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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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泡ぽこ 9

■3

「それにしてもスイフリーの提案は意外でした。何かあるのですか?」
とりあえず、全員の部屋を取った上でアーチボルトの部屋に全員が集まっている。グイズノーはVIPルームに居るときからずっと不思議だったことを、当のエルフに聞いてみた。
「そうか?」
「そうですよ。口先で言いくるめて無料で付き添わせるのだと思っていました」
「何を言うか。お金はあるときに必要に応じて使うのが基本だぞ」
「それにしてもねえ?」
フィリスが苦笑する。
「私もちょっと意外だった」
「いいか?」
スイフリーは指を立てながら説明する。
「第一に、彼らはこの国の英雄だ。どうも貧乏くさかったがな。そんな彼らを正式なアノス使者である我々が能力を買い叩いたと分かったら信用問題に拘わるだろう。多少過大評価なみに金を払うのは当然だ。……まあ、正当報酬より多少多い程度で彼らは目の色かえていたがな。第二に、冒険者相手であれば、口先で言いくるめるより報酬を払ったほうが丸く収まる。無用な争いをする必要はない。第三に、我々の目標はあくまでイリーナが無事にアノスに到着することだ。金で安全を強化できるなら、それに越したことはない。話が正しければ、彼らは有能だからな。第四に、ここで彼らに恩を売っておけば、今後オーファン方面で困ったことになったときに使えるかもしれん。金づるにはならんかもしれんが、コネの一部にはなるだろう。ヒースという魔術師はここのギルドのエライさんの弟子だしな。これらのことが、高々魔晶石6個で買えたら安いもんだろう」
「ああよかった、悪いものを食べたわけではありませんでしたね」
ほっとするグイズノーの後頭部を、とりあえずスイフリーはひっぱたいてから全員を見た。
「さて、どうする? 多分彼らはわたしたちと来るだろう。彼らの帰りについては予定通りの手段を使うとして、やはりまっすぐ歩いてアノスに向かうか? 今のところあのお方は何もしてきていないわけだが」
スイフリーの答えに、アーチボルトがうなずく。
「ロマールでダークエルフに襲われた程度だな。あのお方としてはぬるい。あれは偶発的な遭遇だろう。何か、策をたくらんでいるだろうな」
「でもその襲撃でうっかりスイフリー死に掛けたよ?」
「ファイア・ボルトがクリティカルしたら仕方ないですよ、エルフは」
「アレは偶発的な事故みたいなものだ」
レジィナとグイズノーの会話に、スイフリーは苦い顔をする。
「策にわざわざ乗ってあげる必要ないんじゃない?」
「甘いぞレジィナ! 相手はあのお方だぞ? 策を持って対抗せんでどうする」
「甘い甘くないなんてどうでもいいよ。安全ならそれに越したことないじゃない。別に策を持って対抗しなくても」
「仕方ないわよ、レジィナ。それが趣味なんだから、そこの男共は」
フィリスは諦めたような顔をして、どこから調達してきたのかワイングラスを傾ける。
「イリーナ姉ちゃんたち、すぐ返事してくるかな?」
「さあ? それは分からない」
「じゃあ、姉ちゃん。明日から一緒に観光しよう~。ファリス神殿見に行くにゅう」
「……」
返事に困るクレアに、アーチボルトはうなずく。
「かまわんだろう。むしろ目立つように各自好きに観光して来ようじゃないか。出発をあのお方に知らせてやるのもまた一興」
「無駄に危ないだけでは?」
眉を寄せるグイズノーに、アーチボルトはにやりと笑って見せた。
「あのお方はファンドリアとロマールに強い。ファンドリアと敵対しているオーファンで、我々とイリーナたちを敵に回すより、自陣に連れ込んで戦うほうを選択するだろう。特にオーファンは冒険者の国だ。我々をつぶすだけなら、オーファンみたいに冒険者という不確定要素が沢山絡んでくる国より、自国や同盟国のほうが断然有利だ。何せオーファンであればイリーナたちに地の利がある。アノスやオランなら我々だな。オーファンとアノスが手を組むのは、あのお方としてもかなり厄介だろうから、多分使節でありことごとく策をつぶしてきた我々を今回は狙ってくるだろう。アノスの騎士がついていながら、オーファンの英雄がどうにかなったりしたら国際問題に発展するしな。こうなると、多分策を弄してくるのはファンドリアかロマールだ。イリーナたちはファンドリアに恨まれているらしいから、ファンドリア策が優勢かと思う。なんにせよ、オーファンで派手に動き回っていたら手を出しにくいのは事実だ」
「そうですかねえ?」
いまだ不安そうな顔のグイズノーは、今度はスイフリーを見る。
「まあ、アーチーの云うとおり、手を出してくるならロマールかファンドリアだろう。こっちへ来るとき手を出してこなかったのは、イリーナがわたしたちと一緒に行動しているときに狙ったほうが何かと問題が起こりやすいからだ。まあ、最悪パターンはアノスとオーファンの断絶だな」
「でも魔法テロリストみたいなヤツが出てくるなら、オレらとイリーナ姉ちゃんのレベルの冒険者があつまってるとやりにくくない?」
「アレは対・国家だから意味がある戦法だ。アノスの弱体化を狙った策であって、個別の冒険者などを狙ったものではない。やってくるなら劇団の時のように、わたしたち個人を狙ってきて、アノスの騎士としての醜聞を作るほうに策を練ってくるだろう。更に国家レベルの話を持ってきたら完璧だ」
「劇団のときなら、サンド君?」
「そうなる」
「来るならどんな策ですかね?」
「流石に分からん。手がかりが少ない」
スイフリーは腕組みをとく。
「とりあえず、イリーナ姉ちゃんたちが何か云ってくるまで、遊んでればいいにゅ」
パラサは椅子からぴょん、と飛び降りると大きく伸びをした。話は終わり、といいたいのかもしれない。
それにしても、とクレアは思う。
ルキアルの陰謀だとか嬉々として話しているわりに、緊張感があまり感じられないのはどういうことだろう。騎士叙勲を受けたとはいえ、所詮アノスはよその国という気分なのだろうか。スイフリーなど、アノスは嫌いな国といって憚らない。それとも、陰謀を退けて国を守る自信があるということなのだろうか。
どちらにせよ、大体の話は自分のあずかり知らぬところで動くのだ、と思うとため息が出た。





■児童生徒さんは夏休みだそうですね。
正直、いくら新装版が出ていても、泡さんたちを分かる人たちは多分児童生徒さんじゃないと思うんですけどね。
まあ、世間は夏休みである、ということで。
泡ぽこのアップを早めます。
通常日記で展開中の「今日のDQ3」と同じく、「月‐金」毎日。
まあ、39本(←今日の分が増えた・笑)有るので大丈夫でしょう。
長い短いの差は有るんですけどね。

あ、寝過ごした日のことは大目に見てやってください。
よく寝過ごしますけど。


2007/07/23

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