泡だとかぽこだとか。時折ルージュとか。初めての方は「各カテゴリ説明」をお読みください。
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一方。
多少時間は戻って中央に壁がそそり立った後の右側一行も、途方にくれていた。
「何、この壁。いつできたの?」
レジィナは灰色の石壁をつつきながら首をかしげる。
「わかんないんだよねー。アーチーと見張りをしてて、地震があって、手分けして奥を見て帰ってきたら、あったんだもん」
「クソガキにしてはまあまあ順序だてて説明できたほうかの……」
「マウナさーん! マウナさーん! 無事ですかー!」
エキューは壁に向かって叫んでみたが、返事は無かった。
「一体何事でしょうかな。新しいサーガができそうな事件でしょうか」
「できたとしてもホラーだったりして」
グイズノーが困ったような声を出す。
「しかし、どうしましょうか。ウチの二大権謀謀略な方々は壁の向こうです。わたくし知識をためるのは好きなんですけど、色々考えて策を練るのは好みじゃないんですよね。それにソーサラーが二人ともあちらに行ってしまったのも痛手です」
「イリーナさんは無事でしょうか」
クレアも壁を見つめてため息をつく。
「イリーナは丈夫だからよっぽどのことがなきゃ大丈夫だよ」
「そうですか。それなら良いのですけれど」
「仲間の心配はしないの?」
「……大丈夫でしょう。彼等が危機に陥る姿が想像できません。特にスイフリーさんとか」
「この場合、信頼なのかどうかちょっと微妙な感じだよね」
「実はそのスイフリーが一番ささやかな生命力なわけですが」
ノリスとレジィナ、グイズノーの会話を聞いているのか居ないのか、クレアはガルガドに向き直る。
「どうしましょうか」
「各自の部屋には異常がなかったからの、何かあるとしても1階だろう」
そこまで言うと、ガルガドはため息混じりにノリスを見る。
「ただ、盗賊がクソガキしかおらん……。せめて……いや、言うまい……」
とうのノリスは新しくできた壁を暫くぺしぺしと叩いていたが、やがて「あ、ノームつれてるんだった」と、思い至って振り返る。
「トンネルで向こうに行こうか。何があったかわからないけど、合流したほうがいいよね?」
「そっか、ノーム! 僕サラマンダーしかつれてなかったからすっかり忘れてた!」
精霊使いたちがもりあがり、やがてトンネルが唱えられた。
「で?」
「なんかノームさんご機嫌斜め」
全く変化の無い壁の前で、ガルガドが冷たい瞳をノリスに向ける。ノリスも不思議そうな顔で壁を見つめつつ答えた。
「ちゃんと唱えたんだけどなあ……。何か上手く働かないっていうか……」
「屋敷に入ったときにスイフリーが『気分が悪い』といっていましたよね。あれが関係あるんでしょうかね」
グイズノーは暫くコンコンと軽く壁を叩き、首をかしげる。見た感じは普通の壁なのだが、何か自分が知らない物質なのだろうか。
「あ、前に魔法テロリストが持ってた精霊を封じ込める石つきの指輪があったじゃない? あんな感じの石なのかも」
レジィナも壁を隣で叩きつつグイズノーに言う。グイズノーは首を横に振った。
「あれとは違う気がします。材質が違いますし。……参りましたね」
「ともかく、下に行ってみよう。もしかしたら分かれてない場所があるかもしれないし。1階の窓からなら外にも出られるだろうから、外回りで合流してもいいよ。……マウナさんが心配だよ」
エキューの提案が受け入れられ、一行は1階に降りる。階段は相変わらず灰色の石壁で半分に分断されていて、不気味な雰囲気である。1階のエントランスも丁度半分にされており、ご丁寧にも壁は入り口の扉までもをふさいでいた。
「先回りされてる感じだよね」
ノリスが流石に肩をすくめる。鍵穴がなければ、盗賊としての腕前を見せることもできない。
「えっと、こっち側には何があるんだっけ? 大広間と台所の入り口?」
レジィナがあたりを見ながら尋ねる。
「確かそうでした」
クレアが頷く。他にめぼしいものなど何も無かったように思う。左側なら、書斎などもあったが、屋敷は全体的にがらんとしていて何も手がかりになりそうなものは無かったように思う。
「留守番電画も何も言わなかったよね」
確認のために全員で絵に近づく。女性の絵が描かれているだけの絵画は、見たところ変化はない。
「向こうなんだから、メッセージの残しようが無いよ」
レジィナが言うと、その声に反応したかのように絵が口を開く。
生贄を認証しました。
屋敷をロックいたします。
解除方法は所定の方法で。
「コレはなんというか……ホラー確定ですか?」
「そして誰も居なくなったー」
グイズノーとノリスがほとんど同時に口を開く。
「居なくなってたまるかい」
ガルガドはノリスの後頭部をべちん、と叩きため息をつく。エキューは壁をバンバンたたきながらマウナの名前を呼び続けた。
「生贄……邪悪です」
「邪悪以前に、自分たちがその生贄って分かってます?」
呟くクレアにグイズノーはため息をつき、それから肩をすくめて見せた。
「わたくし、まだまだノーマルライフをエンジョイしたいので、どうにかしてこの屋敷から脱出いたしましょう。左側の皆さんは自分たちが生贄であるとは知らないでしょうが、あちらはあちらで脱出する気持ちにはなってるでしょうから、我々は我々の無事を祈りましょう」
「みんなの無事を祈るんだよ」
レジィナが言うと、拳を握り締めた。
■本放送のほうでは現在種明かし中です。
現在49話。
……いつおわるんでしょうね。
長いほうがいいのかなあ? すぱっと終わったほうがいいのかな?
