忍者ブログ
泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
[3]  [4]  [5]  [6]  [7]  [8]  [9]  [10]  [11]  [12]  [13
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

泡ぽこ 38
小部屋からは一本の細い通路が延びている。相変わらず赤黒い壁と、その壁や床を這い回る同じ色の管の景色は変わらない。壁や床はうっすらと濡れていて、ライトに照らされててらてらと光っている。通路は本当に細く、並んで歩くことは出来なかった。
「なーんか、気味がわるいにゅ」
言いながらも軽い足取りでパラサは先頭を歩く。すぐ後ろにいるのはイリーナで、鎧の重い音が今は心強い。
「邪悪の巣窟って感じです!」
「何も居てくれないほうがありがたいんだがなあ」
邪悪を討ちたいのであろう声に、スイフリーはため息混じりに呟く。一切の悪を許さないという感情に、随分慣れたつもりではあるが、わざわざ波風立てる勢いで悪に立ち向かわなくてもいいじゃないか、とも思う。戦わずして勝てたらそれに越したことはない。まあ、もっとも、それはそれで謀略といって眉をひそめるのだろうが。

通路は暫く行ったところで左に曲がった。すぐ先にまたもや左への曲がり角が見える。角から角への間にはドアがある。
「にゅ? どうする?」
パラサが仲間を振り返る。
「どこに何があるかわからないから、開けていけ。これだけ妙な建物だ、屋敷の真ん中に出口がないとは言い切れん」
アーチーの言葉にパラサは頷くと、ドアにささっと近づいて様子を見る。
「罠なしー、鍵なしー、開けるにゅ」
ドアはあっけなくあいた。中は奥に細長い部屋で、ざっと見たところ何もなかった。
「何にもなさそうにゅ」
「では無視だ。奥まで行って何もなければ、戻ってきて探ってみよう」
アーチボルトの返答に、パラサは頷く。
「探さないんですか?」
意外に思ってマウナはアーチボルトを見上げる。
「他にもっと手がかりのある部屋があるかもしれない。そこで時間を使ったほうが良いだろう。時間は有効に使ったほうがいい」
角を曲がって、先に進む。相変わらず通路は細く、陰鬱な赤黒さが続いている。しばらく進むと、再び曲がり角が見えてきた。今度は右折になっている。
「一本道だっていうのが気に入らないな。罠に向かって歩いているみたいだ。こっちへ来いって感じだな」
ヒースはため息と共に肩をすくめる。
「でも、他に道がないのも事実でしょ? 奥まで行って何にもなかったら、もう仕方ないから上へ戻って壁の一つも壊せばいいのよ」
「どんどん大雑把になっていくな」
フィリスの答えに、ヒースは苦笑する。作戦を立てるときは慎重にああでもないこうでもないと話し合うくせに、いざ実行に移すとかなり力押しなのが、アノスの冒険者たちの特徴だ、と彼は思う。
(力押しが似合うとは思えないんだがなあ。魔晶石の差か?)
普段イリーナの怪力と鉄の塊のようなグレートソードを見ているせいか、彼らのリーダーであるアーチボルトが持っている剣はいまいちぴんと来ない。細いし、軽そうだ。多分自分でも簡単に扱えるだろう。
まあ、戦う姿を見たことがないから、何ともいえないのだが。バスの話では、ローンダミスと同じぐらいの実力らしいが、何せココまで出てきた敵らしい敵といえばゴブリンや野犬程度。大体がスイフリーの出会いがしらの魔法で話は終わってしまう。
「なあ、アーチーって、強いんだよな?」
尋ねると、フィリスが冷たい目でヒースを見た。
「当たり前でしょう」
「……ですよネ? すみませんでしたお姉サマ」


通路はその後、暫く真っ直ぐに伸びていた。右手側に2枚扉があって、角に近いほうの部屋には何もなかった。奥のほうの部屋は、随分広くて、向かい側の壁に出口といっても良いような扉があるのが見える。
奥側の部屋がこれまでと大きく違うのは、右手側の壁にあたる部分が全て鏡でできているということだった。
「どんな道楽かしら……小さな手鏡だって物凄く高価なのに、壁一面鏡張りなんて……」
マウナは恨めしそうな顔で鏡を見る。
「姿見じゃちょっと物足りなかったのよね。こういうの、城に据えない?」
「城のどこにだ」
「エントランスとか」
正反対の感想を述べるフィリス。苦い顔で返答するアーチボルト。
「鏡には何も異変はないか?」
「実害ある罠とかはなさそうにゅ。継ぎ目もないし」
あくまで現実的なスイフリーとパラサ。
「いつ見ても俺様は惚れ惚れするくらいの男前だな」
「兄さん、そういう場合じゃないですよ」
鏡に映った自分を色々な角度からみるヒースと、それを呆れた顔で見るイリーナ。
「イリーナもたまには鏡を見て色々考えたほうがいいぞ」
「色々?」
「強く見えるマッチョなポーズとかだな」
ごす、と鈍い音と共にヒースが後頭部を押さえてうずくまる。
「さあ! 邪悪目指して突き進みましょう!」
「だから居ないほうが良いと言うのに」
拳を振り上げ力説するイリーナの後ろで、スイフリーがぼそりと呟いた。



