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その日の夜。
既に向こうのテーブルではアノスの冒険者たちの宴会が始まっている。初日同様、テーブルの上には所狭しと料理が並べられ、相変わらず戦士たちとシーフが壮絶な肉の争奪戦を繰り広げ、魔術師は底なしかという早さでワインをかたむけ、エルフはパスタの皿を一人抱え込み、真面目なほうの神官はため息混じりに静かな食事をし、真面目に見えないほうの神官は全員の皿からひょいひょいと好きに物を掻っ攫っている。
「で、どうだった」
そんな様を見ながら、貧しくは無いが豪勢でもない夕食を楽しみながらヒースは全員に尋ねる。なんか顔が引きつっている気がするのは、気のせいだろうか。
「ちなみに俺様のほうは動きなし。ほんとに一日学院の書庫にこもってたぞ。購買と学食を冷やかしたくらいだ。ちなみに昼飯はちょっとした高級店でおごって貰った」
「あ、いいな」
「僕のほうはラーダ神殿を見て、あとは街の散策だね。いいお店がどこにあるのか聞かれたよ」
「いい店?」
「……突っ込まないでくれる?」
きょとんとするノリスに、エキューは苦い顔をして見せた。
「もし明日も観光のお供をするなら、別の人にして欲しい」
「私のほうは、いい一日でしたぞ。レジィナさんはバードとして只者ではありませんな。二人で歌いまして、大勢のお客さんの拍手を浴びました」
一体どんな歌だったのだろう。その場に居たらおひねりをちゃんと管理したのに、とマウナは悔やむ。
「で、クレアさんたちはどうだったの?」
悔やんでも仕方ない、と気持ちを切り替えて、マウナはノリスに視線を送る。
「クレアさんたちはいい人たちだよ! もう疑う必要なんて無いよ!」
「何があったかちゃんと話しをせんか、クソガキ」
ガルガドのため息など、気にもしないのかそれとももう慣れてしまったのか、イリーナも大きくうなずいた。
「クレアさんはとても真面目な方です! 神殿で熱心にお祈りをしてました! 真面目なファリス神官に悪い人は居ません!」
「じゃあ、スイフリーさんとパラサさんはどうだったわけ? エルフもグラスランナーも神様は信じないでしょ?」
エキューはイリーナに尋ねる。視線はずっとマウナを追っているが、みんな今に始まったことではないから誰も気に留めない。
「確かに、エルフもグラスランナーも残念なことにファリス様を信じたりしないそうですけど、お二人はクレアさんがお祈りをしている間、ずっと静かに待っていました。悪くはないです」
それだけで信じられるほど単純であれば、どれだけ楽だろうかと呆れながら、ガルガドはノリスに視線を向けた。
「イリーナの話はわかったとしてだ、クソガキは何があってあの女性神官を信じていいと思ったのだ?」
ノリスは口いっぱいに物を頬張ったままきょとんとした顔をガルガドに向けた。それから十分な時間をとって口の中のものを飲み込むと、その日あったことを話し始めた。
■ふと気付いたのだが、バブリーズさんで魔晶石もってるのはパラサとスイフリーとフィリスだけじゃないね。グイズノーとクレアさんを失念してたよ。まあ、クレアさんにはパラサが出させないだろうけどね(笑)
昨日は寝ぶっちしました。
うっかりしておりました。まあ、そんな日もありますよ。そんな日だらけですよ。
2007/07/27