多少時間は戻って中央に壁がそそり立った後の右側一行も、途方にくれていた。
「何、この壁。いつできたの?」
レジィナは灰色の石壁をつつきながら首をかしげる。
「わかんないんだよねー。アーチーと見張りをしてて、地震があって、手分けして奥を見て帰ってきたら、あったんだもん」
「クソガキにしてはまあまあ順序だてて説明できたほうかの……」
「マウナさーん! マウナさーん! 無事ですかー!」
エキューは壁に向かって叫んでみたが、返事は無かった。
「一体何事でしょうかな。新しいサーガができそうな事件でしょうか」
「できたとしてもホラーだったりして」
グイズノーが困ったような声を出す。
「しかし、どうしましょうか。ウチの二大権謀謀略な方々は壁の向こうです。わたくし知識をためるのは好きなんですけど、色々考えて策を練るのは好みじゃないんですよね。それにソーサラーが二人ともあちらに行ってしまったのも痛手です」
「イリーナさんは無事でしょうか」
クレアも壁を見つめてため息をつく。
「イリーナは丈夫だからよっぽどのことがなきゃ大丈夫だよ」
「そうですか。それなら良いのですけれど」
「仲間の心配はしないの?」
「……大丈夫でしょう。彼等が危機に陥る姿が想像できません。特にスイフリーさんとか」
「この場合、信頼なのかどうかちょっと微妙な感じだよね」
「実はそのスイフリーが一番ささやかな生命力なわけですが」
ノリスとレジィナ、グイズノーの会話を聞いているのか居ないのか、クレアはガルガドに向き直る。
「どうしましょうか」
「各自の部屋には異常がなかったからの、何かあるとしても1階だろう」
そこまで言うと、ガルガドはため息混じりにノリスを見る。
「ただ、盗賊がクソガキしかおらん……。せめて……いや、言うまい……」
とうのノリスは新しくできた壁を暫くぺしぺしと叩いていたが、やがて「あ、ノームつれてるんだった」と、思い至って振り返る。
「トンネルで向こうに行こうか。何があったかわからないけど、合流したほうがいいよね?」
「そっか、ノーム! 僕サラマンダーしかつれてなかったからすっかり忘れてた!」
精霊使いたちがもりあがり、やがてトンネルが唱えられた。
「で?」
「なんかノームさんご機嫌斜め」
全く変化の無い壁の前で、ガルガドが冷たい瞳をノリスに向ける。ノリスも不思議そうな顔で壁を見つめつつ答えた。
「ちゃんと唱えたんだけどなあ……。何か上手く働かないっていうか……」
「屋敷に入ったときにスイフリーが『気分が悪い』といっていましたよね。あれが関係あるんでしょうかね」
グイズノーは暫くコンコンと軽く壁を叩き、首をかしげる。見た感じは普通の壁なのだが、何か自分が知らない物質なのだろうか。
「あ、前に魔法テロリストが持ってた精霊を封じ込める石つきの指輪があったじゃない? あんな感じの石なのかも」
レジィナも壁を隣で叩きつつグイズノーに言う。グイズノーは首を横に振った。
「あれとは違う気がします。材質が違いますし。……参りましたね」
「ともかく、下に行ってみよう。もしかしたら分かれてない場所があるかもしれないし。1階の窓からなら外にも出られるだろうから、外回りで合流してもいいよ。……マウナさんが心配だよ」
エキューの提案が受け入れられ、一行は1階に降りる。階段は相変わらず灰色の石壁で半分に分断されていて、不気味な雰囲気である。1階のエントランスも丁度半分にされており、ご丁寧にも壁は入り口の扉までもをふさいでいた。
「先回りされてる感じだよね」
ノリスが流石に肩をすくめる。鍵穴がなければ、盗賊としての腕前を見せることもできない。
「えっと、こっち側には何があるんだっけ? 大広間と台所の入り口?」
レジィナがあたりを見ながら尋ねる。
「確かそうでした」
クレアが頷く。他にめぼしいものなど何も無かったように思う。左側なら、書斎などもあったが、屋敷は全体的にがらんとしていて何も手がかりになりそうなものは無かったように思う。
「留守番電画も何も言わなかったよね」
確認のために全員で絵に近づく。女性の絵が描かれているだけの絵画は、見たところ変化はない。
「向こうなんだから、メッセージの残しようが無いよ」
レジィナが言うと、その声に反応したかのように絵が口を開く。
生贄を認証しました。
屋敷をロックいたします。
解除方法は所定の方法で。
「コレはなんというか……ホラー確定ですか?」
「そして誰も居なくなったー」
グイズノーとノリスがほとんど同時に口を開く。
「居なくなってたまるかい」
ガルガドはノリスの後頭部をべちん、と叩きため息をつく。エキューは壁をバンバンたたきながらマウナの名前を呼び続けた。
「生贄……邪悪です」
「邪悪以前に、自分たちがその生贄って分かってます?」
呟くクレアにグイズノーはため息をつき、それから肩をすくめて見せた。
「わたくし、まだまだノーマルライフをエンジョイしたいので、どうにかしてこの屋敷から脱出いたしましょう。左側の皆さんは自分たちが生贄であるとは知らないでしょうが、あちらはあちらで脱出する気持ちにはなってるでしょうから、我々は我々の無事を祈りましょう」
「みんなの無事を祈るんだよ」
レジィナが言うと、拳を握り締めた。
■本放送のほうでは現在種明かし中です。
現在49話。
……いつおわるんでしょうね。
長いほうがいいのかなあ? すぱっと終わったほうがいいのかな?