■気を抜くとフィリスとマウナが喋りません。
……バスほどじゃないけど。

拍手[0回]

PR
泡ぽこ 37
「うわ、悪趣味ー」
フィリスは目の前に広がる光景に、思わず顔をしかめると呟く。
地下への階段をおりると、小さな部屋にたどり着いた。部屋は壁も床も、天井までもが、赤黒い色に塗りつぶされている。しかもその壁や床には、同じように赤黒い管のようなものが枝分かれして張り付いている。その管の太さは様々で、枝分かれした先のほうは細くなっている。まるで浮き上がった血管のように見えた。
唯一、階段の右手側だけは壁になっておらず、屋敷を分断した壁と似た材質でできた格子がはまっている。格子の向こうにも、似たような小部屋があり、やはり階段があるのが見えた。向こう側に振り分けられた面子が気付けば、そのうち階段を下りてくるだろう。
「何だか蒸し暑いですね」
イリーナはあたりを見ながら口をへの字にする。
「そのうえ、この壁なんか濡れてないか?」
ヒースは壁を注意深く観察してから、首をかしげる。
「うかつに触らないほうがいいぞ。……聞いてるか、イリーナ」
「聞いてますよ」
イリーナがむっとした声で返事をしたとき、格子の向こう側から声が聞こえた。見ていると、ランタンをもったノリスを先頭に、向こう側になってしまった仲間たちが降りてくる。
「にゅ! 姉ちゃん!」
パラサの声に、全員が格子越しにこちらを見た。
「無事だったにゅ?」
「ええ、おかげさまで。パラサさんたちも、ご無事でしたか?」
「もちろんだにゅ」
「それにしても、……その帽子は何事ですか?」
クレアの視線が、パラサの帽子に注がれる。彼の帽子は今、コモンルーンのライトのせいで灯り代わりになっていた。
「地下は明るいほうがいいっしょ? それでライト使ったにゅ。ランタン落っことして火事になったら困るから。……姉ちゃんたちにもライトとなえようか?」
「ランタンがありますが……おねがいしましょうか?」
クレアが振り返る。
「そうですね。じゃあ、ノリスの鉢巻にでも」
「あ、便利そう」
グイズノーの返答に、指名されたノリスが笑顔になる。
「もしモンスターがいたら、灯りでめだってうっかり囮、なんてならないかな」
エキューが苦笑する。パラサが振り返ってスイフリーを見た。
「はとこ……まさか?」
スイフリーは物凄い勢いで視線をそらし、返事をしない。
「はーとーこー! 返事するにゅ!」
「普通に戦えば避ける、魔法も怖くない、その上盗賊で先頭を歩く、囮以外の何だと言うのだ」
「はとこ、心が真っ黒すぎ……」
「スイフリーさん、あとで話し合いをしましょう」
パラサの呟きと、クレアの宣言が重なる。
「合流できたら話くらいは聞いてやろう」
スイフリーはそういうと、格子越しにガルガドを見る。
「とりあえず、先に情報交換だけはしておこうじゃないか」



「生贄……」
ガルガドたちからもたらされた言葉に、マウナはめまいを感じた。もしかしたら出られない、というのは絵から類推して心構えをしてはあったが、その理由が生贄だったとは。
「外に出られないのかあ」
レジィナは思わず顔を天井に向ける。生贄になれば、もちろん外には出られないだろうが、実際言葉だけの時点ではただの脅しだと思っていた部分もあったから、そういう絵の存在は裏づけがついたようで嫌な感じだ。
「この先に生贄を必要とする何かがいるってことになるのか?」
ヒースはため息混じりに言うと、小部屋から唯一繋がっている細い通路を見た。通路の奥のほうは暗くてどうなっているのか分からないが、見える範囲の壁などは赤黒く、妙な管も張り付いている。ずっとデザインは変わらないのだろう。
「そうかもしれんし、そうでもないかもしれない」
アーチボルトが答える。
「屋敷のからくりは自動的に発動するもので、もう打ち捨てられた場所、という可能性もないわけではない。その場合は、何も奥にはいないだろう。もちろん、からくりを動かした何者かがいる、という可能性もある」
「ただ、生贄であるわたしたちは勝手に認識され、解除は所定の方法と言うのだろう? 全自動の可能性のほうが高いかも知れんな」
スイフリーはため息をつく。
「でられますかね?」
「そこまでは分からない。とりあえず道はあるようだから、進むしかなかろう。壁や床がなにやら濡れているから、それに注意しつつお互い進もう、健闘を祈る」
二組の冒険者たちはそれぞれの小部屋から通じる通路を進み始めた。


