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泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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泡ぽこ 8

ヒースの顔が引きつる。
「ははは、下っ端とか言うのはかなり正直むかつくが、俺様たちを雇う金が本当にあるのかね? 俺様たち、本当に高いぞ? 最近は」
「変なところだけ正直ね、相変わらず」
マウナの突っ込みをとりあえず無視してヒースはスイフリーに目を向ける。スイフリーは暫く腕組みをして考え込んでいた。
「アノスまで4ヶ月。彼らの実力をかんがみて、一回3万6千くらいか。危険手当と長期保証して、多少色をつけるとして……。はとこの子よ、いくつ持ってる?」
「来るときそんなに使わなかったから、10個かな?」
「フィリスは?」
「そうねー、私もあんまり使わなかったから、8個」
「わたしは7個だ」
何の話をしているのだろうか、とヒースは思う。
「1人1個、6個でどうだ? イリーナは別会計だからな」
「はとこがの分がなくなっちゃうにゅ」
「フィリスに2人したっぱーずを持ってもらうとして、2個出してもらう。私はとりあえず残りの分をだそう。で、はとこの子よいくつか貸してくれ。帰ったら返す」
「別にかまわないけど」
「フィリスは?」
「私はそれで問題ないわよ。足りなくなったらパーティー内で融通しあうのは基本よ」
「では商談は成立だな」
「成立してないでしょう」
エキューがむっとしたように言う。エルフ相手でも、言うときは言えるのだ。
「いや、君たちとではなく、我々の中での商談だ。君たちの事を、わたしたちは雇う準備ができた。いや、もちろん君たちが我々の出す提示額で満足すれば、の話だが」
「で、どのくらいの評価をしてくれたのかな?」
ガルガドの言葉に、スイフリーは答える。
「魔晶石を1人1個ずつだ」
「魔晶石!」
一瞬全員の背が伸びるが、すぐにヒースが「いやいやいやまてまてまて、だまされないぞ」と声を上げる。
「だます?」
「実は1個1点ですとかいうオチだろう!」
びしりとスイフリーに指をつきつけて、ヒースは勝ち誇った笑い顔を浮かべる。
「そんなこと言ってだますやつは邪悪なり、だ」
スイフリーは苦笑して、無造作にカバンに手を突っ込むとそのまま机の上に魔晶石をばら撒いた。その魔晶石に、全員の、特にヒースの目が釘付けになる。そこに無造作にばら撒かれた魔晶石は、見慣れた小さなものとは違う。大陸でもめったにお目にかかれないほどの高純度にして大粒の魔晶石だ。しかもそれが、大量にある。
「1個20点を6個。イリーナは我々の護衛対象であって雇う対象ではないからな。買値は24万といったところだろう。売値で言えば半額だが、売って山分けでも物を山分けでも、それは君たちの自由だ。本当に、アノスまで付いてくるなら、わたしとフィリスの護衛という名目でコレを報酬として払おう」
言いながら、ささっと素早くスイフリーは魔晶石を回収した。
「返事は1週間以内だ。わたしたちはこのままこちらの宿に厄介になるから、行くにせよ行かないにせよ、返事をくれたまえ」

 

VIPルームに取り残された面々は、全員で顔を見合わせた。
「魔晶石……あんなに……初めて見たわよ、あんな大きいの。あんな数も……」
「マウナさんしっかり!」
「しかも、彼らの口ぶりからいうと、パラサというグラスランナーが10個、フィリスという魔術師が8個、スイフリーというエルフが7個、計25個持ってることになるぞ?」
「そりゃ10個くらいなんでもないのかもねー。帰ったら借りた分返すって言ってたし」
「皆はもらえるからいいじゃないですか。私は別会計という名の下、無収入です」
「いや、報酬よりいい待遇かもしれんぞ?」
「ねえ、アノスってそんなにお金持ちな国なの? ファリスは食わねど高楊枝じゃなかったの?」
「それはイリーナだけだ」
「いやいや、多分彼らは特別ですぞ」
「バスさん、何か知ってるの?」
「アーティストとして、彼らの噂を聞いたことはありますぞ」
「どんな噂ですか? やっぱり、ファリス様の騎士として、ステキな功績とか!」
「そういう話は聞かないですな」
「じゃあ、どういうのだ?」
「とりあえず、私が聞いた彼らの話としては、まず、メンバーは間違いありません。クレアという女性神官は、彼らの仲間ではありませんから、彼女の護衛に来たというのも間違いないでしょう。アーチボルトさんはあのローンダミスと同等といっていい力量の持ち主です」
「そ、それは戦ってみたいです」
「腕相撲くらいにしとけ、イリーナ」
「レジィナさんも似たような強さで、しかもバードとしての能力も一流です。パラサさんはその気は全くないでしょうけど、盗賊ギルドの頭目とやりあっても余裕でしょう。小さな規模の盗賊ギルドであれば、もしかしたら頭目でも一撃かもしれません」
「そんな風には見えなかったけどなあ」
「グラスランナーはそういう序列などには興味がないでしょうからな。グイズノーさんはラーダの高神官です。あまり重用はされていないようですけど。アノスという国柄かもしれませんな。それからフィリスさん。彼女も導師級の力の持ち主です」
「俺様だってそうだぞ」
「試験で落ちてますけどね」
「だったら、そのフィリスだって同じじゃないか。冒険者してるってことは、そういうことだろう」
「目指してないだけかもしれんがな」
「エルフさんは?」
「精霊使いとしても戦士としても一流のようです。一行の参謀だという話もあります。で、全員あまり良い噂は聞きません」
「え? 例えば、どういう話ですか?」
「金にがめつい、悪趣味、厚顔無恥、などですかね。スイフリーさんにいたっては、付け耳疑惑であるとか、ダークエルフ疑惑であるとか」
「肌、白かったわよ」
「理由は私はわかりませんぞ」
バスは苦笑する。
「とりあえず、魔晶石はちょっとかなり魅力だ。受けてもいいような気がしないでもない」
「ではとりあえず、盗賊ギルドですかな」

 

 


 

■ようやくバスがしゃべったが、しゃべったらしゃべったで、なんか口調が怪しい(苦笑)


■最近拍手をしていただいてるなあ、嬉しいなあと思っておりましたら、なんとうちのようなブログにリンクをしていただいておりました。
しかも日参させていただいておりますサイト様で(ブックマークなどはマメにチェックしないので気づくのが大層遅くなったのです)
ありがとうございますありがとうございます。
皆様Halcyon様へれっつごー。

うあああああ、どうしよう、もっとヒース兄さんを格好良く書かねば!

しかし実はこの文章は友人にメールで送っているのを時間差でアップしているだけで、実際のお話はもう38話だったりするからもう軌道修正はきかない!(笑)しかたなし!


2007/07/20

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