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「とはいえ、怪しいところは大体探したよな」
ヒースは首を少し傾げて見せる。確かに彼の言うとおり、部屋は一通り見て回ったし、その部屋さえも、ほとんど遺留品などはなく、手がかりは皆無と言えた。
「この屋敷は使われていないと考えて間違いないよな? 直近だけじゃなく、結構長い間」
「そしてこれからも使われる予定は無いと見て間違いないだろう」
ヒースの言葉に、アーチボルトは重々しく頷きながら返答した。
「どうしてそんなことが分かるんですか?」
イリーナが首をかしげる。眉を寄せて、かなり難しそうな顔をしている。
「まず、使われる予定があれば、もっと色々なものが置かれている。主の部屋の本棚にはもっと本があってしかるべきだ。本はステータスだからな。来客に見せるためには本以外にも置物であるとか、そういうものが必要だ」
「そして、そういう大きくて重いものは、気軽に持ち運んだりしない。で、あるから、ここを使う予定がないから移動したということになる。ここは別荘ではなく廃屋だな」
「ああ、なるほど」
ヒースとアーチボルトの説明にイリーナは頷く。ゆっくり説明されれば、分からないわけではない。
「しかし廃屋であれば、これだけ綺麗な理由が分からない。ブラウニーは居ないのだろう?」
「居ない」
「第一、家が捨てられてブラウニーが残っていたら、今頃もっと酷い目にあってるわよ」
精霊使い二人の即答と断言により、綺麗さにも説明がつかなくなる。
「手がかりが全く無いってこと? 困ったわね」
フィリスが長々としたため息をつく。打てる手はすべて打った気がする。アーチボルトやスイフリーだって、手がかりが無い状態では何もできないだろう。
「ねー」
不意に足元から声がかかる。パラサだ。
「あの絵って、あんなんだっけ?」
パラサが指差すのは、エントランスの左側にかかっていた屋敷の絵だった。右側は留守番伝画で、左側が屋敷という統一感の無さに、全員が絵がかかっていたことを覚えていた。
「うーん、確かに言われてみれば違った気がする」
「もっと色合いが明るかったような」
風景画は暗い空をバックに、左右対称の屋敷が描かれている。夜の風景なのか、窓からは光が漏れている。
「……にゅう」
パラサが困ったような声をあげた。
「これ、この屋敷に似てない?」
「言われてみれば」
イリーナが頷いたとき、絵に変化が起こった。
その変化は一瞬で、しかも小さなものだった。
「にゅ? 灯りが消えたにゅ! ……おもろい」
「面白がるな」
スイフリーがパラサの頭を後ろからぺしり、と叩く。
「灯りが消えたんじゃなくて、窓が閉じられたんだ。よく見ろ、あの窓と一緒だ」
スイフリーが指差すのは、実際に壁に閉ざされた窓だった。
「わかってるにゅ。でもおもしろいっしょ」
「絵としては面白いが……」
「そこで認めちゃ意味無いわよ」
フィリスから冷たい声が飛ぶ。
「おふざけは程ほどにしてだ、どう思う?」
「絵が現実と連動している、のだとしてはタイムラグが気になるな」
「あ、また変わったにゅ」
アーチボルトとスイフリーの会話中に、絵はまた動く。今度は屋敷が大きく震えているようだった。
「……今度は地震が来るという予言か?」
「あ、止まった」
絵の中の変化はめまぐるしい。また屋敷が大きく揺れる。
やがて絵の中に朝が来た。
屋敷はしんとしたまま、沈黙を保つ。
「……何にも起こらない?」
「あ、客が来た」
絵の中では、客が家の中に入っていくところだった。自分たちではない。
「中に入る……わたしは今壮絶にいやーな予感がするのだが」
「奇遇だな、わたしもだ」
やがて屋敷に夜が来た。一度目の大きな揺れ。屋敷はやがて窓を閉じ、そして何度か大きく揺れた。
「朝が来るぞ」
「……出てこないな、やっぱり」
そこで重苦しい沈黙が一行を支配する。押し黙ったまま、全員の顔を見つめあう。
「これは、屋敷内で何か起こったということだろうか」
「絵の中のことを間に受けなくても……」
「警戒はしておいて損はない」
「絵の中の屋敷で、何が起こったのだと思う?」
「客同士の殺し合いか、さもなくば主が大量殺人か」
「どちらにせよ、それだと最後の一人は出てこなければおかしい」
「相討ち?」
また全員で、なんとなくお互いの顔を見合う。微妙な空気があたりを支配した。
「いやいやいや、まてまてまて。絵で疑心暗鬼を植えつけ、団体行動させないという罠かもしれない。お互い疑うのは問題有りだ」
アーチボルトが手を大きく広げる。敵意は無いというジェスチャーかも知れない。
「実際、何者かは戦力分断を狙っているのだしな」
すぐにスイフリーが同調する。それから周りの様子を確認するようにゆっくりと首をめぐらせた。
「高司祭が居ないのは痛いが、我々が集まっていたら戦力としては申し分ない。疑いあうのは後だ」
「不戦協定みたいなもんか?」
「そういうことだ。何者かの狙いは同士討ちかも知れん」
■すっかり忘れてたと申しますか(笑)
32話です。
え? もう32!?
現在本編は47-1。
……ストックがなくなってきてるじゃん!