■大丈夫、あと3分は金曜日!(笑)

遅れてごめん! 残念無念!(笑)いやだからまだ金曜日!


というわけで、暫く地下室探検が続きますよー。
べつになんてことない地下室ですよー。
期待しちゃだめですよー。

拍手[0回]

泡ぽこ 36
廊下には何もなかった。
エントランスにも見た目は何もない。が、一面に敷かれていた豪華な絨毯をめくると、玄関近くに地下への階段が隠されているのが分かった。
「これ、とりあえず今までの中で一番の進歩だよね?」
レジィナが階段を見下ろしながら眉を寄せる。階段の行き着く先がどうなっているのか、暗くてココからは分からなかった。
「行くかどうか、ですよね」
グイズノーの声はどこまでも「行きたくない」ことを主張する。しかし、感情的には行きたくなくとも、これ以外の打開策を思いつかないのもまた事実だった。
「虎穴にいらずんば虎児を得ず、ですな」
バスが楽しそうに言う。
「一体どのような英雄譚を作れるでしょうか」
「黄色っぽい感じはしないけど、何だかいやな感じはするね。狂った精霊とか居そう」
流石のノリスも、少々声に明るさがない。
「一応他のルートも探してみて、なければ行ってみるしかないだろうの。一応クソガキが挙げていた、屋根裏も探ってみよう」

結論から言うと、屋根裏からは何も見つけることはできなかった。唯一の収穫といえば、屋根裏にも屋敷を断絶した壁がご丁寧にも出現していることが分かったくらいだ。
「これはもう、あのヤな感じの地下に行くしかないね」
「罠かなあ?」
「もう罠にはかかった後だと思いますよ」
ノリスとエキューの会話に、グイズノーは肩をすくめる。
「だって、わたくしたちは生贄なのですからね」
「ホラーだね」
レジィナが深々とため息をつく。それから、断絶した向こう側を思わず見る。もちろん、壁に遮られ何も見えないが。
「お姉さんたち、大丈夫かなあ。生贄って知らないから、朝まで待機、とかしてないといいんだけど」
「いきなり壁が現れて閉じ込められた、という状況ですからね。生贄だと知らなくてもアーチーとスイフリーが躍起になって謎解きをしているでしょう。まあ、ぐちゃぐちゃに引っ掻き回してる可能性もありますが。現実的なフィリスが居るから、なんとかなってるんじゃないですかね」
「だといいけど」
レジィナは大きくため息をつくと、持っていたランタンに火をつけた。



などと、レジィナが大きくため息をついているころ、西側に取り残された面々も地下への階段を発見した上で、会議の真っ最中であった。
「罠なんだろうなあ」
ため息をつくヒースに、スイフリーは答える。
「屋敷に入った時点で罠に引っかかったと考えるべきだな」
「ぐだぐだ言っていても始まりません! とりあえず行ける所は行ってみましょう!」
握りこぶしのイリーナの肩を、マウナは思わずぽん、と叩く。あまり突貫していってもいいことはなさそうな気がしているからだ。地下からは黄色くは無いものの、あまり良い感じのしない空気が流れてきている。
「他にルートはないし、ここが出口に続いているって信じて進むしかないのかしら」
フィリスはため息をつく。デイルが興味なく床に寝そべったままあくびをしたのが見えた。
「ヒントは他に無い。屋根裏もルートなし、とくればもう行くしかあるまい。絵からいうと、屋敷の訪問者は外に出てこなかった。何かこの先にあると考えるのが妥当だろう」
「たとえば、何にゅ?」
「暗黒神官とか、根城にしてそうよね」
「邪悪ですね! 殲滅です!」
「絵の訪問者が招待客なら、毎度毎度暗黒神官もいるやもしれんが、我々はそうではない。暗黒神官はいないかもしれんな」
アーチーが重々しく頷きながら言う。
「ろくでもない魔法生物なんかなら居るかもしれないな。主の部屋は書物がたくさん置けるようになっていたから、研究施設だった可能性もなきにしもあらず、だ」
ヒースが言うと、イリーナが首を傾げる。
「でも、大広間とかありましたよ?」
「客を油断させるためかもしれんだろうが」
「何か居るとしたらろくでもないものだろう。何も居ないとしたら……」
スイフリーは言いかけて、ふと黙る。何かを考えているのか、あごに手を当てた。
「はとこ、どうしたにゅ?」
「いや、このラインは考えたくないな」
「にゅ?」
「出口が無くて、ここで朽ち果てる」
「やーめーてー」
低い声でパラサは抗議する。
「が、出口がないとしてだ」
「その可能性でも考えるんですか」
マウナが嫌そうな顔をする。冒険者である以上、望めないのかもしれないが、それでもできれば平穏無事な人生を歩みたい。こんな小鳩亭から遠いところで人知れず死ぬのは絶対イヤだ。
「なければどうなる?」
「絵と辻褄はあうな、という話だけだな。出口があるないに関わらず、何もしなければジリ貧なのは同じ。我々は冒険者、危険を買うのが仕事だ。このルートを行ってみるしかないだろう」
「色々考えて、挙句力押しになるっていうのは、そろそろ改めたいわね」
フィリスは大きくため息をつく。
「じゃ、行くにゅ」



