな?」
「イリーナじゃない?」
心配そうな顔のマウナに、ノリスが軽い声で返答する。
「どっちが勝つかなあ?」
「さあ? どっちでもいい。昨日のアーチーの発言どおり、どっちが先に当てるかだけの違いだろ」
好奇心の目を向けるフィリスに、スイフリーがあくび交じりに答える。
「賭けますか?」
「くだらない」
グイズノーの言葉も一言で切り伏せ、スイフリーは再びあくびをする。全く興味がないのだろう。
「俺はレジィナ姉ちゃんが勝つと思うにゅ。なんだかんだで魔法の武器は強いって」
「でもイリーナは一撃がすごいぞ。なんつーかもう、人外魔境だ」
「ヒース後で殺されるんじゃない?」
「ぐさっとやって、ヒーリングでぽん……」
そんな会話が聞こえていないのか、もしくは聞こえていても無視しているのか、当の本人たちは未だに無言でただ相手を見据えている。
「二人とも準備はいいかの?」
二人の間、中ほどに立つガルガドが重々しい声で二人に尋ねる。
「大丈夫です、いつでも」
答えて、イリーナが大剣を掲げるように構える。
「私も、大丈夫」
同じようにレジィナも答えると、大剣を担ぐように構えた。
同じ大剣とはいえ、イリーナのものはレジィナのものよりはるかに大きい。対して、レジィナのものはイリーナのものより鋭い光を放つ。
先に動いたのはイリーナだった。力の入った掛け声とともに、大剣が振り下ろされる。空気を切り裂く音が低くうなりを上げる。
レジィナはそれを避けると、大剣を横になぎ払った。イリーナのがっしりした鎧の胴を捉え、金属同士がぶつかり合う音が響く。が、イリーナは眉一つ動かさない。
「やりますね」
「そっちこそ」
に、と笑いあう二人。
風の吹く低い音。


「……互角なの? あれ」
よく分からない、といった風情でフィリスはアーチボルトに尋ねる。彼女は戦士としての経験はほとんどないから、よく分からないのだ。アーチボルトは質問に重々しく頷いただけで、言葉を発しない。
「ふうん」
あたりの静けさに、フィリスは口を尖らせるようにして返事をすると、再び戦いに目を向ける。「すごい」のだろうことは分かるのだが、「何が」すごいのかは良く分からない。
ただ、二人とも怪我をしなければいいな、と思うだけだ。

再び、イリーナが動いた。今度はレジィナの体を捕らえたが、魔法の鎧に阻まれて有効打にはならなかったようだ。彼女の動きはその剣に合わせたかのように大きく、剣を振るった後に少し動きが止まる。レジィナはそれを狙ったかのように攻撃を繰り出すが、頑丈な鎧に阻まれて決定打を出せないで居る。
「やりますね」
「そっちこそ」
互いに笑みを浮かべながら語り合う様は、可憐な少女二人というよりは、歴戦の親父のような渋みがある。
「何か大きく間違ってる気がする」
再びフィリスは呟いたが、誰も賛同しなかった。もしかしたら、口に出したら終わりなのかもしれない。





■残り3話となりました。
これと言って、その後の予定は決めてません。
アチフィリに力を入れつつ、今後は何をしましょうかね。

またコラボですかね?
何かリクエストがありましたら、どうぞ。
参考にさせていただきます。

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