続きは……週末に書き溜めるかあ。
ヒースは首を少し傾げて見せる。確かに彼の言うとおり、部屋は一通り見て回ったし、その部屋さえも、ほとんど遺留品などはなく、手がかりは皆無と言えた。
「この屋敷は使われていないと考えて間違いないよな? 直近だけじゃなく、結構長い間」
「そしてこれからも使われる予定は無いと見て間違いないだろう」
ヒースの言葉に、アーチボルトは重々しく頷きながら返答した。
「どうしてそんなことが分かるんですか?」
イリーナが首をかしげる。眉を寄せて、かなり難しそうな顔をしている。
「まず、使われる予定があれば、もっと色々なものが置かれている。主の部屋の本棚にはもっと本があってしかるべきだ。本はステータスだからな。来客に見せるためには本以外にも置物であるとか、そういうものが必要だ」
「そして、そういう大きくて重いものは、気軽に持ち運んだりしない。で、あるから、ここを使う予定がないから移動したということになる。ここは別荘ではなく廃屋だな」
「ああ、なるほど」
ヒースとアーチボルトの説明にイリーナは頷く。ゆっくり説明されれば、分からないわけではない。
「しかし廃屋であれば、これだけ綺麗な理由が分からない。ブラウニーは居ないのだろう?」
「居ない」
「第一、家が捨てられてブラウニーが残っていたら、今頃もっと酷い目にあってるわよ」
精霊使い二人の即答と断言により、綺麗さにも説明がつかなくなる。
「手がかりが全く無いってこと? 困ったわね」
フィリスが長々としたため息をつく。打てる手はすべて打った気がする。アーチボルトやスイフリーだって、手がかりが無い状態では何もできないだろう。
「ねー」
不意に足元から声がかかる。パラサだ。
「あの絵って、あんなんだっけ?」
パラサが指差すのは、エントランスの左側にかかっていた屋敷の絵だった。右側は留守番伝画で、左側が屋敷という統一感の無さに、全員が絵がかかっていたことを覚えていた。
「うーん、確かに言われてみれば違った気がする」
「もっと色合いが明るかったような」
風景画は暗い空をバックに、左右対称の屋敷が描かれている。夜の風景なのか、窓からは光が漏れている。
「……にゅう」
パラサが困ったような声をあげた。
「これ、この屋敷に似てない?」
「言われてみれば」
イリーナが頷いたとき、絵に変化が起こった。
その変化は一瞬で、しかも小さなものだった。
「にゅ? 灯りが消えたにゅ! ……おもろい」
「面白がるな」
スイフリーがパラサの頭を後ろからぺしり、と叩く。
「灯りが消えたんじゃなくて、窓が閉じられたんだ。よく見ろ、あの窓と一緒だ」
スイフリーが指差すのは、実際に壁に閉ざされた窓だった。
「わかってるにゅ。でもおもしろいっしょ」
「絵としては面白いが……」
「そこで認めちゃ意味無いわよ」
フィリスから冷たい声が飛ぶ。
「おふざけは程ほどにしてだ、どう思う?」
「絵が現実と連動している、のだとしてはタイムラグが気になるな」
「あ、また変わったにゅ」
アーチボルトとスイフリーの会話中に、絵はまた動く。今度は屋敷が大きく震えているようだった。
「……今度は地震が来るという予言か?」
「あ、止まった」
絵の中の変化はめまぐるしい。また屋敷が大きく揺れる。
やがて絵の中に朝が来た。
屋敷はしんとしたまま、沈黙を保つ。
「……何にも起こらない?」
「あ、客が来た」
絵の中では、客が家の中に入っていくところだった。自分たちではない。
「中に入る……わたしは今壮絶にいやーな予感がするのだが」
「奇遇だな、わたしもだ」
やがて屋敷に夜が来た。一度目の大きな揺れ。屋敷はやがて窓を閉じ、そして何度か大きく揺れた。
「朝が来るぞ」
「……出てこないな、やっぱり」
そこで重苦しい沈黙が一行を支配する。押し黙ったまま、全員の顔を見つめあう。
「これは、屋敷内で何か起こったということだろうか」
「絵の中のことを間に受けなくても……」
「警戒はしておいて損はない」
「絵の中の屋敷で、何が起こったのだと思う?」
「客同士の殺し合いか、さもなくば主が大量殺人か」
「どちらにせよ、それだと最後の一人は出てこなければおかしい」
「相討ち?」
また全員で、なんとなくお互いの顔を見合う。微妙な空気があたりを支配した。
「いやいやいや、まてまてまて。絵で疑心暗鬼を植えつけ、団体行動させないという罠かもしれない。お互い疑うのは問題有りだ」
アーチボルトが手を大きく広げる。敵意は無いというジェスチャーかも知れない。
「実際、何者かは戦力分断を狙っているのだしな」
すぐにスイフリーが同調する。それから周りの様子を確認するようにゆっくりと首をめぐらせた。
「高司祭が居ないのは痛いが、我々が集まっていたら戦力としては申し分ない。疑いあうのは後だ」
「不戦協定みたいなもんか?」
「そういうことだ。何者かの狙いは同士討ちかも知れん」
■すっかり忘れてたと申しますか(笑)
32話です。
え? もう32!?
現在本編は47-1。
……ストックがなくなってきてるじゃん!
続きは……週末に書き溜めるかあ。
「この壁、何とかなりませんかね。精霊魔法では壊せないなら、ヒース兄さんの攻撃的な魔法だとか、何なら私がこう、がーんと」
イリーナが腕をぶんぶんと振ってみせる。ヒースは呆れたような視線をイリーナに向けつつ、大袈裟にため息をついて見せた。
「俺サマが魔法をぶっ放して、壁どころか家まで壊れたらどうするんだ。弁償するのか。無理だ」
「きっぱり言い放ちましたね」
今度はイリーナが呆れた顔をする。
「アレは? ほら、ウィスプにシェイドをぶつけたら消滅するみたいな感じで」
フィリスが身振り手振りを加えてスイフリーに質問する。
「それがなあ」
苦々しい顔でスイフリーは新たに出来た壁を見上げる。
「この壁は少なくとも、ノリスが作ったんではないだろう。ノームちゃんの力を感じない。……というか、そういう状況ならとうにやっている、というか」
「それもそっか」
フィリスもつられて壁を見上げる。
「そういえばあんた、家に入ったときから何か変って言ってたしね」
「今だに変な気分だぞ。建物の中だからシルフちゃんの力をほとんど感じないのとか当たり前といえば当たり前なのだが……」
「あ」
マウナは辺りを見てから声を挙げる。
「どうしたマウナ。何かまた変な事が起こったのか?」
ヒースが辺りを警戒する。