■本放送(笑)のほうでは、ついにアノス入りしました。
このころから、ルールが分からなくて友人に聞きまくるようになってます。
どうも戦闘ルールが思い出せないとか、ルンマス系ルールが思い出せないとか。
やってないと忘れるものですね。

拍手[0回]

泡ぽこ 35
全員で廊下を歩き、台所へ到着する。ご丁寧にも、台所の真ん中にも屋敷を分断する例の壁は存在しており、台所を半分に分けていた。
「これって、向こう側には誰も立ち入れない空間があるってこと?」
エキューが壁をコンコンと叩きながら尋ねる。
「そうでしょうね。台所は屋敷の北側中央にありましたし、入り口はこちら側だけでした。つまり、台所西側は新しくできた壁と、元の壁で入り口のない空間になっているでしょう」
グイズノーが頷くのをみて、エキューはノリスを見た。
「なんとかその西側にいけないかな?誰も立ち入れないんだったら、何かありそうな気がしない?」
「んー。じゃあ、調べてみる」
バスと共に西側へ行く方法がないか探り出したノリスをみて、ガルガドは少しため息をつく。あのヘボシーフで何とかなるだろうか。
「心配ですか?」
いつの間にかクレアが隣に立っていて、ノリスへ視線を向けた状態で尋ねる。
「あれが、ではなく、今後を考えると少々心配かの」
「そうですか。……貴方はノリスさんを心配しているように見えたのですけど」
「まあ、それも心配ではある」
「確かに無邪気で多少心配な部分はありますけど、有能に見えますよ」
「ここまで成長するまでどれだけワシが苦労をしたか……しかもそれもまだ続きそうでの……」
「マイリー神官は自分の仕える勇者を探すか、もしくはその存在に自分がなるか、ですよね? 貴方の場合、彼ですか?」
「お前さん、ワシの胃に穴をあけるつもりか」
ガルガドが苦笑する。
「でも、神の試練はいつでも厳しく、それでいて暖かで明確な導きがあるでしょう?」
「お前さんにもあったのか?」
「未だに修行中です。理解したと思ったらすり抜けていく、そんな感じです」
ガルガドはクレアを見上げる。彼女は壁をじっと見ているだけだ。
「こんなに困った状況なのに、何もできないのは歯がゆいですね」


「駄目ー。全然駄目ー」
ノリスとバスは、ココからでは西側に行けないと結論付けたようだった。
「床に穴あけちゃいましょうか。こういうところでしたら、修理代の請求もないでしょうし」
「ソレは最終手段だね」
グイズノーの提案に、エキューは肩をすくめて見せた。
「向こうに行くため、だよね?」
ノリスが壁を指す。
「もしくは外に脱出だけでも。向こう側に外から入れるって可能性もあるし」
「この壁自体をどうにかする方法はなさそうだけど、例えば屋根裏とか地下室とか、そういう方向からの侵入かな? 脱出も」
「地下って、隠し階段とか? 今まであった?」
「あったらいくらなんでも言うよ」
ノリスがかたん、と首を横にかしげる。
「台所と大広間にはなかったよ」
「あるとしたら?」
「廊下か、エントランスかな?」
「だったらさっさと調べんかー!!!」
ガルガドの怒鳴り声。
「向こうはパラサがいるし、大丈夫だね。とっくの昔に外に出てるかも」
その様子を見ていたレジィナが大きくため息をつきながら呟いた。




