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泡ぽこ 11

次の日の朝。
いつもより少し早起きして、いつもの席に着く。依頼人、と言ってもいいアノスの冒険者たちはまだ起きてきていない、とはマウナの話。小鳩亭自体も、まだ朝食に来ている客も泊まりの冒険者もあまり姿を見せておらず、がらんとしていた。
「とりあえず、自由に動けるのは、俺様、エキュー、バス、ノリスだ。最悪あちらさんが別行動でも、何とか4つまではカバーできるぞ」
「私もなんなら外に出るわよ」
「誰も宿に残らなければ頼む」
そんな話をしていると、アノスの冒険者の一人が起き出して来た。レジィナという若い女だった。
「あ、おはようー。皆早いんだねー」
彼女はヒースたちに笑顔で話しかけると、首をかしげ
「一緒に座っていい?」
と尋ねる。会議と言ってもソレと言ってまだ何も出来ない状況であったし、拒否する理由もない。結果、彼女は同じ席に着いた。
「あ、その朝ごはん美味しそう」
ノリスの食べているちょっと豪華な朝食に目をつけたレジィナは、注文を取りに来たマウナに同じものを注文する。
「結構たべるんですな」
バスが言うと、彼女は頷いた。
「だって、体が資本でしょ? あ、ねえ、今日バスさんは時間ありますか?」
「は?」
名指しされて、バスは間抜けな声をあげる。
「えっとね。私、今日暇なんだよ。アーチーとお姉さんは賢者の学院を見に行くって言っていたし、クレアさんはファリス神殿に行くだろうし。そうなるとパラサとスイフリーもクレアさんについていくと思うんだよね。グイズノーはラーダ神殿を見に行くって言うし、そうなると私一人なのよ。街のこと、良く分からないし。だからバスさんに案内をお願いしようかと思って」
「なんでバスをここで名指し!?」
ノリスの意外そうな声に、彼女は首を傾げてから笑った。
「だって、吟遊詩人なんでしょ? 『ファリスの猛女』、ちゃんと本場のが聞きたいんだよね」
「アノスまで伝わっておるのですか!?」
バスが目を輝かせる。
「アノスはまだわかんない。もう伝わってるかもね。私が聞いたのはオランだったから」
漸く朝食が運ばれてきて、彼女は一気に食事に集中する。暫くは返事がおろそかになるかもしれない。そのうち、アノスの冒険者たちはどんどん起きだしてくる。
「あら、レジィナもう食べてるの? 早いわね」
「あ、お姉さんおはようございます。これ、お勧めですよ、美味しいです」
「そう? じゃあ同じの頼もうかしら……って、ちょっと私には多いわね、もう少し抑え気味のを頼むわ」
苦笑して答えながら、フィリスの視線がヒースに向かう。
「ちょうど良かった、賢者の学院に案内して貰える? アーチーと私。資料閲覧が部外者でも出来るなら、なんだけど」
「書類書けばオッケーだ」
「じゃあ、お願いね」
フィリスはにっこりと微笑むと、別のテーブルに歩いていった。起きてきたアーチボルトに何事か声をかけ、そして邪険にされている。

それにしても。
こんなに簡単にあっさりと、向こうから街の案内を頼まれるとは思っていなかった。
向こうも何か考えがあるのか、それともただの余裕なのか。
考えるが、全く想像がつかない。

ヒースはアノスの冒険者たちに目を向ける。昨日の夜に比べれば、随分おとなしい朝食が始まっていた。が、テーブルの上に置かれているのは軒並み高級朝食ばかりで、やはり何かが決定的に違うのではないか、と思わせる。
「バスはレジィナさんを、ヒースはフィリスさんとアーチボルトさんを案内するんだよね? ボクも誰か案内したいなあ」
ノリスが口を尖らせる。遊びじゃねえぞ、おい、などとツッコミたいが、同じテーブルにはレジィナがおり、それも叶わない。
「グイズノーか、クレアさんに声かけてみたら?」
レジィナはあっさり言うと、向こうのテーブルで食事をしている神官たちに声をかける。心の準備とかは全く想定に入れていない速さだ。
「どうしましたか? わたくし、食事中なので早くしてくださいね。帰ったらパラサ辺りに平らげられてそうです」
グイズノーが迷惑そうな顔でこちらのテーブルにやってきた。
「ラーダ神殿、案内してくれるって。バスさんとヒースくんは予約済みだよ」
「別に護衛も案内もいらないのですけど。クレアさんと相談してからにしましょう。まあ、彼女にはスイフリーとパラサがついていくでしょうから、それこそ護衛も案内もいらないかもしれませんけどね」
肩をすくめて席に戻るグイズノーを見送ってから、ノリスは同席しているレジィナの顔を見た。
「気になってたんだけどさあ、どうしてクレアさんには必ずスイフリーさんとパラサさんが着いていく、って皆言うの?」
「依頼人にはもっと丁寧な話し方しなよ、ノリス」
エキューの言葉にレジィナは笑う。
「まだ依頼したわけじゃないし、皆を雇うのはスイフリーとお姉さんだから、気にしないでいいよ」
「で?」
ノリスは野次馬根性丸出しの顔を見せる。素直だなあ、とレジィナは内心苦笑しながら答える。
「三人で仲良しだから、だよ」
答えになってない、とその場の全員が思ったが、ソレをいえないまま朝食が終わる。レジィナの食器はとうにからになっていたし、クレアもこちらにやってきたからだ。隣にはパラサがニコニコ顔で立っている。
「街の案内の件ですけど、ノリスさんにお願いする事にしました。私とパラサさんとスイフリーさんをファリス神殿まで案内してください。グイズノーさんはエキューさんにお願いします」
「どうしてそう決まったの?」
レジィナは少し意外に思って尋ねる。朝食中一緒にいて分かったのだが、ノリスよりエキューのほうが常識人だ。向こうで見てたらわからないかもしれないが、何でクレアさんはパラサといいスイフリーといい、苦労しそうな面子を連れて行くのだろう。
「スイフリーさんが、グイズノーにはエキューだろう、と……理由は教えてくれませんでしたが」
大方、グイズノーがはっちゃけてもエキューなら止めるという予想をしたな、と思うが黙っておくことにした。


■この回のメール件名は「書くのに飽きてきた」でした。
よく続いてるよなあ、と自分でも思います。
ちなみに送信は4月27日だったようです。
おう、ほぼ3ヶ月前。
なのにまだ終わってないってどういうこと?(笑)

一本が短いからかな。
まあいいや。

2007/07/25

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