「そうじゃなくて。……このお屋敷全然汚れてない。ベッドとか普通に使えたし、ほこりも落ちてない。ブラウニーもいないのに」
「ブラウニーって、あの、本棚とか倒してくる?」
「アレは特殊な事情があったでしょ。普通はそういうのじゃないの」
イリーナにマウナはブラウニーの説明を始める。時々イリーナは良く分からないという顔をしたが、何とか理解を示し始める。
「結局、どういう事になったにゅ?」
パラサがスイフリーを見上げると、彼は大きく息を吐いてから肩をすくめて見せた。
「事態が悪い方向に進んだのだけは間違いなさそうだ。まず第一に、ここが普通の家でないことが判明した」
「それは何となくちょっと前から判明してた気がするにゅ」
「ここがカラクリ屋敷だと仮定して、もしカラクリを動かしている主が居るとするならば……我々に明確な敵意をいだいているだろうな」
「あう」
「少なくとも、閉じ込めた理由や分断した理由があるんだろう」
「もし、主が居なかったら?」
「アーチー希望のファンタジーなのではないか?」
「だから、こういうのはホラーというのだ」
「分かっている事を整理しよう。認識は共通していたほうがいいし、イリーナが意味不明な顔をしてる」
ヒースの提案に、今まであったことを整理してみる事にした。
1 起きているものだけが感じた地震のようなものがあった。
2 屋敷を左右二分する壁が出来る。コレは入り口や窓をふさいだ。
3 向こうとの連絡は不可。シースルーで向こうを見たが姿は確認できず。
4 遊興室、応接室ともども、屋敷の来歴を示すものはなし。
5 精霊の働きが妙。ただしコレは精霊使いしか分からない感覚。
6 もし、何者かが屋敷のカラクリを動かしたのだとしたら、相手は自分たちに敵意を持っている。殺意は不明。
「結局、あんまり何もわかっていないってのが分かったわ」
フィリスが大きくため息をつく。
「戦力の分断は、手順としては正しいだろう。まあ、そもそも14人も居たら乱戦で戦いにくい事この上ないわけだが。コレが最終的な分断ではないと思ったほうがいいな」
「そうだな。全員ばらばらにして各個撃破だろう、最終的には」
「邪悪には負けません!」
「ファイアウェポンもファナティシズムもなくなるぞ、一人だと」
「……」
「一人で戦う事になると、まあ、長時間生き延びるのはアーチーだろうな。それでも回復が無いからジリ貧なわけだが」
「透明になったあんたじゃないの?」
「範囲魔法に巻き込まれたらわたしの場合イチコロだ」
「オレも攻撃しても普通だとダメージあんまりあたえらんないしー」
ここで全員が大きくため息をつく。
「とりあえず、努力目標は団体行動を貫く、か?」
「だな。……さて、主がいるとしたら、どこかに隠れてるんだろう。探すか」
「ねーちゃんが居ればもっとやる気もでるのにぃー」
「なんでお前の泥棒家業は黙認で、わたしのちょっとした発言は睨まれるのだ」
「はとこの発言は実行したら邪悪そのものな話が多いからっしょ」
「お前のは他愛ない子どもの悪戯レベルで考えられてるかもしれんぞ、はとこの子よ」
にらみ合う妖精二人に、フィリスから鋭い声が飛ぶ。
「遊んでないでさっさと探しなさい」
■気付いたら、もう31回をアップですか。
着実に本放送に近づいてるじゃないですか。まあ、本編の進み具合が芳しくないのが悪いのですが。
前回に引き続き、ルールの細かいところはすーっとスルーしていただけるとありがたいです。
雰囲気を楽しむものだと思っていただければ。
イリーナが腕をぶんぶんと振ってみせる。ヒースは呆れたような視線をイリーナに向けつつ、大袈裟にため息をついて見せた。
「俺サマが魔法をぶっ放して、壁どころか家まで壊れたらどうするんだ。弁償するのか。無理だ」
「きっぱり言い放ちましたね」
今度はイリーナが呆れた顔をする。
「アレは? ほら、ウィスプにシェイドをぶつけたら消滅するみたいな感じで」
フィリスが身振り手振りを加えてスイフリーに質問する。
「それがなあ」
苦々しい顔でスイフリーは新たに出来た壁を見上げる。
「この壁は少なくとも、ノリスが作ったんではないだろう。ノームちゃんの力を感じない。……というか、そういう状況ならとうにやっている、というか」
「それもそっか」
フィリスもつられて壁を見上げる。
「そういえばあんた、家に入ったときから何か変って言ってたしね」
「今だに変な気分だぞ。建物の中だからシルフちゃんの力をほとんど感じないのとか当たり前といえば当たり前なのだが……」
「あ」
マウナは辺りを見てから声を挙げる。
「どうしたマウナ。何かまた変な事が起こったのか?」
ヒースが辺りを警戒する。
「そうじゃなくて。……このお屋敷全然汚れてない。ベッドとか普通に使えたし、ほこりも落ちてない。ブラウニーもいないのに」
「ブラウニーって、あの、本棚とか倒してくる?」
「アレは特殊な事情があったでしょ。普通はそういうのじゃないの」
イリーナにマウナはブラウニーの説明を始める。時々イリーナは良く分からないという顔をしたが、何とか理解を示し始める。
「結局、どういう事になったにゅ?」
パラサがスイフリーを見上げると、彼は大きく息を吐いてから肩をすくめて見せた。
「事態が悪い方向に進んだのだけは間違いなさそうだ。まず第一に、ここが普通の家でないことが判明した」
「それは何となくちょっと前から判明してた気がするにゅ」
「ここがカラクリ屋敷だと仮定して、もしカラクリを動かしている主が居るとするならば……我々に明確な敵意をいだいているだろうな」
「あう」
「少なくとも、閉じ込めた理由や分断した理由があるんだろう」
「もし、主が居なかったら?」
「アーチー希望のファンタジーなのではないか?」
「だから、こういうのはホラーというのだ」
「分かっている事を整理しよう。認識は共通していたほうがいいし、イリーナが意味不明な顔をしてる」
ヒースの提案に、今まであったことを整理してみる事にした。
1 起きているものだけが感じた地震のようなものがあった。
2 屋敷を左右二分する壁が出来る。コレは入り口や窓をふさいだ。
3 向こうとの連絡は不可。シースルーで向こうを見たが姿は確認できず。
4 遊興室、応接室ともども、屋敷の来歴を示すものはなし。
5 精霊の働きが妙。ただしコレは精霊使いしか分からない感覚。