■最近は火曜日のラブシック、金曜日の泡ぽこだったんですけどね。
うはははは、そんな枠組み知ったことかー!(実際そんなの気にしてたの自分だけだろうしね)

というわけで、今日はラブシックも泡ぽこもアップしてみました。
なんとなく。
深い理由はありません。


そうそう。
クレアさんはいつでも受付中(笑)スイフリーつきはなおよろし。
いまだ届かず。

拍手[0回]

泡ぽこ 34
「まあ、ともかくこれからどうしましょうか。生贄になるなんてごめんですし」
口ではそう言いながら、グイズノーの表情は相変わらず真意の分からない笑顔のままだ。
「ともかく手がかりを探すのが先決だろう。……盗賊があれだが」
ガルガドが隣でため息をつく。向こう側と分断されてどのくらいの時間がたったのか分からないが、多分時間が立てばたつほど危険度は増している。
「では、もう一度屋敷の中を見て回りましょう。何か新しい発見があるかもしれません」
グイズノーが頷く。
「えっと、じゃあ、確認しておこうよ。グイズノーさんがラーダ神官で、賢者だっけ」
エキューの問いかけにグイズノーは頷いた。
「クレアさんがファリスの神官戦士で、レジィナさんが……戦士だよね?」
「この状況でバードだとは言わないよ」
レジィナは苦笑しながら頷く。
「僕がシャーマンと戦士で、ノリスがシャーマンと盗賊。ガルガドがマイリーの神官戦士で、バスが盗賊とバード」
「偏ってるねー。何か神様の博覧会みたい」
ノリスのことばに、ガルガドが盛大なため息をつく。
「魔術師が居ないのがつらいところですね。同様に向こうも今頃スイフリーあたりが神官が居ないとか言ってそうですけど」
「イリーナが居るじゃないですか」
グイズノーの言葉にクレアはきょとん、とした顔で首をかしげる。
「戦略上、高僧じゃないのできっと忘れてます」


一階から順に、屋敷の中を見て回る。
屋敷の大半を使って作られた大広間が、こちら側のメインの部屋になる。後、こちら右半分からいける部屋と言えば、台所くらいのものだ。反対側には主の部屋らしいものや遊興室があった。手がかりが見つけやすいのは多分反対側だろう、とグイズノーは考える。
合流する方法さえ発見すれば、パラサも居ることだ、すぐにこちらへ向かうはず。つまり、向こうもまだほとんど手がかりを得ていない、ということだろう。もっとも、アーチボルトやスイフリーがむやみやたらに事態を複雑化させている可能性もないではないが。

大広間は綺麗に整えられた、つまり最初に屋敷に来た状態のまま、何の変化もなかった。
「ノリス」
部屋の壁など叩きながら、空洞などないか調べていたノリスに、グイズノーは声をかける。
「なにー?」
「最初に地震があったのですよね?」
「うん、そうだよ?」
グイズノーは答えを聞いて部屋を眺める。
「わたくしの部屋もそうでしたが、なぜ地震があったのに、何も乱れてはいないのでしょう。もっとも、わたくしはその地震にさえ気付かなかったのですが。地震は激しかったですか?」
「それなりに凄かったよ?」
「でしたら、燭台くらい倒れていそうなものですが」
グイズノーはテーブルの上に置かれた銀の燭台を手に取る。重量はあるが、揺れれば倒れるだろう。
「ブラウニーが居て次々掃除してまわってるとか?」
レジィナに対し、エキューが首を横に振る。
「ソレはないよ。ブラウニーを感じられないから」
「そっかー。変なの」
レジィナは首をかしげると、曖昧に笑った。
「で? 空洞とか隠し部屋はないのか?」
ガルガドの声に、ノリスとバスが首を横に振る。
「ないと思うよ。窓があった場所とかも音が違わないし」
「そうか」
ガルガドは大きく息を吐いた。
「では、別の部屋を探すとするかの。台所か」



■ところでまたバスが喋ってないのだが、もう気のせいと言うことにしよう。
むしろしゃべらないからバス、ということにしよう。

あと、クレアさんのイラストは随時受け付けております。ギブミークレアさん。スイフリー附属ならなおよろし(附属!?)

この話は友人にクレアさんを描いてもらうために書いているはずなのですが、友人からいっこうにクレアさんがプレゼントされてきません。

拍手[0回]

忍者ブログ / [PR]

photo by 7s
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
カウンター
WEB拍手
2007.12.24変更
メルフォ。
プロフィール
HN:
こーき
性別:
非公開
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
忍者・1人目
忍者・2人目