6 もし、何者かが屋敷のカラクリを動かしたのだとしたら、相手は自分たちに敵意を持っている。殺意は不明。
「結局、あんまり何もわかっていないってのが分かったわ」
フィリスが大きくため息をつく。
「戦力の分断は、手順としては正しいだろう。まあ、そもそも14人も居たら乱戦で戦いにくい事この上ないわけだが。コレが最終的な分断ではないと思ったほうがいいな」
「そうだな。全員ばらばらにして各個撃破だろう、最終的には」
「邪悪には負けません!」
「ファイアウェポンもファナティシズムもなくなるぞ、一人だと」
「……」
「一人で戦う事になると、まあ、長時間生き延びるのはアーチーだろうな。それでも回復が無いからジリ貧なわけだが」
「透明になったあんたじゃないの?」
「範囲魔法に巻き込まれたらわたしの場合イチコロだ」
「オレも攻撃しても普通だとダメージあんまりあたえらんないしー」
ここで全員が大きくため息をつく。
「とりあえず、努力目標は団体行動を貫く、か?」
「だな。……さて、主がいるとしたら、どこかに隠れてるんだろう。探すか」
「ねーちゃんが居ればもっとやる気もでるのにぃー」
「なんでお前の泥棒家業は黙認で、わたしのちょっとした発言は睨まれるのだ」
「はとこの発言は実行したら邪悪そのものな話が多いからっしょ」
「お前のは他愛ない子どもの悪戯レベルで考えられてるかもしれんぞ、はとこの子よ」
にらみ合う妖精二人に、フィリスから鋭い声が飛ぶ。
「遊んでないでさっさと探しなさい」
■気付いたら、もう31回をアップですか。
着実に本放送に近づいてるじゃないですか。まあ、本編の進み具合が芳しくないのが悪いのですが。
前回に引き続き、ルールの細かいところはすーっとスルーしていただけるとありがたいです。
雰囲気を楽しむものだと思っていただければ。
「何事だ? これ」
壁前で眉をよせ、不機嫌そうな声でスイフリーは呟く。
「壁にゅ」
「見て分かることをわざわざ言わんでいい」
「ノリスが作ったとか?」
「まあ、ノリスがノームを連れてくれているのは事実だが」
右側一行は壁前に集まっていた。一応、壁向こうに向かって一通り叫んでみたりしたのだが、返答は無かった。
「……トンネルで穴あけてこっちくればいいのに」
ノームをつれていないのはマウナも同じ。精霊使いは二人とも壁前でため息をつくしかない。
「シースルーで向こうを見てみようか」
フィリスの提案に彼らは頷く。結果、見えたのは寝る前に見たのと同じ左側の建物。向こうに居るはずの仲間は見えなかった。
「はとこ、はとこ」
「何だ」
「窓から外でて、向こう回ろうか」
「いい提案ではあるが、単独行動は危なくないか?」
「1階から出ればみんなでいけるにゅ」
「そうだな。が、もう少し待て」
「?」
スイフリーがパラサに手をパーの形で見せる。パラサは首をかしげた。
「不用意に外に出るのは危険だといっているのだ」
そう言ってから、全員を見る。
「何か、良くない事が起こったと考えて間違いないだろう。なるべく単独行動は控えたほうがいい。……しかし、こう見てみると偏った面子になったな。こっちにソーサラーが固まって、向こうに神官が固まった」
「……あの、私も神官なのですが」
イリーナが遠慮気味に手を挙げる。スイフリーは暫く珍しいものでも見るような目つきでイリーナを見ていて、それから手をぽん、とならした。
「そうだったそうだった、イリーナは神官だったな」
「……」
ジト目でイリーナはスイフリーを見たが、彼は気にした風も無い。
「気にしちゃ駄目よイリーナ。そこの賢いエルフは時々とんでもないポカをするの」
フィリスが援護に回り、スイフリーはため息をついてみせた。
「そんなに不満なら言い直すぞ。高レベルの神官は全員向こうに行ってしまった」
「……」
「返す言葉もないなあ、イリーナ」
黙るイリーナをからかったヒースは裏拳をうけて床に倒れこむ。誰ももう見慣れたものだからフォローはしない。
「とはいえ、異変があるのは屋敷だ。怪我をすることはそうあるまい」
アーチボルトは言うとあたりを見回す。
「とりあえず、屋敷に他の異変が無いか見てみよう。シースルーで向こうの面子が見えないのも気味が悪い。何があったのか調べつつ、最後にはパラサの案を採用して外回りで向こうと合流だな」
「コレは予想外だろう」
1階のエントランスで彼らはため息をついた。屋敷左側の、2階の全ての部屋と1階の全ての部屋を回って分かったことといえば、いつの間にか窓が全て中央と同じ壁で覆われており脱出不可能。玄関も同じく壁に埋もれており外には出られなくなっていた。窓の異変以外には部屋には異変が無い。中に入るのも廊下に出るのも自在だ。その分たちが悪い。
「外の様子も分からない。向こうの様子も分からない。何があって屋敷が半分になったのかも分からない。これでは手の打ちようがないぞ」
アーチボルトが壁を見ながら言う。
「なんでノリスはトンネルを使ってこないのよ」
マウナも壁を見てため息をつく。
「姉ちゃん、無事かなあ?」
「クレアは向こうの面子の中でも有能なほうだ、心配あるまい。……せめて書斎に手がかりの一つもあればよかったのだが」
「もっかい探してみる?」
「そうするか」
■この話を書いたとき、ルール面をサポートしてくれてる参謀から突込みが入りました。
というわけで、そのうちそのフォロー話がはいります(苦笑)
先に言っておきます(苦笑)
だってー、SWでシャーマンやった記憶ないんだもんー……。(言い訳にならん……)
一番遊んだのはシーフ。次点ファイター。
壁前で眉をよせ、不機嫌そうな声でスイフリーは呟く。
「壁にゅ」
「見て分かることをわざわざ言わんでいい」
「ノリスが作ったとか?」
「まあ、ノリスがノームを連れてくれているのは事実だが」
右側一行は壁前に集まっていた。一応、壁向こうに向かって一通り叫んでみたりしたのだが、返答は無かった。
「……トンネルで穴あけてこっちくればいいのに」
ノームをつれていないのはマウナも同じ。精霊使いは二人とも壁前でため息をつくしかない。
「シースルーで向こうを見てみようか」
フィリスの提案に彼らは頷く。結果、見えたのは寝る前に見たのと同じ左側の建物。向こうに居るはずの仲間は見えなかった。
「はとこ、はとこ」
「何だ」
「窓から外でて、向こう回ろうか」
「いい提案ではあるが、単独行動は危なくないか?」
「1階から出ればみんなでいけるにゅ」
「そうだな。が、もう少し待て」
「?」
スイフリーがパラサに手をパーの形で見せる。パラサは首をかしげた。
「不用意に外に出るのは危険だといっているのだ」
そう言ってから、全員を見る。
「何か、良くない事が起こったと考えて間違いないだろう。なるべく単独行動は控えたほうがいい。……しかし、こう見てみると偏った面子になったな。こっちにソーサラーが固まって、向こうに神官が固まった」
「……あの、私も神官なのですが」
イリーナが遠慮気味に手を挙げる。スイフリーは暫く珍しいものでも見るような目つきでイリーナを見ていて、それから手をぽん、とならした。
「そうだったそうだった、イリーナは神官だったな」
「……」
ジト目でイリーナはスイフリーを見たが、彼は気にした風も無い。
「気にしちゃ駄目よイリーナ。そこの賢いエルフは時々とんでもないポカをするの」
フィリスが援護に回り、スイフリーはため息をついてみせた。
「そんなに不満なら言い直すぞ。高レベルの神官は全員向こうに行ってしまった」
「……」
「返す言葉もないなあ、イリーナ」
黙るイリーナをからかったヒースは裏拳をうけて床に倒れこむ。誰ももう見慣れたものだからフォローはしない。
「とはいえ、異変があるのは屋敷だ。怪我をすることはそうあるまい」
アーチボルトは言うとあたりを見回す。
「とりあえず、屋敷に他の異変が無いか見てみよう。シースルーで向こうの面子が見えないのも気味が悪い。何があったのか調べつつ、最後にはパラサの案を採用して外回りで向こうと合流だな」
「コレは予想外だろう」
1階のエントランスで彼らはため息をついた。屋敷左側の、2階の全ての部屋と1階の全ての部屋を回って分かったことといえば、いつの間にか窓が全て中央と同じ壁で覆われており脱出不可能。玄関も同じく壁に埋もれており外には出られなくなっていた。窓の異変以外には部屋には異変が無い。中に入るのも廊下に出るのも自在だ。その分たちが悪い。
「外の様子も分からない。向こうの様子も分からない。何があって屋敷が半分になったのかも分からない。これでは手の打ちようがないぞ」
アーチボルトが壁を見ながら言う。
「なんでノリスはトンネルを使ってこないのよ」
マウナも壁を見てため息をつく。
「姉ちゃん、無事かなあ?」
「クレアは向こうの面子の中でも有能なほうだ、心配あるまい。……せめて書斎に手がかりの一つもあればよかったのだが」
「もっかい探してみる?」
「そうするか」
■この話を書いたとき、ルール面をサポートしてくれてる参謀から突込みが入りました。
というわけで、そのうちそのフォロー話がはいります(苦笑)
先に言っておきます(苦笑)
だってー、SWでシャーマンやった記憶ないんだもんー……。(言い訳にならん……)
一番遊んだのはシーフ。次点ファイター。
「何事だ?」
「地震?」
ノリスとアーチボルトは口々に言いながら辺りを見る。ノリスはさっきまで階段に座っていたのにもう立ち上がっているあたり、実はかなり実力があるのかもしれない、とアーチボルトは内心思う。もちろん口にはしない。
揺れはすぐ収まった。あたりは静まり返っていて、何の変化も無い。
「しかし……誰もおきてこないというのはどういうことだ?」
アーチボルトは首をかしげる。
「すぐに収まったから寝なおしたんじゃない?」
ノリスは能天気に言うと、再び階段に座ろうとする。アーチボルトはソレを阻止し、ノリスを立たせる。
「どうも納得がいかない。ノリスは右側を見てきたまえ。私は左側を見てこよう」
「何を?」
きょとんとするノリスに、アーチボルトは呆れたような視線を送ってから
「とりあえず二階の、右側だ。異変が無いか見てきたまえ。私は左側を見てこよう。仲間がおきてきていたら、何か無かったか聞きたまえ。1階は2階の確認後、一緒に見に行くぞ」
「じゃあ2階も一緒でいいんじゃないの?」
「2階は仲間が沢山居る。単独行動でも問題あるまい。今は迅速に仲間に被害が無いか確かめるのが先決だ」
「ふーん」
分かっているのか居ないのかよくわからない返答とともにノリス頷く。
「わかった、じゃあ、右側見てくるね」
階段前のスペースでノリスと別れ、アーチボルトは屋敷の左側を見て回る。扉はどれも閉まったままで、変化は無い。こういう騒ぎであれば真っ先にパラサが飛び出してきそうなものだが、それもない。警戒心の強いスイフリーも現状把握に来ない。
(妙だ)
思いながら、廊下の分かれ道まで来る。左側にはパラサの部屋とスイフリーの部屋だ。見える範囲に変化は無い。右手側は暫く長く廊下が続く。行き止まりには窓がある。自分の部屋はこの突き当たりから数歩右側にドアがある。部屋の中を覗いたが、荷物など崩れた様子は無かった。
ココから突き当りまで、向かい合うように部屋は配置されている。左手側、つまり屋敷の外側にはフィリス、ヒースクリフがそれぞれ部屋をとった。右側、つまり内側にはマウナとイリーナ。イリーナが階段側の部屋だ。見える範囲には、そのどれも変化は無い。
一応、念のため廊下の突き当たりまで歩いてみた。窓の外は暗視ができない自分にはよくわからないが、まだ雨は降っているようで窓を雨粒が叩く音がする。
(考えすぎか)
彼は皮肉げに口を吊り上げると、来た道を戻り始めた。相変わらず、仲間が廊下に出てくる感じはなく、辺りは静かなものである。
廊下の曲がり角を曲がる。
とりあえず階段前のスペースでノリスと落ち合ったら、1階の探索だ。
「!?」
彼は屋敷の変化に思わず息を呑む。そしてそのスペースに走った。
「なんだ、コレは!」
思わず叫ぶ。
屋敷は様変わりしていた。
自分とノリスが警戒に当たっていた階段前のスペースの、丁度中央に壁ができていた。ソレはご丁寧にも天井まで達していて、屋敷の右半分と左半分を分断している。階段も、吹き抜けスペースも、二階から見えていた一階のエントランスも、すべてが壁で半分にされている。
「ノリス!」
叫んでみたが、壁の向こうから返事は無い。
振り返って手近なパラサのドアを蹴り飛ばす。返事があってもなくても気にせず、次にスイフリーの部屋のドアを蹴っ飛ばし、そのまま走って廊下の突き当りまで行くと、ヒースの部屋から順番にドアを叩いて回った。
戻った頃には、部屋から出てきたらしいパラサとスイフリーがそれぞれ新たに増えた壁を見て呆然としていた。
■漸くパーティー正式分断!
ちなみに左側パーティーは「アーチー、フィリス、スイフリー、パラサ、イリーナ、ヒース、マウナ」の7人。
厳正なる投票の結果。見事に偏ったパーティーだ。
■友人たちに、好きなキャラを7人挙げてもらって、得票でパーティーわけをしました。
左側パーティーは通称Aチーム。
残りの右側はBチーム。彼らは「1票だけ取った人」で構成されてます。
え?
Aチーム?
……マウナさんが0票だったなんて、口が裂けてもいえません(笑
「地震?」
ノリスとアーチボルトは口々に言いながら辺りを見る。ノリスはさっきまで階段に座っていたのにもう立ち上がっているあたり、実はかなり実力があるのかもしれない、とアーチボルトは内心思う。もちろん口にはしない。
揺れはすぐ収まった。あたりは静まり返っていて、何の変化も無い。
「しかし……誰もおきてこないというのはどういうことだ?」
アーチボルトは首をかしげる。
「すぐに収まったから寝なおしたんじゃない?」
ノリスは能天気に言うと、再び階段に座ろうとする。アーチボルトはソレを阻止し、ノリスを立たせる。
「どうも納得がいかない。ノリスは右側を見てきたまえ。私は左側を見てこよう」
「何を?」
きょとんとするノリスに、アーチボルトは呆れたような視線を送ってから
「とりあえず二階の、右側だ。異変が無いか見てきたまえ。私は左側を見てこよう。仲間がおきてきていたら、何か無かったか聞きたまえ。1階は2階の確認後、一緒に見に行くぞ」
「じゃあ2階も一緒でいいんじゃないの?」
「2階は仲間が沢山居る。単独行動でも問題あるまい。今は迅速に仲間に被害が無いか確かめるのが先決だ」
「ふーん」
分かっているのか居ないのかよくわからない返答とともにノリス頷く。
「わかった、じゃあ、右側見てくるね」
階段前のスペースでノリスと別れ、アーチボルトは屋敷の左側を見て回る。扉はどれも閉まったままで、変化は無い。こういう騒ぎであれば真っ先にパラサが飛び出してきそうなものだが、それもない。警戒心の強いスイフリーも現状把握に来ない。
(妙だ)
思いながら、廊下の分かれ道まで来る。左側にはパラサの部屋とスイフリーの部屋だ。見える範囲に変化は無い。右手側は暫く長く廊下が続く。行き止まりには窓がある。自分の部屋はこの突き当たりから数歩右側にドアがある。部屋の中を覗いたが、荷物など崩れた様子は無かった。
ココから突き当りまで、向かい合うように部屋は配置されている。左手側、つまり屋敷の外側にはフィリス、ヒースクリフがそれぞれ部屋をとった。右側、つまり内側にはマウナとイリーナ。イリーナが階段側の部屋だ。見える範囲には、そのどれも変化は無い。
一応、念のため廊下の突き当たりまで歩いてみた。窓の外は暗視ができない自分にはよくわからないが、まだ雨は降っているようで窓を雨粒が叩く音がする。
(考えすぎか)
彼は皮肉げに口を吊り上げると、来た道を戻り始めた。相変わらず、仲間が廊下に出てくる感じはなく、辺りは静かなものである。
廊下の曲がり角を曲がる。
とりあえず階段前のスペースでノリスと落ち合ったら、1階の探索だ。
「!?」
彼は屋敷の変化に思わず息を呑む。そしてそのスペースに走った。
「なんだ、コレは!」
思わず叫ぶ。
屋敷は様変わりしていた。
自分とノリスが警戒に当たっていた階段前のスペースの、丁度中央に壁ができていた。ソレはご丁寧にも天井まで達していて、屋敷の右半分と左半分を分断している。階段も、吹き抜けスペースも、二階から見えていた一階のエントランスも、すべてが壁で半分にされている。
「ノリス!」
叫んでみたが、壁の向こうから返事は無い。
振り返って手近なパラサのドアを蹴り飛ばす。返事があってもなくても気にせず、次にスイフリーの部屋のドアを蹴っ飛ばし、そのまま走って廊下の突き当りまで行くと、ヒースの部屋から順番にドアを叩いて回った。
戻った頃には、部屋から出てきたらしいパラサとスイフリーがそれぞれ新たに増えた壁を見て呆然としていた。
■漸くパーティー正式分断!
ちなみに左側パーティーは「アーチー、フィリス、スイフリー、パラサ、イリーナ、ヒース、マウナ」の7人。
厳正なる投票の結果。見事に偏ったパーティーだ。
■友人たちに、好きなキャラを7人挙げてもらって、得票でパーティーわけをしました。
左側パーティーは通称Aチーム。
残りの右側はBチーム。彼らは「1票だけ取った人」で構成されてます。
え?
Aチーム?
……マウナさんが0票だったなんて、口が裂けてもいえません(笑